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物理 【出題の基本方針】 高校の教科書に準拠し、力学、電磁気、波動と光などのできるだけ広い分野からバラン
スよく出題した。基本的な知識を問う設問や作図やグラフを用いる設問、物理的な思考力
を要する設問などを配置し受験生の能力を様々な角度から測ることができる問題を出題し
た。また、単に入試選抜の目的のみならず、高校生が解くことにより物理に関する能力の
向上に役立ち、かつ、物理への理解や興味が深まるようなものとし、教育的に有意義な問
題であるよう心がけた。 【各設問の講評】(2 月 2 日実施分) Ⅰ 電磁気(電磁誘導・回路) 電磁誘導と回路を組み合わせた問題である。 前半は電磁誘導によって生じる起電力に関する基本的な問題、後半はこの起電力を利
用したコンデンサーと抵抗を含む回路の動作に関する問題で、要所要所における回路の
状態を調べ、回路の時間変化を正しく再現できるかを問うた問題である。 II 力学(剛体のつりあい) 剛体に働く力と力のモーメントのつりあいに関する問題である。 身近にある機械構造物に作用する力と力のモーメントを簡単化して問うた問題で、剛
節、滑節、箱の転倒の三部からなる。問題を解くのに剛節、滑節という機械学用語を知
っている必要はまったくなく、高校教科書における力学を用いて解ける問題である。剛
節の部分は一見パラドキシカルであるが力のモーメントに関する興味深い性質を含むこ
とがわかる。 Ⅲ 波動(直線偏光・円偏光) 光の波動としての重要な性質である直線偏光と円偏光に関する問題である。 波動の状態は空間依存性と時間依存性を同時に考えなければならず直感的な把握は難
しい面があるが、基準点を出発点として空間時間それぞれの変化を考える能力を問うた
問題である。新課程と旧課程では波の位相の扱いに違いがあるが、どちらでも解けるよ
うになっている。波の状態としての偏光状態、電場および波動の重ねあわせが合わせて
理解できるかを問うた問題である。 【学習のポイント】 ・ 物理は暗記科目ではないため使えない公式を暗記しても無意味だが、意味を理解し使え
るのであれば公式を知っているほど問題解決の幅が広がり役に立つので、そのことを意
識して学習すること。
・ 公式の意味を正しく理解するために教科書の練習問題をしっかり解くこと。しかし、練
習問題は単に解ければ良いというものではなく、色々な方法でその問題にアプローチし
て問題の本質を探り出すことに意義がある。簡単で基本的な問題だからこそ、そのよう
な訓練を積んで欲しい。その訓練が皆さんの物理に対する本当の理解を深めることにな
るはずである。