~ 損傷・劣化を有 現存耐震安 有する鋼トラス橋の 安全性の把握 ~

~ 損傷・劣化を有
有する鋼トラス橋の
現存耐震安
安全性の把握 ~
1. 研究の目的
損傷・劣化が進んだ橋に対して耐震安全
性能がどの程度残存しているかを把握す
ることは,橋梁の維持管理において非常
に重要な課題である.
そこで,下路式鋼トラス橋に対する耐震
安全性評価を行うことを目的とした.
(kN) 圧縮
圧
黄緑 →軸力小
軸力小
300
赤・青→軸力大
180
60
-60
可動
-180
固定
-300
図-1 健全モデルの自重状態時の軸力分布
引
引張
2. 損傷・劣化を有するトラス橋モデル
損傷・劣化を有するモデルとして図-2から図-4に示
す3つのモデルを用意した.図-2,図-3は,部材の一
部を破断させたモデルである.図-4は,腐食による
断面欠損を考慮したモデルであり,断面を一様に減
少させたモデルである.断面欠損率に応じて,部材
の質量,断面積,断面2次モーメントなどを減少させ
ている.
3. 耐震性能評価
図-5に,道路橋示方書のType2,Level2地震動を作
用させたときの降伏部材と終局部材の分布図を示
す 地震応答解析を実施する前に実施した 活荷重
す.地震応答解析を実施する前に実施した,活荷重
漸増解析では,破断モデルBが一番早く,終局を迎
えることを確認していたが,地震応答解析の結果か
ら,破断モデルBよりも耐震余裕度が低いのは腐食
モデルの断面欠損率が25%以上であることが分か
る.
つまり,一部分の大きな損傷よりも,
劣化が全体に進行した方が耐震安
全性が損なわれることが分かる.
初期軸力の小さな部位に損傷を与えた
図-2 破断モデルA(スパン中央に損傷)
初期軸力の大きな部位に損傷を与えた
図-3 破断モデルB(支点近傍に損傷)
6.5m
1m
腐食領域
図-4 腐食モデル(下弦材から上方1mに腐食)
健全
全モデル
破断モデルA
破断モ
モデルB
腐食モデル(断面欠損10%)
4. まとめ
損傷・劣化を有する橋の耐震安全性
を正確に把握できれば,補修・補強に
対する優先順位決定における一つの
指標になると期待される.
腐食モデル(
(断面欠損25%) 腐食
腐食モデル(断面欠損50%)
デル(断面欠損50%)
図-5 Type2 Level2地震動
動による降伏部材(青)と終局部材(赤)の分布
九州大学大学院 工学研究院 社会基盤部門 建設振動工学研究室
建
教授 大塚久哲 ・ 准教授 梶田幸秀 ・ 助教 Joon-Ho Choi
-mail: [email protected]
TEL 092-802-3377 FAX 092-802-3377
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