ウスバキトンボ成虫の観察と識別点 pdf

ウスバキトンボ成虫の観察と識別点
<大まかな生態と日本への移動の手段、及び時期>
・1年多世代型:南方の暖かい生まれ故郷では、1年中成虫を観察することが出来ます。(1 世代=約40日)
・超長距離移動:偏西風や台風の風に乗って、海を越えて日本にやって来ると考えられています。
・初観察の時期:日本での初観察は南の九州では4月初め頃、関東地方以北では7月初め頃ですが、その年の
気候により大きく変動します。季節外れの台風や、強い低気圧に伴う嵐の直後は要注意!!!
⇒九州でも関東でも4月に初観察出来る年もあります。
・以上の移動状況からすると、日本での初観察の時期を特定できない!!!
<平均的な地域別初観察日:残念ながら決定的な基準はありませんが・・・>
・九州地方:4月初旬~
・四国地方:5月初旬~
・中国地方:5月~6月初旬
・中部地方/関東地方以北:6月下旬~7月(東北/北海道では中部・関東とほぼ同時期)
※太平洋岸は内陸部より早く観察される傾向があるので、5月以降は常時注意して観察する事が求められる。
<ウスバキトンボが好む群飛集合場所>
注)写真(図)提供者
・人工的な池や噴水、田圃等の周辺の飛翔昆虫(餌生物)が多数発生する草地や道路の上空。
喜多英人=(K)
・山間地では、田圃や畑、耕作放棄地、用水路等の上空のちょっとした空間。
新井
・これらの空間を地上数メートルの高さで群れ飛ぶオレンジ色のトンボは本種の可能が大。
酒井昇治=(S)
裕=(A)
<産卵様式と産卵場所>
・産卵様式:連結態(雄と雌が尾つながり)での産卵と、雌単独での産卵があ
り、打水産卵(水面を雌が腹端で叩くように産卵)が知られている。
・産卵場所:古くからある池や堤など在来種の多くのトンボたちが利用する
ような場所を本能的に避けているように思われる。プールや噴
水池、夏の季節だけ現れる水溜り等での産卵が多く見られる。
図-1(K) 尾つながりでの産卵
<成虫の識別:補虫網で捕獲して自分の眼で確かめるのが一番です>
・飛翔:大きな特徴は、殆ど静止すること無く群れてゆっくり飛び続けることが挙げられます。
※日本産の他のトンボと違い、ぶらさがるように縦に止まる。(図-2)
・体色:体色はオレンジ色で、腹部の背面中心に黒い斑紋(図-2 赤矢印)がある。
雄の個体は成熟すると、腹部のピンク味を帯びた赤色部分が基部から広がってくる。(図-3 白矢印)
・ 翅 :後翅は前翅に比べてはるかに幅広く、その付け根部分に目立つ三日月形の斑紋がある。
(図-4 白矢印)。
(図-2 及び 5 白矢印)
縁紋(羽の先端近い前べりにある点)の色は濃いオレンジ色。アキアカネの縁紋は黒色。
・複眼:同程度の体格の他の種に比べると、大きくて上面は赤茶色、下面は灰色をしている。(図-4 黄矢印)
(図-4 白○印)(この部分の黒色線条斑は種の同定の重要部分です。)
・胸部側面:目立った斑紋が無い。
※アキアカネ(図-5 白○印)等とは明らかに異なり重要な識別基準となるので参考にしてください。
体長もアキアカネより 6~10mm 程度大きい。アキアカネの腹部背面中心には黒い斑紋が無い。
図-2(A) ウスバキトンボ静止姿勢
図-3(A) 成熟雄
図-4(S) ウスバキトンボ側面
図-5(S) アキアカネ側面(8月初旬)