熱中症の種類と症状 熱中症に特に注意したい人

No.212 2015年7月
丸子中央病院 薬局
近年、よく耳にするようになった熱中症。
暑い環境で生じる健康障害の総称のことで、いくつかの種類に分けられま
す。
様々な症状があり、深刻な場合は命に関わることもありますが、正しい知識
があれば予防することができます。
熱中症を知り、自分でできる熱中症対策を心がけましょう。
熱中症の種類と症状
軽度な症状から順に、以下のように分類されます。
原因
熱失神
熱疲労
熱けいれん
熱射病
症状の例
体温の上昇で血管が拡張して、血圧が めまい
低下する
顔面の蒼白
大量の発汗により、脱水状態になる
悪心、嘔吐
頭痛
判断力の低下
大量の発汗後に水分のみを補給する 筋肉痛
と、血液の塩分(ナトリウム)が低下し 手足がつる
て、筋肉の収縮の調節が妨げられる
など
など
など
症状が進行して、脳の中枢機能に異常 体温が異常に高い
をきたす
意識障害
非常に危険な状態
呼びかけや刺激への反応が鈍い
など
熱中症に特に注意したい人
【乳幼児】
大人に比べて体温が高いのが特徴ですが、汗腺が未熟なために、うまく体温調節ができません。
晴れた日の車中やベビーカーでは、短時間で体温が上がるので注意が必要です。
【高齢者】
体内の水分の割合が少ないことや、暑さや喉の渇きを感じにくいこと、心・腎機能が低下しがちなこ
とが原因です。
治療
第一は、身体を冷やすこと。氷枕などを用いて熱や炎症を取り除く 「冷却療法」が行われます。
さらに、脱水症状などで水分や塩分が不足している場合は、点滴でそれらを補います。
例…ラクテック、ソリタ T-3 号 など。
☆意識が失われたり、経口での水分摂取が困難の場合は、直ちに医療機関での処置が必要で
す。
熱中症の予防法
○ 暑さを避ける
外出時には日陰を歩いたり、帽子や日傘を使いましょう。
家の中では、ブラインドやすだれで直射日光を遮る、扇風機やエアコン
で室温・湿度を調整しましょう。
○ 服装を工夫する
理想は、外からの熱の吸収を抑え、体内の熱をスムーズに逃がす服装です。
素材は、吸収性や通気性の高い綿や麻などがいいでしょう。
○ こまめな水分補給をしましょう
暑い日には知らずしらずのうちに汗をかき、体内の水分が失われているものです。のどが渇く前
からこまめに水分を補給しましょう。
また、汗をかくと、水分と一緒にミネラルやビタミンも失われます。水分補給だけではなく、ミネラル
も補給するようにしましょう。
効果的な水分補給
ナトリウムと同時にブドウ糖が存在することで、腸管での水分の吸収が速やかになるので、両方
を含んだ水分を摂取するのが効果的です。
経口補水液などは、効率の良い水分摂取に適した構成で作られています。
暑さの厳しい夏を、熱中症にならないように過ごしましょう。
文責 薬局 滝澤・仁平