1 8 偏光特性 【目的】 光源に H e-Neレーザを用いて、 1 / 4波長板の回転によって、直線偏光、門偏光、楕円偏光を作り、 検光子の回転角と測定強度との関係により、光の偏光特性を理解する。 【原理】 一般に電磁波である光は、お互いに直交する電場を持った 2つの波の合成で表すことができる。こ のとき、その振幅および位相差によって、合成された光波は、非偏光、直線偏光、円偏光、楕円偏光 などに分けられる。 一方、光波は結品板等の光学素子を透過することによって、その振幅、位相が変る。特に直交する 電場の 2成分に対して、これらが異なる結晶板を用いると、直線偏光、 円偏光などを作ることができる。 【装置】 -He-Neレーザ (A= 632.8nm) -光度計(フォトダイオード )E .コンデンサレンズ S -1/4波長板あるいは試料結晶板 ・凸レンズ L1、L 2 .光度計の電源 ・偏光子 p ・測定計 .検光子 A ・光学ベンチおよび各種ホルダ 【実験方法】 1 光学系の作成 ① レーザ光を光度計 Eの中心に調整する。 ② コンデンサレンズ Sによりレーザ光を広げる(これによって小さな光源を作る)。 ③ レンズ L1によって平行ビームを作る。 ④ レンズ L 2によって平行ビームを光度計 Eの窓に集光する。 [注意] 以上の作業中、光度計の電源は OFF 。 回転角 L lP 図 1 回転角 8 c p 試料 一 入 実験配置図 1 5 3- L2 2 光度計の調整および偏光子の測定 レーザを O FFにする。 ① ② 光度計の窓に覆いをつけた後、電源を入れる(このとき暗電流を測定する)。 レーザ光を入射させ、偏光子 Pを入れる(回転すると光が変ることを確認する)。 ③ ④光度計の窓の覆いをはずし、偏光子を回転させ、強度を測定する。 [注意] このとき、強度が飽和していなし、かどうか確認する。 3 直線、精円および円偏光の測定 偏光子と検光子の聞に 1 /4波長板(あるいは結品板)を挿入し、その回転角。と検光子の回転角 φに おける測定光の強度との関係を求める。試料板内での位相差を 6とすると、 s山一 φhm2~1 ,,‘、、 , ‘ 、 十OS2φ- J EA 噌 s i n 2 8 . I [注意] 1 /4波長板では d=π1 2 ① 偏光子を一番明るい位置(角度 H こする。 [注意] 偏光子の角度は以後の実験中、この一番明るい位置に固定。 このときの強度=ん ② 検光子 Aを入れ、検光子の回転角 ψと測定光との関係を求める。 2φ 1c x .I o c o s ( 2 ) [注意] (1)式で d= 0(試料なし) (1)式は入射光が完全偏光であることを仮定している。 ③検光子を回転し、直交ニコルの位置にする(偏光子と検光子の向きが直交、 ψ=π 1 2 ) 0 1/4波長 板を試料台に置き、その回転角。と測定光の関係を求める。 I n 2 Iは ー ニs i n 28 ( 3 ) 2 ④ 1/4波長板の位置(角度)を調整して、直線、楕円、円偏光を作る。これを検光子を回転して測定 する。そのポイントは、「強度 I v s .検光子の回転角 φ」の関係を円グラフにプロットしたとき、 8の 字ならば直線偏光、ひょうたん型ならば楕円偏光、丸ならば円偏光ということである。具体的に、 ( a ) 直線偏光: 8=0(四つ薬のクローパの消光位置)に固定、(1)式に d=π1 2と θ=0を代入す 2 φ。したがって、グラフは 8の字となる。 れば I民 I o c o s ω ( 楕円偏光 : 0く Oく π1 4( 消光位置から π 14 以内)に固定。(1)式に ð= π 12 と 8=0~π 14 を代入。式は複雑だが、確かにひょうたん型になる。 ( c ) 円偏光 :8=π 1 4( 消光位置から π1 4に固定 ) 0 (1)式に d=π1 2と ( ) = π1 4を代入すれば 1 5 4- 。したがって、グラフは円となる。 1=10/2 ⑤ / 4波長板を使いもとの偏光に直交する直線偏光を得るにはどう配置したらよいか。検光 2枚の 1 子を回転して直交直線偏光が得られることを示しなさい。 【参考】 1 偏光と光学素子 ( 1 ) ジョーンズベクトル ( J o n e sv e c t o r ) 電磁波である光が等方性媒質中を伝搬するとき、その進行方向を z軸にとると、電場 EX ' Eyは次式 で与えられる。 ) Ex=α ' x e x p i ( ω t-kz+Ox ( 4 ) Ey=αy e x p iω (t-kz+ゐ ) , z k .0b ω , EEEEEE EE'' p x e . a b . 命b . ‘ EE--EEE & も 、xw m - 却 e e zu α .α ,,,, , , EEBBEE-E 一 一 fias-‘1 、 、 ι ι 今、この ( E x .E y )の状態を表すためジョーンズベクトルを導入する。 ( 5 ) e x p i ( ω t- kz)を省略し、規格化して、 (::)=ぷa~ ( : e x p i d ) ( 6 ) を規格化ジョーンズベクトルという。次に簡単な例を示す。 ① 直線偏光 Z軸より 8傾いた直線偏光は下式で与えられる。 Ex=α c o s 8 e x p i ( ω t-kz) ( 7 ) Ey=α s i n 8 e x p iω (t-kz) したがって、そのジョーンズベクトルは ( ; ) = ( : : ; ) ② ( 8 ) 円偏光 電場は下式で与えられる。 Ex=α e x p i ( ω t-kz) ( 9 ) Ey=α e x p i ( ω t-kzzπ / 2 ) 1 5 5- (正符号は右回り、負符号は左回りの円偏光) (~:)古(~J (0) ω コヒーレンス行列 (coherencematrix) 光の強度は下式で与えられる。 