異文化理解のために,まずは自国を知ることが大切

【研究者プロフィール №166】
大分県立芸術文化短期大学
国際総合学科
専任講師
長福
香菜
(チョウフク
カナ)
専門・キーワード等
日本近世・近代文学,古典文学,和歌,
近代短歌,御歌所
1 . 私 は こ の よ う な学 生 で し た 。
私は日本と欧米の両方の文化について学びたいと思い,大学へ進学しました。しかし,平安
期の和歌研究をされていた先生の授業に心惹かれ,3・4年生ではその先生のゼミに所属し,
日本の古典文学,特に和歌文学についての研究を始めました。しかし,ゼミ生はたった一人,
私だけでした。1対1のゼミのため,毎授業の発表に追われ,図書館にこもる日々でした。大
変でしたが,多くの文献の調査・収集を通して,基礎的な研究方法を身につけることにつなが
ったと思います。また,変体仮名やくずし字の解読から和歌の解釈,古典文学における知識と
いった様々なことを丁寧に教えていただけたことは大変贅沢な時間であったと思います。この
ときの経験と恩師との出会いのおかげで,今の私があると思っています。
2 . こ の よ う な 研 究を し て い ま す 。
幕末から明治期にかけての旧派,特に御歌所派歌壇についての研究をしています。御歌所は,
明治2年11月に侍従候所に歌道御用を取り扱わせたことに由来し,その後の改編を経て,明
治21年6月に設置されました。御歌所に所属する歌人らを総称して御歌所派,また宮内省派
と呼称し,彼らは歌壇の権威として君臨していました。しかしながら,与謝野鉄幹・正岡子規
らの所謂新派が御歌所批判をおこなって以来,彼らの価値観は顧慮されることなく踏襲され,
今なお御歌所派の存在意義は否定されたままの状況に甘んじています。
よって,御歌所派歌壇全体の文学的意義を解明するとともに,近代短歌史を再構築すること
を研究の目的としています。
3 . こ の よ う な 授 業を し て い ま す 。
日本文学,日本の文化,文章表現,プレゼンテーションなどの授業を担当しています。日本
文学を通して,自国の社会や文化,風俗習慣,そしてものの考え方や感じ方を歴史的に捉える
ことによって「古」と「今」の日本について考えていきます。自国を知ることは世界に視野を
広げるとともに,他国を理解することに繋がっていくはずです。併せて,私たちが送る社会生
活の根幹を成す言葉(日本語)を重視し,様々な言語活動を通して,的確に把握する力と正し
い日本語・美しい日本語を使って論理的に表現する力を養い,コミュニケーション力の向上を
目指しています。
-地域連携研究コンソーシアム大分 2015-
【研究者プロフィール №166】
4 . 学 生 に 学 ん で ほし い こ と 。
内だけに向かわず,外へ目を向けることは大事です。しかし同時に,私たちの核となる「日
本人」としての意識は忘れずに持ち続けてほしいと思います。そのために,今自分がいる日本
という国についてもっと知ってください。日本の歴史や社会,文化,そして言葉(日本語)を
より知ることが,世界に視野を広げ,他国を理解する手助けとなります。
そして,ぜひ謙虚に学ぶ姿勢を常に持ち続けてほしいと願っています。その姿勢が必ず自ら
の成長を促してくれるはずです。
-地域連携研究コンソーシアム大分 2015-