「少年の主張」作文(1)

八代中学校「校長室だより」№39
平成 27 年2月 13 日(金)発行
~和して同ぜず~
「少年の主張」作文(1)
2月4日の少年式では、2年生全員が決意表明をしました。
その夜開催した「学校関係者評価委員会」では、子どもたちの決意が具体的だった、意見発表も
ふるさと八幡浜にふさわしい味わい深いものだった、学年合唱の歌声もとてもよかったという感想
をいただきました。そこで、今回と次回に分けて、代表生徒2名の主張作文を掲載します。
私の夢
橋本はるか
私の将来の夢は二つあります。
一つは、両親の跡を継いで農家になることです。私の家は柑橘農家です。私は小さい頃から両親
の作ったおいしいみかんを幸せな気持ちで食べていました。また、我が家では家庭菜園もしていま
す。家で作った野菜が食卓に並ぶと家族の笑顔があふれます。だから、私は食べた人が「おいしい!」
と、笑顔になる果物や野菜を作る農家になりたいのです。
私が農家を継ぎたいと言ったとき、両親はうれしそうに私を見ていました。けれど、父は「苦労
するぞ。
」とも言いました。確かに暑い夏の灌水作業、どんどん重くなる袋を背負っての収穫、腰
の痛くなるコンテナ運びなどはきつい作業です。けれど、農家には農家だけが味わえる喜びもあり
ます。手間暇かけたみかんが期待に応えてくれて、甘くておいしい実をたくさん付けてくれたとき
は、本当にうれしいと父は言います。私も一緒に喜びたいです。
今の農業は後継者問題も深刻だと聞いたことがあります。我が家の山の近くにも後継者がいなく
て荒れ地になった山があります。こんなことが続くと、私たちのふるさと八幡浜の特産品である柑
橘の生産量が減り、町がさびれてしまうのではないか心配です。これも私が農家になろうとする理
由の一つです。
今年の初め、私にとって大ニュースがありました。一昨年私が植えたりんごと梨の種から苗がで
きたのです。私が作った初めての苗です。植えたときは、スーパーで買った果物の種なので、芽が
出たらいいなというくらいの気持ちでしたが、実際に苗ができると、農家という夢の一歩を踏み出
したように感じました。
もう一つの夢は、品種改良をする農業技術者です。野菜や果物が嫌いな人でも、おいしく食べら
れ、笑顔になるものを開発したいです。現在、みかんの人気回復に向けて様々な品種が開発されて
います。
「紅まどんな」
「甘平」などは、最も新しい高級品種です。これらは甘くて皮がむきやすく、
誰もが食べやすいように作られたものです。値段も高く、愛媛のブランドみかんです。けれど、現
在のブランドみかんは病気に弱いのが欠点です。ハウス栽培でないとうまく育たなかったり、雤に
当たっただけで浮き皮になり、売り物にならなくなったりします。私は、おいしさはそのままで、
誰でも簡単に作れる品種や、全く新しい品種を開発したいです。私が作った品種には「こはる」と
いう名前を付けて売り出します。それらが農家の収入を増やし、生活の安定につながればうれしい
です。そうなれば、農業後継者が増え、若い農業仲間も増えると思います。他府県から農作業の手
伝いに来る人や、ブランドみかんを買いに来る人も増え、八幡浜の活性化にもつながると思います。
農家と農業技術者、どちらもやりがいがあります。いつか夢がはっきりしたとき、その夢に向か
ってまっすぐ進んでいきたいです。
~少年の日記念行事から~
二度にわたって延期にした少年の日記念行事を、2月9日(月)、やっと行うことができました。
今年一番の寒さ、しかも、まさに「向かい風」の一日でした。過去何度もメロディーラインを歩
いている私ですが、大久のガソリンスタンドから消防署(第一分署)を上る坂道の向かい風は、こ
れまでで最も強烈でした。生徒と一緒に歩いていただいた保護者、吹雪のなか何時間もポイントに
立っていただいた保護者のみなさんに、
改めてお礼申し上げます。
おかげで 110 名全員参加のもと、
記念すべき行事にすることができました。有難うございました。
私は出発式で、
「
『全員参加、全員完歩!』はあくまで目標だ。目標より大切なのが目的である。
では、今日の目的は何か。それは『関係を大切にする』こと。答えはゴールしてから伝える。
」と
訴えました。
そして、18 時 45 分から体育館で行った解散式で、次のような話をしました。
(一部抜粋)
記念行事直前に病気になった高田周作くんは、教員の車で移動し、写真を撮ったり、みんなに声
を掛けてくれたりする役に徹してくれました。
12 時 55 分、私がきらら館に着いたとき、
「弁当食べたか?」と尋ねると、
「班のみんなが来たら
食べます。
」と答えてくれました。歩行はしなくても、彼の心は班員といっしょだったのです。
凍てつく寒さの中、40 ㎞を歩くことの苦しさ、もうやめたいと思う気持ち、そしてやり遂げたあ
との満足感は、やった者にしかわかりません。それをみなさんは共有したわけですが、高田くんは
「やりたいけどもできない」経験をしたわけで、それはやった人よりも辛い部分があったのではな
いでしょうか。でも、この経験は部活動などで一生懸命やっているのにユニホームがもらえなかっ
たり、控えで甘んじたりする人の気持ちを理解し、励ますことにつながると私は思います。
昨年、現3年生がこの行事を実施したあとの職員会議で、私は一つだけ注文をつけました。
「来
年度は、男女混合の班にしませんか?」―――男子の人数が多いので、男子だけの班もいくつかあ
りましたが、男女混合班でのはじめての記念行事でした。班行動はとれましたか?
女子の歩調にあわせて進むグループもありましたが、男子だけ遠く離れて前にいる班もありまし
た。私は「ゆっくり歩きなさい」と言っているのではありません。班員が互いに気を遣いながら、
少しでも早く学校にたどりつく班の協力が見たかったのです。
3年生になると、修学旅行があります。そこでの班別自主研修も、これまでは男女別でしたが、
(やるか、やらないかは別にして)混合班も可能だと私は思っています。教室の中だけでしかでき
ない班活動なんていりません。修学旅行までにもう一度班活動を、そして仲間との
つながりを見直しましょう。
健康マラソンの光景から
2月1日(日)、八幡浜駅伝カーニバルと市民健康マラソンが行われ、本校生徒もほぼ全員がどち
らかのレースに参加しました。
9時 50 分にスタートした中学生以上の部(2.5 ㎞)の健康マラソン。最初、商工会議所前で見て
いると、1年生二宮瑛くんをトップに、本校生徒が塊となって先頭集団を形成していました。最後
までもつかなというスピードに、昨年までとは違う八中生を見ました。
その後、新町商店街に移動し、ゴール目前の生徒一人一人に声を掛けました。一番に姿を見せた
のは2年生那須公耶くん、続いて有請悠くんでした。二人はバスケットボール部員で、19 秒差でカ
ーニバル出場が果たせなかったチームメートです。健康マラソンといえども、適当に走らない二人
の姿に八中生の成長を感じました。
(文責 井上
靖)