中学生の部 優秀賞

中学生の部
優秀賞
『思いやりの心』
東海中学校 3年
大崎 美穂
「ガシャーン。」
「あいたたた。」
何気なく道路に置かれている自転車につまずいて、顔をゆがめている祖
父がいた。というのも、私の亡くなった祖父は、目が見えなかった。目
が見える人からすると“ただの自転車”かもしれないが、目の見えない
人からすると、ただの自転車も“大きな壁”になってしまうのではない
かと思う。
私の祖父は両目ともまったく見えなかったため、外に出歩く時や、室
内でも移動する時などは、常に祖母が一緒にいて、段差を教えたり、障
がいとなるものがあるのを教えたりと祖父も祖母も大変そうだった。室
内の1ミリ、2ミリのわずかな段差でもつまずいてしまうため、とても
注意をしていた。また、屋外となると、祖父にとって障がいとなってし
まうものはたくさんあったため、さらに気をつかいながら生活をしてい
たと思った。ましてや、祖父は東京に住んでいたために移動に電車を使
ったり、人が多い所を歩いたりと、身近に危険がいくつもあり、不安や
恐怖感というものもあったと思う。
今の東京は、最先端の技術や便利に物を使える日本の都市と言ってい
るが、実際はどうだろうか。あくまでも私個人の意見だか、東京は発達
していると思うがそれは一部だけだと思っている。なぜならば、確かに
車いすの方でも出入りしやすいようにスロープが設置されている、目が
見えない人のために手で読みとれるように物に点字がついているなどの
事は、たくさんしてあると思うが、電車やバスで優先席に元気そうな学
生が座っていて、お年寄りが立っている、携帯をいじりながら歩いてい
る人を多く見たことがある。このように、よく周りを見ていると実際は、
体の不自由な人にとって危険だったり住みにくい環境が少しあるのでは
ないかと思う。
このような問題点を解決するために、私は「思いやる」という気持ち
が大事だと思う。せっかく優先席という思いやりがあるのに、それを気
にせず使う。また、携帯をいじりながら歩くのも、
「周りを見れていない
ためにぶっかってけがをさせてしまったら危なくないだろうか。」と考え
るとやめることができるのではないだろうか。
また、身をもつて体験するというのも大事だと思う。体験することで
目の見えない恐怖や体の不自由な人の大変さが分かると思う。
私は、たくさんの人が安心してくらせるようにするためには、お金で
便利な物を造るのも良いかもしれないが、人の「思いやりの心」が一番
大切なのではないかと思うし、私達に今すぐにでもできることだと思っ
ている。