大分県立芸術文化短期大学 情報コミュニケーション学科 准教授 竹内

【研究者プロフィール №162】
大分県立芸術文化短期大学
情報コミュニケーション学科
准教授
竹内
裕二
(タケウチ
ユウジ)
専門:まちづくり,経営学
キーワード:まちづくり,地域経営,
地域活性化,ソーシャルマネジメント,
人材育成
1.私はこのような学生でした。
私は,幼い頃から将来芸術家になりたいと思って,高校生まで美術の道を歩んでいました。
ところが,自分自身の技術の限界を感じ,大学進学時に「俺は,地球上の芸術家になる」と考
えを一新して,工学部土木建築科への道に転身しました。
「いつか,地図上に残る仕事をするん
だ」と,自分に言い聞かせながら,毎日苦手な計算式と睨めっこしていたことを思い出します。
今考えてみると,当時の私は,ロマンチストだったのだと恥ずかしく思ってしまいます。
その後,ドイツの大学で勤務し,帰国後日本の建設会社へ就職して,そのまま落ち着いた生活
をするものだと考えていました。ところが,祖父母や父の介護のため退社し,脱サラして「ま
ちづくり」を業とした会社を経営しました。その際,他社との区別化をするため大学院へ進学
し,開業してからの5年間を博士論文にまとめたところ,学位を取得することが出来ました。
この一連の生き方から私自身,時代の流れに身を任せながら,負けん気だけで生き抜いてきた
ように感じます。だから,今の自分がいます。
2.このような研究をしています。
私は,地域を活性化することを前提にした「市民参加によるまちづくり」の研究を行ってい
ます。ここでの研究手法は,社会実験による実践・実証型手法を用いています。このような研
究手法を用いるようになったのは,
「市民参加によるまちづくり」そのものが歴史的に新しいた
めに既往研究から見出す事柄に限界があるからです。
「市民参加によるまちづくり」で重要な意
味をもつものに「継続」や「持続」があります。これまでの活動では,一過性のものはできて
も,持続することができていません。しかし,一部の活動において,持続可能な活動が存在し
ています。それらの活動から持続させるための過程で,各種活動に参加する人々のモチベーシ
ョンを維持していくためのプロセスを明らかにし,それを再現性ある形に導くために,何を,
どのようにすればよいのかを研究しています。この研究の応用として,災害時を含む地域経営
における人的管理と運営へ活かしていきます。
-地域連携研究コンソーシアム大分 2015-
【研究者プロフィール №162】
3.このような授業をしています。
私は,学問的知識の提供を学生にしますが,それ以上に学生が情報を収集し,咀嚼して,そ
の知識を生活に生かせる講義をしています。多くの学生は,他人の考えを知りたがっています。
私は,人間誰しも,初めて知ること,考えることに不安を抱くものだと考えています。だから
こそ,他者の考えを知り,自分の考えと他人の考えを比較することで,自分自身の考えの位置
づけや,多様な考えの存在を実感してもらいたいのです。このことを認識しなければ,真のコ
ミュニケーションはできません。他人の話を聞き,自分の意見を言う行為は,情報を収集し,
自分の中でその情報を取捨選択する能力と自己の意思を相手に伝える最も大切な能力を養う訓
練になるからです。現代社会は,インターネットの発達により高度な知識を得ることが容易に
なりました。しかし,その一方で膨大な情報を処理する能力や技術が人間自身に身についてい
ないために,間違った情報までをも本当の情報のように咀嚼し,実践社会で活用してしまう人
が多くなりつつあるからこそ,今後より重要になると思います。
4.学生に学んでほしいこと。
物事は,その人の立ち位置や見方によって異なった見え方をします。
「市民参加によるまちづ
くり」では,物事を一方向から見ると偏った見方や間違った見方になりかねません。そのよう
な状況にさせないためにも,学生自身が大局的な視点から物事を見る訓練が求められ,自分自
身が学ぶ。習得しようという意識がなければ,どんなに知識を習得しても絵に描いた餅となっ
てしまいます。同時に私は,学生に「本物を見る目」を養って欲しいと願っています。つまり,
本物か,偽物かを判断するためには,本物がわからなければ判断できないと考えるからです。
だからこそ,学生にとって,好き・嫌いに関わらず,一通りのことを学んだ上で,自分の得意
不得意を見極め,自分の進むべき道を選択してもらいたいと思います。
-地域連携研究コンソーシアム大分 2015-