弥生~「心が育つ」を考える~

学 校 だ よ り
第 1 1 号
平 成 2 5 年 3 月 8 日
新 潟 市 立 和 納 小 学 校
http://www.wanow.city-niigata.ed.jp/
教育目標「心身ともに健康で実践力のある子ども」
℡0256-82-3028 Fax0256 -82-5780
弥生~「心が育つ」を考える~
校 長
新畑 章一
今年の冬は少雪だが,とにかく寒い。吹く風はまだまだ冷たく,雑木林は裸の枝を空に投げ出している。
色の乏しい季節の贈り物のように,先日,マンサクの黄色い花が咲き出したとニュースが報じた。思えば冬
から早春にかけて,目につく花は黄色が多い。カナリヤ色がまばゆい福寿草,透き通った黄色と甘い香りが
特徴のロウバイ,春黄金花の名があるサンシュユ,そして誰もが知っている菜の花や蒲公英,どの花も憂い
を知らぬ春の姿を宿しているとある大家は褒めている。この和奈美の地はまだまだ春らしさが乏しい。黄色
い花々の北へのリレー,そろそろ足を速めてほしいと願わずにはいられない今日この頃である。
ところで,
「心」とは何なのでしょうか。以前,NHK の特集番組「脳と心」で心の正体を探ろうとしており
ました。それによると,脳には,どの生き物にもある古い脳と生物の進化に伴って作られた新しい脳があり,
脳の奥深いところにある古い脳と呼ばれている部分は,動物によってそれほど大きさは変わらないのだそう
です。そして,この古い脳の働きは,
「好き,嫌い,憎しみ,怒り,悲しみなど」の感情や本能を司っている
といわれています。人間の脳は,この古い脳に新しい脳が覆い被さり,
「考える,判断する,推理する」など
の高度な,知的な働きができるようになっています。この知的な新しい脳が,感情や本能を押さえたり,調
節したりしているのが,いわゆる「心」であるというのです。
驚いたことに,人間は母の胎内にいる内に,生物として共通の古い脳を基盤として,その上に新しい脳を
順次成長させて生まれてくるというのです。言い換えれば,わずか10ヶ月足らずの間に,蛇や蛙,犬,猫,
猿と,生物の進化の過程をたどるようにして,人間としての脳が作られてくるということです。
しかし,厄介なことに,この新しい脳はいくら大きくても,そのままでは十分な働きをしないということ
なのです。つまり,新しい脳の働きは,生まれてからの様々な学習によって「知的な脳」に変えられていく
というのです。ですから,新しい脳が正常に育てられないと,当然感情や本能の脳(古い脳)の働きが強く
なり,結果として人間としてはどこか歪んだ心の持ち主が出来上がることになります。
すなわち,我慢する心,他人を思いやる心,社会の決まりを守ろうとする心などの豊かな,そして人間ら
しい心は,幼いときから繰り返し,訓練したり,学習したりしないと形成されないということになります。
ここに,心の教育の難しさがあるわけです。人間として最低限度身に付けなければならない「基礎・基本
としての心」の教育は,長い時間が掛かるのです。そしてその心は,みんな違ってみんな良いとは言えない
のです。
ここに一編の詩があります。
「心 美しくありたい
心 あたたかくありたい
どのような人の心も
大切にする人でありたい
自分の心も
大切にする人でありたい」
最近はとみに,心の教育の重要性が叫ばれています。思いやりの心,美しいものに感動する心,生命を大
切にする心などは,算数の計算のように教えて直ぐに身に付くものではありません。
心は,例えば,友達と協力して草花を育て,生き物を世話し,そして収穫を喜び合うなど,ともに額に汗
してその成果を確かめ合う活動など,人や草花,動物,自然などとかかわり合う中で醸成されてくるものな
のではないでしょうか。