東北6県の中間管理機構 目標

[土地連からのお知らせ No.360]
平成 27 年 1 月 23 日
新聞報道:東北6県の中間管理機構 目標の6%
―― 岩手では目標達成可能か ――
農地バンク、目標の6%、6県昨年末貸し付け、貸し手が不足。
2015/01/23 日本経済新聞 地方経済面 東北 2 ページ 1236 文
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耕作放棄地や飛び地となった農地をまとめて借り上げ、生産者に貸
し出す農地バンク(農地中間管理機構)の活用が広がらない。東北6
県の農地バンクが2014年末までに貸し付けを決めた土地の面積は、
6県の掲げる目標の6%にとどまった。農地を貸す農家が不足してい
るのが主な原因だ。各県は説明会を開き制度の利用を促すが、目標達
成は難しそうだ。
農地バンクは安倍政権が掲げる農業強化策のひとつ。今後10年間
で大規模な生産者に農地の8割を集める計画だ。
東北6県の農地バンクが昨年末までに貸し付けた土地は合計705
ヘクタール。各県が掲げる目標を合わせた1万1000ヘクタールに
はほど遠い。
農地の貸し付けが広がらないのは、貸し手が不足しているためだ。
宮城県では農地の借り受け希望者の合計面積は2万ヘクタールを超す。
一方、農家が借地用に差し出した土地は45ヘクタールあまりだった。
宮城県の今年度の貸付目標は2000ヘクタール。県の担当者は「6
00ヘクタール程度しか達成できないだろう」と悲観的だ。2500
ヘクタールの目標に対して5%足らずしか貸し付けが決まっていない
山形県も「達成は微妙だ」と話す。
背景にはいくつかの理由がある。農地バンクを使ったときの貸付期
間は10年が基本。福島県農業担い手課の担当者は「農家の間では『先
祖伝来の農地を守らないと』との思いが強い」ため、期間の長さが壁
になっているとみる。
昨春に農地バンクが発足してから1年とたっておらず、制度の認知
度が低いことも原因のひとつだ。秋田県農業公社の担当者は「米の生
産調整の説明をするときに、農地バンクの制度も説明する必要がある」
と話す。
貸し出しが増えないのは借り手側の事情もある。いわてアグリビジ
ネス研究会の浅沼幸男会長は「農業法人は機械化で大規模な設備投資
をしている。100~200ヘクタールの広さがなければ黒字化は非
常に難しい」と分析する。農業法人にとっては貸し付けの単位が小さ
すぎるというわけだ。
なかには「目標達成は可能」(岩手県)という楽観的な声もある。次
年度に農地をどう使うか、冬の間に各地で話し合いが進んでいるため
だ。
貸し手が多く集まる地域もある。宮城県の角田市だ。農業生産法人
コロナアグリ(新潟県三条市)は12月、角田市内の計13カ所5・
7ヘクタールの農地を宮城県の農地バンクから借りた。
同社は11年に角田市に進出した。農地バンクができる前から農地
を借りて米や大豆をつくってきた。農家と同社のあいだを取り持って
きたのは角田市農業振興公社。コロナアグリの担当者は「これまで公
社が農地をまとめて貸してくれていた。農地バンクも基本的にやり方
は同じだ」と話す。
とはいえこうした地域は例外。角田市のように市が農業振興公社を
持つ自治体は宮城県にほかにない。コロナアグリは本社を置く新潟県
では、なかなか農地を借りられない状況が続いている。