西南学院小学校 学校長メッセージ 「学校通信 Wings 2015 年 9 月号」

西南学院小学校 学校長メッセージ
「学校通信 Wings 2015 年 9 月号」
平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。
マタイによる福音書
第5章9節
長い夏休みも終わり、2 学期が始まりました。夏休み期間、子どもたちが無事に過ごせたこと
に感謝します。それぞれに思い出に残る旅行や、家族での楽しいひとときを過ごされたと思って
います。私は旅行には行けませんでしたが、随分前に.北海道へ行った時、機内で小説も読み飽き、
置いてあるSkywardを読んだ際、そこに掲載されていた浅田二郎氏が書かれた「プリズン
の春」という短編について考えさせられたことを思い出しました。
内容は長い間、刑務所に入っていたので世間から取り残された男の話です。刑務所から出てき
た男がタバコを買うところから始まります。刑事がタバコを買うならここに金を入れるように教
える。すると「ばあさん、こんな箱の中じゃ、大変だろう」と男は言う。お金を入れてタバコを
買うと、
「ありがとうございました」
「おつりをお忘れにならないように」と自販機が答えました。
すると、男は「親切、ありがとうよ 少ねえが釣りは取っといてくれ」と言いながら、自販機の
前を離れながら「意外と声が若い女だったな」と言います。
読みながら、そういえば「こんな所にも?」という所にも自販機があると思いました。いろん
な国に行きますが日本ほど自販機の発達している国はないと思います。特にヨーロッパ各国では、
ほとんど自販機を見かけませんでした。あるとすれば鉄道などの切符の券売機くらいです。外国
の人に言わせると、お金の入った箱を外に出しておくなんて考えられないということです。日本
にたくさんの自販機があるというのは、それだけ自販機にとって安全な国ということでしょう。
しかし、ゲームに夢中になる人々やコミュニケーションを必要としない人々が増えてきているこ
とに不安を感じますし、またそのような人々に本当に安全な国づくりについて考えられるのだろ
うかと思います。
さて、今年の 8 月 15 日、70 回目の終戦記念日を迎えました。日本は本当に平和を求める生き
方をしているとは思えません。政府の方針を見ていると国民の声は届いていません。
私たちは、刑務所に入り世間と離されているわけではないのです。ゲームやインターネットに
熱中し政治から目を離している内に時代が変わってしまい、気がついた時に、「こんな国だっけ」
とならないように考えで行動しなければいけないと思っています。
アルフレッド・ノーベルは、
「ダイナマイト」を発明しました。自分の発明は、戦争を悲惨なも
のにするだろうから、戦争そのものがなくなると確信したと言われています。しかし、人間は原
爆の悲惨さを知ったにも関わらず、核の脅威はなくなっていませんし、戦争もなくなってはいな
いのです。ノーベルは、自分が殺人の道具を発明して財産家になった人物としてではなく、人類
の平和に貢献した人物として記憶されることを願って「ノーベル賞」を創設したと言われていま
す。日本のリーダーにも考えて欲しいことです。ノーベルは、「誰にでも、人生の半ばにおいて、
自分の墓石に刻む碑文を変更するチャンスがやってくる。その時、私たちは新しい碑文を書くべ
きである。
」と述べています。
私たちは平和を作るため、神の国に入るために、どのような碑文を書くことができるかが問わ
れています。子どもたちが安心して暮らせる社会を実現する義務があると考えます。新しい学期
が始まります。平和を実現する人づくりを目指してがんばります(和佐野)