水痘ワクチン定期接種化後の患者数の変化

September 2016
水痘ワクチン
定期化から約2年!
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水痘ワクチン定期接種化後の患者数の変化
水痘ワクチンが定期接種化されてから約2年が経過しました。
そこで、水痘発生動向の変化を①患者数②入院例(24時間以上の
入院)の報告からご紹介します。
①患者数(小児科定点):患者全体に占める定期接種対象年齢※の割合が減少!患者数は約半数に!
図1.年齢群別患者割合の年推移
100%
90%
年齢群割合
80%
1.5
2.5
1.9
3.0
5.1
5.9
9.9
10.5
2.1
3.3
2.1
2.2
3.4
6.2
6.5
10.9
2.5
1.6
2.5
4.2
4.5
3.1
4.9
7.8
15.2
15.5
15.4
(%) 50%
40%
…
18.2
30%
20%
9歳
11.5
8歳
15.3
13.6
17.2
17.2
17.0
7歳
6歳
15.5
17.0
5歳
15.7
18.1
17.6
4歳
12.0
17.4
15.6
3歳
9.4
2歳
10.3
18.7
5.9
0%
10∼14歳
15.2
17.3
16.7
10%
報告年
15∼19歳
6.1
12.9
60%
2.3
2005
16.0
2005∼2011年は、水痘患者
のうち約7 5 %が0 ∼ 4歳の乳
幼児でした。
しかし、自治体か
らの公費助成の開始等により
小児の接種率が上昇してきた
ことから2012年以降その割合
は 徐 々に 減 少 、定 期 化 後 の
2015年については53.6%と
大きく減少しています(図1)。
その一方で、5歳以上(定期接
種の対象から外れた小児)の
占める割合が大きくなってい
ます。
20歳以上
3.8
8.9
11.5
15.7
17.8
5.7
7.9
12.1
70%
年齢別患者割合
0.8
0.4
7.8
14.3
10.4
1歳
8.7
∼11か月
5.4
1.9
4.9
1.7
4.8
1.6
4.4
1.5
4.2
1.2
3.4
1.1
2011
2012
2013
2014
2015
2016
∼5か月
*2005年のみ
∼6か月
第1四半期
※2014年度は1歳、2歳児に加えて接種歴の
ない3歳、4歳児にもキャッチアップとして
定期接種の機会が1回設けられていた。
0歳児は接種対象年齢に含まれないが、
接触機会の多い幼児の患者数が減少した
ことによる間接的な減少傾向が見られた。
図2. 報告患者数の年推移
300,000
年齢割合の変化だけでなく、患者数も減少しており、
2015年の患者数は前年の約半数となっています(図2)。
2014年:157,666 2015年: 77,614
前年の
約半数
患者数
患者数
242,296 238,645
200,000
195,713 175,030
157,666
77,614
100,000
0
2005
2011
2013
2012
年
2014
2015
②入院例(全数報告):定期接種対象年齢 ※の報告数減少
図3. 年齢群別の入院例数 *
2014、2015年の第4四半期間で週当たりの報告数を比較
*国立感染症研究所 IDWRから作図(報告遅れのものを含まない)
2014年第4四半期は第41∼52週、2015年第4四半期は第41∼53週。
60
55
■50代以上
50
入院例数
38
40
■20∼40代
30
■10代
20
■5∼9歳
10
■3∼4歳
0
2014年
第4四半期
2015年
第4四半期
■1∼2歳
■0歳
すると、全体数は9.53/週から6.07/週へ減少していました。
また、年齢群別入院例数を比較すると、①と同様に0∼4歳
では減少していましたが、
それ以外の年長児や成人におい
ては大きな変化は見られませんでした(図3)。
年長児や成人の感受性者の蓄積は、
アウトブレイクの
可能性と重症化リスクの増加につながるため、今後は
現在の定期接種対象年齢以外の年代の未罹患者に
おいてもワクチン接種による予防が望まれます。
出典:国立感染症研究所 IASR Vol. 37 p. 116-118: 2016年6月号,
IDWR、予防接種Q&A集 2016年版
企画編集:一般財団法人 阪大微生物病研究会(http://www.biken.or.jp) 発行:一般財団法人 阪大微生物病研究会/田辺三菱製薬株式会社
5BI-454A16Ⅷ083
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