PowerPoint プレゼンテーション

*グローバル投資環境
No.1296*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
ECB理事会~デフレに対する危機感を背景に政策を総動員
2016年3月11日作成
ECBは3月10日に開催した理事会において以下の追加緩和を実施することを決定した。
① 中銀預金金利を、昨年12月3日に開催した前々回の理事会に続いて10ベーシス引き下げて
▲0.4%としたほか、2014年9月4日に引き下げて以降はともに据え置いていた政策金利で
ある主要借換金利を0.05%から0%へ、中銀貸出金利を0.3%から0.25%へ引き下げ(実施
はともに16日から)
② 現在月額600億ユーロとしている資産買入プログラム(期間は前々回の理事会で当初の
2016年9月から少なくとも2017年3月までに延長)の規模を4月以降800億ユーロに増額
③ 2015年3月の開始当初は国債及び欧州機関債とされていた資産買入プログラムの対象には、
前々回の理事会で地方債が加えられていたが、今回さらにユーロ圏に設立された銀行以外
の投資適格の企業が発行するユーロ建ての債券を追加する
④ 現在行われている長期流動性供給オペ(TLTRO)が終了するのに伴って、6月から4年を満
期とするTLTROⅡを実施する
ユーロ圏のインフレ率は1月の0.3%から2月は0.2%のマイナスに
転じており、理事会後の会見でドラギ総裁は、今回の追加緩和
パッケージの導入を決めた背景について「ECBの価格安定目標に
対するリスクを和らげるための十分な金融刺激を提供するため」
と説明、「石油価格の動向を受けて、今後数ヶ月間は極めて低い
かマイナスのインフレは避けられないが、2%のインフレ目標の過
度の遅延なき達成を確実にするために、二次的影響を回避するこ
とが極めて重要だ」と述べている。
なお、ドラギ総裁は、1月21日に開かれた前回理事会後の会見
で、「新しい経済見通しが公表される3月初めの次回会合における
レビューが必要であり、我々の金融政策のスタンスを再考する可
能性がある」と述べていたため、今回の理事会でECBが何らかの
アクションを起こすことは広く予想されていたが、金利の引き下
げが預金金利以外の主要金利に及んだことや、資産買入規模の増
額幅などは想定以上だと思われ、その背景には、経済見通しにお
いて今年のインフレ予想を従来の1.0%から0.1%へ大幅に下方修
正したことからもうかがえる、デフレに対するECBの危機感が挙
げられる一方、マイナス金利が銀行の収益に与える悪影響を和ら
げるために検討されるとの見方もあった階層式マイナス金利の導
入は見送られた。
【ECBの経済見通し】
成長率
インフレ率
12/3発表 3/10発表 12/3発表 3/10発表
2015年
1.5%
0.1%
2016年
1.7%
1.4%
1.0%
0.1%
2017年
1.9%
1.7%
1.6%
1.3%
2018年
1.8%
1.6%
また、会見でドラギ総裁が「これ以上の利下げが必要だとは考
えていない」と述べたことで、為替市場では追加緩和発表後に一
旦売られたユーロが切り返した。今回の決定によってECBは持て
るカードをほぼ使い切ったとみられることで、今後のFRBによる
追加利上げのペースが米ドル/ユーロの方向性の鍵を握ることにな
ろう。
(文責:勇崎 聡)
(出所:ECB及びBloombergデータより髙木証券作成)
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