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平成15年度電気関係学会東北支部連合大会
372
2J5
可変ディジタルフィルタを使った計算量の少ない適応ラインエンハンサの実現
○関口裕也川又政征
東北大学大学院工学研究科
1.まえがき
これまでに,可変ディジタルフィルタを使った適応
ラインエンハンサ(AdaptiveLineEnhancer:ALE)が
提案されている[1}、文献11}では,可変帯域通過フィ
ルタ(VaJFiableBand-PassFilter:VBPF)の帯域幅を
適応的に調節することで,収束速度が速く,残留誤差
が少ないALEを実現している.しかし,1サンプルを
処理するための計算量が多いという問題点がある.本
稿では,VBPFの中心周波数が最適値に近いか否かを
判別し,帯域幅を調節する手法を提案する.
2.可変デイジタルフィルタを使った適応ラインエンハ
ンサの構成
図1に可変ディジタルフィルタを使った適応ライン
エンハンサの構成を示す.VBPFは,中心周波数を調
図1:可変ディジタルフィルタを使ったALE
の構成
表1:1サンプル当たりの計算量の比較
乗算回数
加算回数
除算回数
従来法
31
34
7
提案法
12
16
5
節するパラメータαと,帯域幅を調節するパラメータ
βを持つ.αの更新式は次式で与えられる.
α
州
=
α
偽
十
"
(
"
総
意
"
美
:
(
1
)
ざ‘0
ここで,似はステップサイズパラメータである.また,
0 2 0 0 0 4 0 0 0
Ite『ationk
図2:αの動き
Rk=γRk−1
ここで,γは忘却係数である.
3.帯域幅を調節するアルゴリズム
βの大きさによって,αの収束速度と残留雑音の大
きさの間には以下のような性質がある.
。βが小さくなるにつれて,αの収束速度は速くなる
が,残留雑音は大きくなる.
。βが大きくなるにつれて,残留雑音は小さくなるが,
αの収束速度は遅くなる.
したがって,βを調節することによって,αの収束速
度が速く,残留誤差が少ないALEが実現できる.
提案する手法では,αが最適値に近いか否かを判別
し,最適値に近いときβの値を大きく,最適値に近く
ないときβの値を小さくする.αが最適値に近いか否
かの判別には,αの更新に用いるHessian推定左の性
質を利用する.αが最適値に近いときRの値は0より
十分大きくなり,αが最適値に近くないとき左の値は
0に近くなる.したがって,Rがあるしきい値より大
きいか否かでαが最適値に近いか否かを調べることが
できる.しかし,単純にβの大きさを切り替えると,
αが最適値に収束する前に虎が0より十分大きな値に
なってしまうことがある.そこで,βを大きな値にす
るときは少しずつ値を大きくする.以上より,帯域幅
を調節するアルゴリズムは次式で与えられる.
β州二側岬蹴脆側
1−ヶ:
conventionaI1
‐0.5
RはHessian推定であり,次式で与えられる.
+州磯),(2)
少叩・剛
0.5
ここで,Rthはしきい値である.また,β…はβの
取りうる最小値であり,βs‘epはβの変化量である.式
(3)だけではβが無限に大きくなってしまうため,次
式で与える操作を加える.
βA‘+,>βmα錘のとき,βA‘+,=18mα諺(4)
ここで,βmα”はβの取りうる最大値である.
表1は,2次のVBPFを使った場合の,従来法(1)と
提案法の1サンプルあたりの計算量の比較である.表
1より,提案法は従来法より計算量が少ないことが確認
できる.
4.シミュレーション結果
正弦波信号検出のシミュレーション結果を示す.入
力信号を次式で与える.
〃ん=sin("sル)+nk
(
5
)
ここで,恥は平均0,分散0.1の白色ガウス性雑音で
ある.正弦波信号の周波数四sは0.37rから2,000サン
プル後に0.77rに変化する.図2にαの動きを示す.図
2より,従来法と提案法の収束速度はほぼ同じであるこ
とがわかる.
参考文献
[11KHashimotoandM、Kawamata,“Fastadaptive
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InternationalSymposiumonIntelligentSignalPro‐
cessingandCommunicationSystems,pp、73-77,
November2001.