米国の財政政策は拡張路線へ~強制歳出削減の回避や

景気循環研究所レポート
景気循環週報(米国)
2015 年 2 月 12 日
米国の財政政策は拡張路線へ
~強制歳出削減の回避や投資減税の延長の可能性~
米国の財政政策は、今後は徐々に拡張的となるとみられる。図1では、
財政政策の経済効果を示す指標として、財政赤字(GDP 比)の前年差をと
っている。財政赤字の縮小を緊縮的財政政策と考え、財政赤字の拡大は拡
張的財政政策とみなした(財政赤字見通しは議会予算局(CBO))
。
13 年度の財政政策の効果を見ると、所得税率の引き上げや強制歳出削
減により、GDP 比で▲2.5%ポイントもの緊縮となり、その分景気を下押しし
たことになる。14 年度は、強制歳出削減が一部回避されたものの、トー
タルでは▲1.2%ポイントの緊縮となった。一方、15 年度は、投資減税等の
延長と強制歳出削減の一部回避により、GDP 比で▲0.1%ポイントの緊縮に止
まる見通しであり、16 年度は、ほぼ完全に中立になると見込まれる。
ただし、CBO の財政赤字見通しは、現行の支出についての取決めに加え、
嶋中 雄二
景気循環研究所長
現行の税制が変わらないとの前提で推計されている。野党・共和党の発言
や昨年の法案採決の経緯をみると、15 年度以降も、強制歳出削減の回避
や投資減税の延長の可能性があり、今後、財政政策は拡張的となることが
宮嵜 浩
シニアエコノミスト
03-6213-6573
miyazaki-hiroshi
@sc.mufg.jp
福田 圭亮
シニアエコノミスト
03-6213-2608
fukuda-keisuke
@sc.mufg.jp
予想される。結果的に、15、16 年度の成長はそれぞれ、投資減税延長で
最大 0.4%ポイント、0.5%ポイント、強制歳出削減回避で、0.2%ポイント、0.6%
ポイント押し上げられると考えられよう。
図1. 財政政策の経済効果の推移
(GDP比、%)
1.5
1.0
0.5
税制など制度変更
税制など制度変更
以外の要因
以外の要因
0.0
-0.5
本週報は、嶋中雄二の見方に基
づき、宮嵜・福田が執筆を担当し
ています。
-1.2
-1.5
-0.9
-2.5
三菱ビルヂング
-3.0
-0.9
-0.3
-0.3
-0.4
東京都千代田区丸の内 2-5-2
強制歳出
削減
-1.0
-2.0
景気循環研究所
(15.2.12 福田 圭亮)
強制歳出削減
強制歳出
削減回避
(案)
投資減税等
延長(案)
2014年度
0.4
0.2
-0.1
-0.5
0.6
-0.0
強制歳出
削減回避
(案)
-0.1
2015年度
強制歳出
削減回避
緊縮
2016年度
(注)財政赤字(GDP比)の前年差を財政政策の効果とした。
(出所)CBO『An Update to The Budget FY12-22, Table 1-1 Box 2-1』
CBO『An Updated to the Budget and Economic Outlook: FY14-24』、『The Budget FY15-25』
1
拡張
0.5
投資減税等
延長・14年度分
遡及適用
強制歳出
高所得者税率up 削減回避
給与税減税終了
(ミニ財政の崖)
2013年度
見通し
投資減税等
延長(案)
2015 年 2 月 12 日
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