線型代数 ノート 11 M. Kurihara 2015 年 7 月 6 日 2 次形式の符号 n n Q(x1 , ..., xn ) = i=1 j=1 aij xi xj を変数変換して Q(x1 , ..., xn ) = α1 X12 + ... + αn Xn2 と書き直す。 α1 ,...,αn の中で正のものの数を r 個、負のものの数を s 個とするとき、(r, s) を 2 次形式 Q(x1 , ..., xn ) の 符号 と言う。符号は変数変換の取り方によら ない。 特に、符号が (n, 0) のとき、Q(x1 , ..., xn ) は 正定値 (正値) であると言う。 r + s = n のとき、Q(x1 , ..., xn ) は 非退化 であると言う。A を 2 次形式 Q(x1 , ..., xn ) に対応する n 次行列とするとき、Q(x1 , ..., xn ) が非退化である ことは、det A = 0 と同値である。 2 変数二次形式と二次形式で表される曲線 (非退化の場合) a, b, c を正の実数とする。 ax2 + by 2 = c 楕円 ax2 − by 2 = c 双曲線 3 変数二次形式と二次形式で表される曲面 (非退化の場合) a, b, c, d を正の実数とする。 ax2 + by 2 + cz 2 = d ax2 + by 2 − cz 2 = d 楕円面 ax2 − by 2 − cz 2 = d 二葉双曲面 一葉双曲面 行列の対角化に関するその他の話題 1. Cayley Hamilton の定理 A を n 次行列、ΦA (x) を特性多項式とするとき、ΦA (A) = O が成立する。 1 2. 最小多項式 A を n 次行列、fA (x) を fA (A) = O をみたす次数が (1 以上であって) 最 小の多項式とする。fA (x) の最高次の係数が 1 のものは、A によって、ただ ひとつ定まる。この多項式を A の 最小多項式 と言う。Cayley Hamilton の 定理により、次が成立する。 「ΦA (x) は fA (x) で割り切れる。 」 また、 「A が対角化可能 ⇐⇒ fA (x) = 0 が重解を持たない」 が成立する。 3. 行列の m 乗 A を n 次行列で対角化可能とする。P −1 AP = D を対角行列とすると、 D m は簡単に計算できる。このことから、Am = P Dm P −1 と計算できる。 11-1. 次の 2 次形式に対し、直交行列 P をとり、 ⎛ ⎞ ⎛ ⎞ x X ⎜ ⎟ ⎜ ⎟ その変換 (⎝ Y ⎠ = P −1 ⎝ y ⎠ なる変換) により、標準形にせよ。 z Z また、この 2 次形式の符号を求めよ。 (1) x2 + y 2 − z 2 + 2xy + 2xz − 2yz (2) −3x2 + y 2 − 3z 2 + 2xy + 6xz + 2yz 11-2. 次の曲面はどのような曲面になるか答えよ。答だけでよい。 (1) x2 + y 2 − z 2 + 2xy + 2xz − 2yz = 1 (2) −3x2 + y 2 − 3z 2 + 2xy + 6xz + 2yz = 1 11-3. 次の行列の特性多項式 (固有多項式) と最小多項式を求めよ。 ⎛ ⎞ ⎛ ⎞ 2 1 0 0 2 1 0 0 ⎜ ⎟ ⎜ ⎟ ⎜ 0 2 1 0 ⎟ ⎜ 0 2 1 0 ⎟ ⎟ ⎜ ⎟ (1) A = ⎜ (2) A = ⎜ 0 0 2 0 ⎟ ⎜ 0 0 2 1 ⎟ ⎝ ⎠ ⎝ ⎠ 0 0 0 2 0 0 0 2 提出 上記の練習問題を解いて、7 月 13 日のこの授業のときに提出すること A4 レポート用紙に書くこと。名前、学籍番号、所属学科を忘れずに書くこと。 2
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