朝日新聞2016年5月14日朝刊 貧困の子 自治体が見守る 生活困窮者自立支援法が施行されて1年。子どもの将来が生まれた環境で左右され ないよう、県内の自治体でも「子どもの貧困」対策への取り組みが広がりつつある。 無料で勉強を教えるなどの学習支援に加え、子どもたちをどう見守るか、にも知恵を 絞る。 名鉄三河高浜駅前にある高浜市いきいき広場の一室。10人ほどの子どもたちが机 を囲み、今年度の目標を熱心に考えていた。「苦手な教科を克服する」。そう紙に書 く子もいる。 ◆大学生らが先生 市が取り組む学習支援事業「ステップ」。生活保護や就学援助を受給している生活 困窮世帯の中学生や高校生らが対象で、毎週土曜日(夏休みは週3回)に、5~7人 のボランティアの大学生らが無料で勉強を教えている。 昨年7月に中学生を対象に開校。市から委託を受けた教育関係のNPO法人「アス クネット」(名古屋市)が運営する。昨年度は毎回平均16人の生徒が参加。今春か らは事業を拡大し、高校生や高校中退者、不登校の生徒らにまで門戸を広げた。 内容は学習支援だけにとどまらない。生徒が社会に出ていくための力を身につけら れるよう、さまざまな体験学習を用意しているのも特徴だ。これまで絵本作家による ワークショップや3Dプリンター体験、留学生との交流などが開催された。 「数学が苦手で、これまで分からなかったところは飛ばしていたけど、大学生に教 えてもらってわかるようになった」と中2の女子生徒(13)は笑顔を見せた。「自 分たちで考えて実行したハロウィーンやクリスマス会がいい思い出です」 ◆ランチ1食100円 1食100円で昼食も提供している。食育 ボランティアなど地域の16団体が協力し、 寄付された食材などを使って栄養バランスに 配慮した食事を作り、子どもたちと一緒に食 べている。 市地域福祉グループの安蒜丈範主幹は「子 どもたちには支えてくれる大人がいることを、 地域の人には困窮した子どもたちが地域にい ることを知ってもらえたら」と話す。 ◆今年度は19市で (略) (中野龍三、森山敏男、百合草健二)
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