中学生人権作文コンテスト 「平等な命」 郡上市立高鷲中学校二年 山下 璃子 NHK岐阜放送局賞 けれど、障がいをもっていてももっていなくても、た とえ周りより手がかかるとしても、一つの命に変わりは ない。その思いは、はっきりしています。 育てていく自信がない。私にはできそうにない。そん 「会議が開かれました。地球からはるか遠くで。『こ の子は特別の赤ちゃんで、たくさんの愛情が必要でしょ う。この子の成長はとてもゆっくりに見えるかもしれま せん。もしかして一人前になれないかもしれません。で すから私たちは、この子がどこに生まれるか注意深く選 ばなければならないのです。柔和でおだやかなこの尊い 授かりものこそ、天から授かった特別な子どもなので す。』」 いらない命って何?生まれてこない方がいい命なん て、誰が決めるの? あなたは、出生前検査を知っていますか?生まれてく るはずの赤ちゃんに、染色体異常がないかを調べる検査。 私はそれについての二ュースを見たとき、悲しかった。 辛かった。怒りを覚えた。 生きることを否定される命があるのか。どうしてそん な検査をする必要があるのか。理解ができませんでした。 私にはそれが、障がいのある子どもは産むな。そんな 意味をもっているように思えてなりません。 私の妹は、染色体が普通より一本多い、ダウン症です。 確かに、周りと合わせられなかったり、みんなと同じ な理由で、何の罪もない、尊い命を殺してほしくないん です。 私の母親も、娘がダウン症だったと知ったときは、シ ョックを受けたそうです。 けれど、家族全員で支え、妹は一歩ずつ前へ進んでき ました。 悩むことも、辛い思いをすることもありました。けれ ど私も母も、家族のみんなも、妹の元気な姿、笑顔に励 まされ、ここまでやってこれました。 出産の前に調べた結果で、その命が普通と少しちがう だけで、その子の生きる道を勝手に絶ってしまう、こん な命の差別、私は許せません。 ハンディにも負けず、必死に、必死に今を生きている 人々がどう思うのか、その家族がどう思うのか、考える べきではないでしょうか。 私は二ュースを見て、涙を流しました。なんでこんな 検査がうまれたんだろう。 実際、出生前検査を受けて、自分の赤ちゃんと生きて いく道をあきらめた女性はたくさんいます。 考えは人それぞれかもしれませんが、私は同時に、 ようにうまくできなかったり、大変なことは今までたく 「妹を、私が一生守ろう。妹の人生を、精いっぱい見守 さんありました。 ろう。」 けれど妹は、私にはない良さをたくさんもっています。 そう決めました。 人を素直に信じ、心から向けてくれる優しさ。どんな 障がいがあるから…と否定されるようなことはもう言 にうまくいかなくても、ただ前を向き、やりきろうとす る意志。 時には自分の欲を出しすぎてしまうこともあるけれ ど、私が一人で落ちこんでいる時、気付くとそばにいて くれる、私の心の寄りどころです。 他の障がいをもつ人だって、きっと、決められた運命 の中で、自分なりに、精いっぱい生きているんです。 その前向きな、純粋な姿を見て、私たちが見習わなけ ればならないことは、たくさんある気がします。 私はまだ子どもを産むという経験はないし、母親にな ろうとしている女性がどんな思いを抱えるのかもあまり 分かりません。 わせたくないです。 人間は、普通に生まれることが当たり前じゃない。い ろんな事情をもった命だってあります。 けれど、命は命。全てがかけがえのない奇跡。みんな 同じ、尊いものなんだと思います。 どんな命も、生きていく中で、それぞれ希望を見い出 し、前進していくことができるんです。 一日一日、一秒一秒、平等な命は、みな生きていける のだから。 ― 今日も天では、会議が開かれます。天国の特別な 子どもの、幸せを願って。 ―
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