税収を家計の年収と例 えた場合には年収500万円の家庭が1億

アベノミクスで好景気と言われていますが、その一
方で財政赤字が深刻さを極めています。先日報道に
て、3月末の段階で国の借金が約1,025兆円に
上ると発表されました。さらに財務省によると、来
年3月末には約1,143兆円まで増えると試算し
ているとのことです。1年間で119兆円も借金が
増えてしまうのです。
1,025兆円と言っても現実味(リアリティ)が
湧かないと思います。お札の厚さは100万円で約
1cmですので、1,025兆円分の一万円札を縦
に積み上げるとどうなるかと言いますと、高さがほ
ぼ1万kmになってしまいます。国際宇宙ステーシ
ョンの高度が400kmですから、見上げるどころ
ではありません。
もっと身近な例で考えると、税収を家計の年収と例
えた場合には年収500万円の家庭が1億円の借金
をしているのに等しいのです。もし1億円の住宅ロ
ーンを35年ローンで組んだとします。
国債の金利は30年もので1.7%前後ですので、
試算として全期間1.7%固定金利、元利均等ボー
ナス払いなしで計算すると、毎月の返済額は
31.6万円となります。年収500万円を毎月の
月収に平均すると41.6万円ですので、残り10
万円で生活しなければなりません。あまりにも重い
負担です。
もっとも、そもそもこんな条件で銀行は貸してくれ
ないと思いますが。。。
しかし、そんな状況でありながらも、日本社会はパ
ニックが起きているわけでもなく、テレビや新聞で
も淡々と報道されているだけです。多くの方が、ど
こか他人事としてあまり関心を向けていない状況で
はないでしょうか?私は、これこそが本当に怖いこ
とだと思っています。国民の関心が高まっていない
から、なおさら財政規律が緩みがちです。現に、安
倍政権は平成26年度予算において過去最大の95
兆円の予算を組み軒並み予算を増額させています。
95兆円のうち借金で賄うのは実に41.2兆円で
昨年よりは新規借入れが少し減ったとは言え、借金
の依存度が4割以上であり、異常な状態は続いたま
まです。これに対し、国債の9割以上は国民が保有
しているし、国民の金融資産は1,500兆円もあ
るからまだ大丈夫だと主張する人たちもいます。
これこそまやかしです。
1,025兆円の借金には利子が付きます。現在の
国債に対して支払っている利子費は10兆円に上り
ます。毎年国債費を23兆円計上しながら、元本充
当分は13兆円に止まっているのです。しかもそれ
は国債の金利が現状の低いままの状態が前提です。
もし国債の利子が上昇したら、23兆円の返済の利
子分が増加することになり、一向に元本が減らなく
なります。そうなったら財政破綻一直線です。
財務省の資料によれば、財政赤字の主要な原因は歳
入の落ち込みと高齢化に伴う社会保障費の増大とい
うことですが、20年以上続いたデフレ経済と高齢
化の進行はとっくの昔に予想できたことで、これを
放置していたことが今に繋がっているのです。「だ
からこそ今取り組んでいるではないか」との反論に
対しては、平成26年度予算の各項目を見て欲しい
と思います。
増加する社会保障費を賄うために消費税を増税した
のにも拘らず、公共工事を含め多くの項目が増加と
なっているために全く財政健全化に向かっていない
のです。安倍内閣において財政の健全化が全く進ま
ないとすれば、一体何のための消費税増税であった
かと言わざるを得ません。
アベノミクスで浮かれている間に、インフレの進行
による金利上昇で財政発散(政府債務の対GDP比
率が無限大に向かって発散すること)に向かう恐れ
があります。そうなってからでは取り返しがつかな
いのです。私たちは、もう一度この国の財政赤字の
深刻さについて注意を払い、そして政府のお金の使
い方にしっかりと物申す必要があります。このまま
では危ないのです。