噌 唱 、1EJ A EA , 、 t 2 2 1= 1E: r1 +1E y1 これを一般化するため、自己相関関数を用いて、コヒーレンス行列 Jを導入する。 Jij=く E i E j * > t ( i ,j=x ,yまたく (2) > tは時間平均を示す) ジョーンズベクトルを用いるとコヒーレンス行列 Jは下式で与えられる。 ベ : ) ( 問 ) ( 3 ) コヒーレンス行列を用いると光の強度はその跡で与えられる。 1=( α f + α, ; )TrJ (4) ( 3 ) 偏光度 ( d e g r e eo fp o l a r i z a t i o n ) が d( E: rとE t )と時間のでたらめな関数である yの聞に何の関係もないとき、あるいはその位相差 6 場合、これを非偏光あるいは自然光という。白熱電球からの光は自然光である。このときコヒーレン ス行列の非対角項は Oとなる。自然、光のコヒーレンス行列は ぺ ~I ( 5 ) Z 方向の直線偏光は ハ U nu tinu J - である。ただし非対角項が Oであっても、非偏光の条件にはならない。たとえば、 (6) である。完全偏光の条件は detJ=0 (7) で与えられる。 完全偏光と非偏光の混合した光を部分偏光という。部分偏光のコヒーレンス行列は -156- + Z B 一 nuz znu Z C 一ゲ A 一 一 * CB AC J - (8) ただし (A-x)(B-x)=c c * (9) のように、完全偏光と非偏光に分けることができる。このとき 完全偏光の強度 偏光度= 全強度 ( 2 0 ) で定義された偏光度 Pは A +B-2x p= ( 21 ) A+B で与えられる。 位 ) 光学素子 ( E x . Ey) の光が素子を通過して (E~. E~) になったとすると、この素子はジョーンズベクトルで ( 2 ) = A ( : ) ( 2 2 ) なる変換を表す行列Aに相当する。 ① 直線位相子 ( R e t a r d e r ) Z 方向を U方向に比べて 6だけ位相を進める素子、 o=π/2とすれば 1 / 4波長となる。 =(γ~) ( 2 3 ) A または 。 i O exp一 一 A=I 2 。7 ( 2 4 ) -iO 明 ② 旋 光 子( R o t a t o r ) 偏項角を回転する素子。このとき各電場は -157- i n O αL=α" " c o s O-α' 1 Is ( 2 5 ) αシ= α. : z :s i n O一a y c o s O となるので、 I c o s O -sinOI Ao=1 I s i n O c o s OI ③ ( 2 6 ) 直線偏光子 ( p o l 訂包e r ) 各電場を九、九倍する素子 附 = ( : : ) ( 2 7 ) A Z 方向のみを完全に通す偏光子あるいは検光子は ,,,, nunU ‘ ‘ 、 EEB-EE Z ‘‘‘、 EaEBB- inU 唱 A 一 一 , , , ( 2 8 ) ④ 光学素子の回転 基準方向について 8だけ回転した素子は A'=AoAA-o ( 2 9 ) で与えられる。たとえば z方向の偏光子を π /2回転すれば u方向の偏光子となるが、これは次のよ うにして得られる。 AU 、、‘, ( 3 0 ) i 唱 EEE﹃E'' a-E E AUAU EEEE ,,,, ・・‘‘、 一 一 ,,,,, ‘、‘, 噌A E AHV 噌 & nu- EE'E EE ‘ ‘ ‘ 、 ・・ 、、., ,,, , , , AUAU .EEEaE aEBEE E E -nHV 噌- 噌 ・ ‘‘,‘ 、 ‘ ・ , , EA , , u 一 n EEEE-- nU1ι ,,,, ‘ 一 一、 九 =Alf/2九A-lf/2 。回転した 6の位相素子 i d -id cos~Oexp- +sin~Oe却一一, 2 Aa.o= d i s 加2 0s i n-, 2 - 2 d i s i n 2 0 s i n一 2 -id i d cos~ 0 e x o- -+sin~ 0e x pー - 2 ψ回転した完全偏光子 -158- 2 ( 3 D 2 φ .s I C O S 加φ cosφl ( 3 2 ) Pφ=¥ S i n φ c o s φ .s 加2 φj ⑤ 光学素子の連結 Al ・A2...…A π 素子を通過した光は ( ご ) = 仏 ベ : ) ( 3 3 ) 1 . . . . . . A なるベクトルに変換される。これを用いると偏光子の方向を基準にとって、 θだけ回転した位相子 と φ回転した検光子を通過した光のジョーンズベクトルは (ご)=ん吋(~) o o c o sφcosー +icosφcos(20-φ)sin一 2 2 4 : ' : 一 一 ( 3 4 ) o o s i n φ c o s φ c o s一 + i s i n φ c o s(20-φ ) s i n一 2 2 となり、これより(1)式が得られる。 【問題】 ( 1 ) 干渉、回折、旋光、偏光とはどのような現象をいうのか、また、その違いを記せ。 【参考書】 ( 1 ) レーザーの基礎と実験 松平維石著 共立出版 ( 2 ) 田幸、飯島、山下他共著 共立出版 ( 3 ) 半導体レーザーの基礎 応用物理学会編 オーム社 ( 4 ) 半導体レーザー 伊藤、中村共著 培風館 レーザーフォトニクス -159-
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