2009 年度 東工大物理 ■ 概要 ■ (1)時間/配点/問題数 試験時間:120 分/配点:理科 2 科目で 300 点(物理は 150 点)/大問数:3題 (2)出題・解答の形式 ・例年、力学 1 題、電磁気 1 題、その他 1 題の 3 題構成(2008 年度は 4 題であったが、2009 年 度は3題構成に戻った)。その他の分野としては、とくに頻出分野があるわけではなく、波動、熱 力学から満遍なく出題される。 ・物理Ⅱの範囲からの出題が多い。 ・解答用紙には、大部分の問題で導出過程を書く欄がある。図が用意されていることもある。 ・本年はなかったが、論述問題も出題されやすい(字数制限ありの場合も無しの場合もある)。また 近似計算に関する問いも多い。 (3)分量/難易度の変化(昨年度比) 分量:減少/難易度:やや易化 (4)特記事項 ・2007 年度までと同様大問3題の出題となった(配点は各大問 50 点)。東工大の典型的形式に沿 った出題であった。 ・出題範囲については“「物理Ⅰ」の全範囲、および、「物理Ⅱ」のうち、(1)「力と運動」、(2)「電気と 磁気」、(5)「課題研究」、と(3)「物質と原子」の一部(ア「原子、分子の運動」)とを合わせて『物理』 として出題する。”となっており、いずれの問題も、その範囲からの出題であった。 ・本年は論述問題の出題はなし。 ■ 各問の分析 ■ 大問 出題形式・テーマ 1 記述形式 力学 2 記述形式 (描図問題あり) 電磁気 3 記述形式 熱力学 問題の内容・分析 ばねで結ばれた2物体の水平面上での運動。単振動、2 物体 の相対運動に関する出題。典型的な問題であり、類似問題で 演習を積んだ受験生が多かっただろう。確実に得点しておき たい問題。 〔A〕ばねのついた平行板コンデンサーに関する出題。(a)(b)は 基本的。(c)は単振動と組み合わせた出題。電荷が一定である ことを元に解答していけばよい。 〔B〕誘電体を含むコンデンサーに関する出題。近似計算は穴 埋め形式で誘導に沿って進めていけばよい。 気体が封入された気球に関する問題。浮力・熱力学第1法則、 気体の状態変化の理解を問う出題。気球の上昇、下降の流れ にそって、順を追って解答できるよう配慮されている。浮力を正 しく表すことができるかどうかが鍵。また、(c)以降、前問の値を 使用するため、注意深く検討する必要がある。 ※ 難易度 標準 標準 標準 難易度は東工大受験生を母集団とする基準で判定しています。 2009 年度 東工大物理 ■ 近年の出題傾向の具体例 ■ 東工大物理では「処理量の多さ」がひとつの特徴といえるが、本年の出題は、例年に比べて処理量が少 なかった。しかし、来年以降、再び「東工大らしい」骨太の出題がなされる可能性は高いので抜かりなく演 習をつんでおこう。 また、東工大物理では、実験観測をテーマにした問題が出ることが多い。その具体例として、2008年度 の3を取り上げておく。 質量分析器を題材として、荷電粒子の質量分析の原理と、測定された質量の誤差評価について問われ た。この問題は、磁場中における荷電粒子の運動(ローレンツ力の性質)に対する考察に加え、加速電圧 (交流電圧)の周波数と粒子の円運動の振動数との同調や、装置の特性による測定誤差発生の理論背景な ど、実験に関連する事項の考察も盛り込まれており、理論・実験の両面における理解度が解答のカギとなっ ている。また、リード文もやや長めであり、設定されている状況を的確に捉えるための読解力も必要である。 作図問題・論述問題も出題されやすく、計算処理に頼るだけでなく、さまざまな角度から問題を解く姿勢が 問われるのが東工大の物理だと思っておいてほしい。 ■ 東工大物理の傾向と対策 ■ ・試験時間が 120 分と長いため、1 題当たりの設問数が多く、また、高い思考力を要求する問題が多い のも東工大物理の大きな特徴。これに対応するためにも、普段から問題演習にはじっくり時間をかけ て取り組むようにしてほしい。また、東工大の過去問だけでなく、東大、京大、東北大、名大、阪大、九 大、早大、慶大など、レベルの高い問題を出す大学の過去問演習をしておくとよいだろう。 ・力学では円運動、相対運動、単振動など物理Ⅱの分野が頻出。電磁気では電磁誘導、電場・磁場内 での荷電粒子の運動を扱う設問が多いので、これらを重点的に学習しておきたい。 ・実験問題の出題頻度が高いので、実験を扱う問題に多く取り組んでおくようお勧めする。 ・論述問題の対策としては、まずは、キーワードは何かを考え、そのキーワードを使って、文章としてまと める練習をしておくとよい。 ・グラフなどの作図には慣れも重要なので、普段から多めにグラフ問題に当たっておきたい。
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