成長とインフレ見通しを下方修正。追加緩和の可能性も示唆

*グローバル投資環境
ECB理事会~
No.1115*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
成長とインフレ見通しを下方修正。追加緩和の可
能性も示唆
2015年9月4日作成
ECBは9月3日に理事会を開催、政策金利である主要借換金利を
0.05%、中銀貸出金利を0.30%、中銀預金金利を▲0.20%でそれぞ
れ据え置いた。
理事会後に公表された声明文は景気とインフレの現状について
「得られた情報は、経済の回復は継続しているが幾分弱く、インフ
レ率の上昇も従来の予想よりも遅い」と述べた上で、中国を震源地
とする最近の混乱については、「成長とインフレ見通しに対する新
たなダウンサイドリスクが生起した」としながらも、「金融及び商
品市場の急速な変動が、価格の見通しと我々の中期的な目標に向け
たインフレの持続的な達成の道筋に対して、根強い影響を与えるも
のか、主に一過性のものなのかを判断することは時期尚早だ」と述
べている。そして、前回の声明文にはなかった「今後の関連情報を
注視し、必要であれば、我々の責務の範囲内で有効な全ての手段を
活用する意思と用意があり、とりわけ、資産買入プログラムはその
規模、組み合わせやデュレーションの調節において十分な柔軟性を
持っていることを強調する」という文言が加えられた。なお、量的
緩和については、「月間600億ユーロの資産買入完遂し、2%のイ
ンフレ目標の達成に向けた持続的な調整を確かなものにするために
必要であれば2016年以降も延長する」という従来のスタンスを繰
り返すとともに、公的部門の1銘柄について保有できる割合の上限
《ECBの経済見通し》
を従来の25%から33%に引き上げるという修正を実施した。
成長率
インフレ率
景気の先行きについては「第2四半期の0.3%成長は従来の予想を
6/3発表 9/3発表 6/3発表 9/3発表
若干下回る」という認識を示した上で、「最近のサーベイは下半期 2015年
1.5% 1.4% 0.3% 0.1%
も同様の成長ペースが続くことを示唆している」として、今年の成 2016年
1.9% 1.7% 1.5% 1.1%
長見通しを6月時点の1.5%から1.4%へ引き下げたほか、来年及び
2017年
2.0% 1.8% 1.8% 1.7%
再来年の予想も下方修正、インフレの見通しについても今年を6月
時点の0.3%から0.1%に下方修正するとともに、来年及び再来年の
予想も引き下げた。
2016年のインフレ見通しが1.1%に下方修正され、来年中のイン
フレ目標達成が難しくなったことから、先月の25日にECBのコンス
タンシオ副総裁も言及した追加緩和の可能性が意識されやすくなる
とみられ、とりわけ今月15日から16日にかけて開かれるFOMCにお
いて利上げが実施されるか、利上げが見送られた場合でも、イエレ
ン議長の会見において「近い将来には利上げが適切になる」という
見方に変わりがないことが示されれば、ECBとFRBの金融政策の方
(文責:勇崎
向性の違いが意識される形でユーロが売られやすくなりそうだ。
聡)
(出所:ECB及びBloombergデータより髙木証券作成)
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