September 2015 妊婦健診・ 子どもの受診付き添い時に 今こそ!成人男性も風しんの予防接種を ◆成人男性の感受性者多数∼職場での感染にご注意∼ 推定感染原因・感染経路※(2013年感染症発生動向調査より) 日本は東京オリンピックの開催年である2020年度までに風しんの 排除を達成することを目標に掲げています。 しかしながら年齢群別 の抗体保有状況をみると、2012∼2013年の流行後も成人男性を 中心に感受性者が多く残されており (下図)、再び大規模な流行に つながる可能性があります。 ※2013 年1∼12月中に報告された風しん患者14,357例中、 感染原因・経路について記載があった3,026例の内訳 1%(35例) 3%(78例) 5%(157例) 年齢群別の風しん抗体保有状況(2014年度感染症流行予測調査より) 抗 体 保 有 率︵ (%) 男性(n=2,882) 9% (261例) 48% (1,453例) 8%(246例) 女性(n=2,861) 26% (796例) 抗体価 ワクチン未接種世代である30代 後半∼50代前半の男性で感受 性者が多く残っている。 倍 以 上︶ (年齢) TOPICS ■職場 ■家族/同居人 ■友人/知人 ■学校/保育所 ■通勤/電車内 ■医療機関 ■その他 「職場」での感染が最も多く報 告されている (20∼60歳男性患 者では約7割が職場での感染)。 HI 8 9 2013年の流行時、推定感染場所が明らかになった者の中では、 「職場」 での感染報告が最も多く (上図)、職場内で風しんに感染 したと思われる妊婦から先天性風しん症候群(CRS)の赤ちゃん が生まれた事例も報告されています。風しんによるリスクは、感 染者だけでなく同僚、家族、地域社会と広範囲に及ぶため、社会 全体で風しんに対する免疫を獲得しておくことが重要です。 風しん排除地域から学ぶ!排除達成までのプロセス 2015年4月29日、WHO(世界保健機関)およびWHOアメリカ地域事務局は、南北アメリカ大陸において風しんおよびCRSが 世界で初めて排除されたことを宣言しました。 アメリカ大陸は天然痘の根絶、ポリオの排除も一早く達成しており、感染症対 策の模範となっています。風しん排除成功へのカギは、 「成人・青年男性への接種啓発」 です。 南北アメリカ大陸における風しん排除への軌跡 風しんの流行が頻繁に発生。患者数は135,947例。 1995 -2008 定期接種とは別に、就学前の幼児および成人・青年層の 男女(ブラジル・アルゼンチン・チリは女性のみ) を対象 に補助的接種キャンペーンを実施。 150 2007年 患者数は2,998例にまで減少(1998年から98%減) 。 2007 患者数は減少傾向にあったが、 ブラジル・アルゼンチン・ チリの成人男性を中心に流行が発生(患者数13,014 例) 。975例のCRS疑い例が報告された。 2015 接種キャンペーンを女性のみに 行った国において、成人男性を 中心に風しんの流行が発生した。 100 2006 2007-8 患 者 数︵ 千 人 ︶ 1998 アメリカ大陸における風しん患者数 (1996∼2008) 50 上記3カ国でも男性への接種キャンペーンを実施。 5年間風しんの流行・CRSの発生は確認されなかった。 ⇒南北アメリカ大陸 風しん排除達成を宣言 アメリカ大陸 での教訓 0 1996 1998 2000 2002 2004 (年) 2006 2008 風しんの流行を抑制しCRSの発生を防ぐには、乳幼児や女性だけでなく、 成人男性を含め全ての感受性者が予防接種を受けることが重要である。 出典 : PAHO Americas region is declared the worlds first to eliminate rubella, MMWR October 31, 2008 / 57(43);1176-1179 日本でも風しん排除に向けて、感受性者の多い30∼50代の成人男性は特に予防接種を受けることが推奨されます。 風しんワクチンの接種が 推奨される者 定期接種対象者 (1歳児・就学前1年間) 妊婦の家族および 妊娠を希望する女性と その家族 ワクチン未接種・ 接種歴不明者 (特に職場での感染リスクの高い者) 出典 : 国立感染症研究所 感染症疫学センター IASR2015年7月発行、 職場における風しん対策ガイドライン 企画編集:一般財団法人 阪大微生物病研究会(http://www.biken.or.jp) 発行:一般財団法人 阪大微生物病研究会/田辺三菱製薬株式会社 ▲上記本文中の内容に関するお問い合わせは、お受けしておりません 5BI-425A-
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