デジタルサイン波 デジタルサイン波について学びます。 1 デジタルサイン波とは デジタルサイン波とは、読んでその通りデジタル版のサイン波のことで、定義式は次の通りになります。 定義:デジタルサイン波 ( f [i] = a · sin 2π ·i+φ Td ) a・ ・ ・振幅、実数の 定数、単位はボルトや温度等の物理量 (対象によって変わる) Td ・ ・ ・デジタル周期、正整数の 定数、単位は無し φ(ファイ)・ ・ ・初期位相、実数の 定数 で範囲は −π ≤ φ ≤ π 、単位は rad i・ ・ ・デジタル時刻、整数の 変数、単位は無し アナログサイン波と同様に変数と定数の違いに気を付けて下さい a、Td 、φ はあらかじめ値を決めておくパラメータ であり、f [i] はデジタル時刻 i におけるサイン波の出力値になります。例えば下のグラフは a = 1、Td = 5、φ = −π/2、 i = 0, 1, · · · , 10 の時のサイン波です。ただし点だけだと形が分かりにくいので平滑化線を追加しています。 なおデジタル時間領域信号の一種であるデジタルサイン波は実際の時間軸上の信号ではないので、秒という概念は無い ことに注意して下さい。 f[i] 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 -0.2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 i -0.4 -0.6 -0.8 -1.0 図 1: f [i] = 1 · sin(2π/5 · i − π/2) 2 振幅と位相 振幅 a と 位相 φ についてはアナログサイン波と同じですので、そちらの説明を参照して下さい。 1 3 デジタル周期 もう一度言いますが、デジタル時間領域信号の一種であるデジタルサイン波は実際の時間軸上の信号ではないので、 周波数、つまり 1 秒で何回振動するかという概念はありません。従って 角周波数という概念もありません。その代わり デジタル周期 Td を用います。 デジタル周期 Td は、 i が何点進めばデジタルサイン波が 1 回振動するのかを表す数字です。例えば図 1 のサイン波 は Td = 5 ですが、 i が 5 点進む毎に 1 回サイン波がアップダウンしていることが分かります。 4 デジタルサイン波の角周波数 デジタルサイン波には本来なら角周波数という概念は無いと言いましたが、実際には角周波数を考えた方が色々便利 な場合が多いです。 そこで、 「角周波数 w (rad/秒) のアナログサイン波 f (t) をサンプリング周波数 fs (Hz) でサンプリングしてデジタル サイン波 f [i] を手に入れた」と仮定し、この fs を用いてデジタルサイン波の角周波数を定義します。 さてアナログサイン波を fs (Hz) でサンプリングした場合、i が 1 点進む毎に現実世界ではサンプリング間隔 τ = 1/fs (秒) だけ経過することが分かります。つまりデジタル周期 Td 点だけ i が進むと現実世界では Td · τ 秒経過します。こ のことから次のような公式が出てきます。 公式:デジタル周期から角周波数を求める場合 デジタルサイン波の 秒に換算した 周期・ ・ ・ T = Td · τ (秒) デジタルサイン波の周波数・ ・ ・f = 1 T = 1 Td ·τ = fs Td デジタルサイン波の角周波数・ ・ ・ w = 2π · f = 2π · (Hz) 1 Td ·τ = 2π · fs Td (rad/秒) 最後の公式から、 「角周波数 w (rad/秒) のアナログサイン波 f (t) をサンプリング周波数 fs (Hz) でサンプリングして 手に入れたデジタルサイン波 f [i] のデジタル周期 Td はいくつか」という問題も解けます。 公式:アナログサイン波の角周波数からデジタル周期を求める場合 デジタル周期・ ・ ・Td = 2π · 1 w·τ = 2π · fs w = fs f 何れにしろ サンプリング周波数 fs が分からないとデジタルサイン波の角周波数は決められない ということに気を付 けて下さい。 2 演習 演習 1 (個人):表計算ソフトを使ってアナログサイン波 f (t) = sin(2π · 2 · t − π/3) のグラフを描きなさい。時刻の範囲 は 0 ≤ t ≤ 2 とし、代表点は 0.01 秒刻みとする。 演習 2 (個人):このサイン波を fs = 10 でサンプリングする時、Td はいくつになるか求めてノートに書け。 演習 3 (個人):求めた Td を使い、表計算ソフトでデジタルサイン波 f [i] = sin(2π/Td · i − π/3) を描いてアナログサイ ン波と波形を比較しなさい。i の範囲は i = 0, 1, · · · , 20 とし、グラフの種類は散布図、点および線、平滑化有りとする。 3
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