第 25 回全国小学生作文コンクール 「わたしたちのまちのおまわりさん」 優秀賞(高学年の部) タイトル:二十四時間警察官 氏 名:感應 茉奈 小学校名:京都府 宇治市立小倉小学校 六年 私の父は、お酒が好きだ。けれど、大雨のときや風が強いときなどは、家にいても是対 にお酒を飲まない。なぜなら、父は警察官だから。警報が出ると、警察署に向かう。大雨 の中でも。 小さいころ、とても雷がなっていて、こわくて私は泣いていた。けれど、父は仕事に行 ってくる、と言った。出かける前に、父は私に 「お父さんも、みんなのことが心配で、家にいたいけれど、お父さん達が仕事をしなけれ ば、困っている人は誰が助けるの。安全になればすぐに帰るから、待ってて。」 と声をかけてくれた。私は安心した。その時、警察官は仕事から帰った後でも、休みの日 でも、二十四時間警察官でいないといけないと思うと、とても大変な仕事だと思った。 私が幼稚園のころ、家族で電車に乗って出かけたときのことだった。同じ車両の中から、 「うーうー」と、苦しそうな声が聞こえてきた。声の方を見ると、おじいさんが、シート に横になり、その横で必死に背中をさするおばあさんがいた。すると、いつのまにか、父 と一人の男の人が、その二人のところに行き、声をかけていた。他にも多くの乗客がいた が、どうして良いか分からず、携帯をさわったりして見て見ぬふりをしているように思え、 不安な気持ちになった。父は、近くにいた女の人に、車しょうさんに伝えてきて下さいと たのみ、まもなく電車が止まった。その間も、父ともう一人の男の人は、苦しそうなおじ いさんをさすり、声をかけ続けていたら、意識がもどった。まだ幼かった私であったが、 その時の父の姿が今でもはっきりと思い出すことができる。警察官は、制服を着ていると きだけが、仕事をするのだと思っていたが、決してそうではないことを知った。苦しんで いる人がいれば、制服を着ていない時や、休みの日でも、その人を助けることができる、 ということを。その後、電車は動きはじめ、次の駅でおじいさんとおばあさんは、父に頭 を下げ、無事に電車を降りて行った。さっきまで、険しかった父の表情も、いつもの優し い顔にもどり、私もほっとした。あとで聞いた話だが、父と一緒に声をかけていた、もう 一人の男の人も、父と同じ、休みの日の警察官だったそうだ。 これまでは、一緒にいてほしい日にいてくれず、休みでも仕事に出かける父の仕事、警 察官には絶対になりたくないと思っていたが、困った人を助ける父の姿や、ときどき見か ける、女の警察官の姿が、とても格好良く見えるようになり始めた。それは、休みの日に 見た私の父の姿のおかげだと思う。そんな私の父だが、今までに何度かけがをして帰って 来たことがある。日本じゅうにも沢山いる警察官だが、その中で私の父はたった一人。だ から、人々の安全も守ってほしいが、本当は、けがはしてほしくない。 そして、今日も無事に帰って、おいしそうにお酒を飲む姿が見たい。
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