神理の言魂 空即是色 Ⅴ 高橋信次 〝空〟の世界こそ、実在の世界であり、すべてのものを作り出す根本だ といえましょう。 むなしい世界から生まれるものは、むなしいものでしかないでしょう。 因果の法則によって現象化されるのです。人生とは、むなしいものではな いのです。 人間が、欲望のとりこになってしまうから人生がむなしいものになって しまうのです。 たとえば物質を考えてみても、その物理的な変化の上で、色は空に異な らないということが理解されるでしょう。 色は空に異ならず、色はすなわちこれ空である。空はすなわちこれ色で ある。ということで、万物万生のある現象界から、そのすべてを作り出す 実在の世界に、そしてまた現象の世界へと、ものみなが、永遠の輪廻をく り返している、ということが本当に良く解るでしょう。 なぜ、輪廻はくり返されるのか。 それは、私達の心が、肉体をとおして物を作り出し、また肉体をとおし て心を豊かに作り出す、ということが、私達の、人生航路における、課せ られた学習だからです。 この地上界に、両親の縁によって、人生航路を渡る肉体舟を提供され、 完成されてゆくのは、神の意志によって与えられた本能であり、そこで魂 を修行し、豊かな丸い心を作って、神体である宇宙に、平和なユートピア を築くために現われたのも、また神の意志によるものだからといえましょ う。 私達は従って、神から、この現象界に適応した肉体舟を与えられ、子孫 保存の環境が本能として与えられたということを、感謝しなくてはいけな いのです。 〝空〟すなわち、この実在の存在が解らないために、むなしい言葉でそ れを表現しても、それでは意味を知ることができるようにはならないとい うことです。 (月刊誌『GLA』二〇一五年三月号より) 『原説般若心経』 〝空〟の世界を悟るには、まず八正道という、片よりのない中道の道を、 生活の一秒一秒の積み重ねの中で行なわねばならないのです。 1 2
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