山 梨 労 働 局 発 表 平成27年9月11日 労働安全衛生法違反の疑いで運送会社を書類送検 ∼労災かくしの疑い∼ 厚生労働省山梨労働局甲府労働基準監督署(署長 羽嶋三男)は,平成27 年9月11日(金),下記 1 の被疑者を労働安全衛生法違反の疑いで甲府地方検 察庁に書類送検した。 事件の概要等については下記のとおり。 記 1 被疑者 (1)白根運送株式会社(本社所在地:山梨県南アルプス市在家塚753番地) (2)同社の代表取締役(61歳 女性,以下「被疑者」という。) 2 事件の概要 平成26年6月28日午前9時50分頃,埼玉県内の配送先において,白 根運送株式会社の運転手が貨物自動車の荷台で荷卸し作業中に,荷台から墜 落し,左足関節内側側副靱帯損傷,左足関節外側側副靱帯損傷を負う労働災 害が発生した。 上記災害は4日以上の休業を要する労働災害であったため(休業期間:約 2か月間),被疑者は,同災害に係る労働者死傷病報告を遅滞なく,所轄の甲 府労働基準監督署長に提出しなければならなかったにもかかわらず,これを 提出しなかったものである。 上記事件が発覚し,嫌疑が濃厚となった平成27年7月9日に捜査に着手し, 平成27年9月11日甲府地方検察庁に上記事件を送致した。 3 法違反の内容 (1)違反条文 労働安全衛生法違反 労働安全衛生法第100条第1項,同法第120条第5号,同法122条 労働安全衛生規則第97条第1項 (2)違反内容 労働安全衛生規則第97条第1項においては,労働者が業務に起因して負 傷し,又は疾病にかかり4日以上の休業を要することとなった場合,事業者 は,遅滞なく,労働者死傷病報告(様式第23号)を所轄労働基準監督署長 に提出しなければならないこととされている。 本件は,上記のとおり規定されているにもかかわらず被疑者が,4日以上 の休業を要することとなった労働災害について労働者死傷病報告を所轄の甲 府労働基準監督署長に提出しなかったものである。 4 当署における今後の方針 労働安全衛生法において,事業者に労働者死傷病報告を提出させる義務を 課す理由は,労働災害の事実を労働基準監督機関が把握し,事業者に対して 同種災害の再発防止対策を確立させることはもとより,以後における的確な 行政推進に資するためであって,労働災害の発生状況をもれなく正確に把握 することは労働災害防止対策の推進にとって極めて重要なものである。 労働災害の発生に関し,その発生事実を隠蔽する目的で労働者死傷病報告を 提出しない,あるいは,虚偽内容を記載した労働者死傷病報告を提出するとい う,いわゆる「労災かくし」が横行することとなれば,労働災害防止対策を重 点とする労働基準監督機関の的確な行政指導の推進をゆるがすこととなりか ねないことから,かかる労災かくし事犯については,徹底排除のため,今後も 立件を前提として,厳正に対処することとしている。 ○ 労働安全衛生法(抜粋) 第百条 厚生労働大臣,都道府県労働局長又は労働基準監督署長は,この法律 を施行するため必要があると認めるときは,厚生労働省令で定めるところによ り,事業者,労働者,機械等貸与者,建築物貸与者又はコンサルタントに対し, 必要な事項を報告させ,又は出頭を命ずることができる。 2∼3 (略) 第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は,五十万円以下の罰金に処す る。 一∼四 (略) 五 第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告を し,又は出頭しなかつた者 六 (略) 第百二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従 業者が,その法人又は人の業務に関して,第百十六条,第百十七条,第百十九 条又は第百二十条の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又 は人に対しても,各本条の罰金刑を科する。 ○ 労働安全衛生規則(抜粋) 第九十七条 事業者は,労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくは その附属建設物内における負傷,窒息又は急性中毒により死亡し,又は休業し たときは,遅滞なく,様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に 提出しなければならない。 2 前項の場合において,休業の日数が四日に満たないときは,事業者は,同 項の規定にかかわらず,一月から三月まで,四月から六月まで,七月から九月 まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について,様式第二十四 号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに,所轄労 働基準監督署長に提出しなければならない。
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