【研究者プロフィール №168】 別府大学 教授 食物栄養科学部発酵食品学科 吉井 文子 (ヨシイ フミコ) 専門:香料化学,化学教育,構造活性相関, 計算化学 1.私はこのような学生でした。 周りが山に囲まれた自然豊かな土地で育ち、中学校の夏休みには理科室で自分がやってみた い化学実験をしてマリー・キュリーに憧れていました。実験が好きで大学院修士課程に進みま したが、修了後しばらくしてから「匂い分子の構造と匂いの関係が知りたい」という思いから、 無給の研究員を経て博士課程後期に入学しました。お金には縁がないですが、自分の興味を優 先できたのは、高校生の時にアメリカに行った経験から自分を絶対的に信じることができるよ うになったこと、女子大学で活躍する多くの女性を目の当たりにできたこと、そして何より家 族の理解があったおかげだと思っています。 2.このような研究をしています。 コンピュータを利用した匂い物質の特徴解析、ヒトの嗅覚による香りの官能評価、精油の抗 菌活性測定などを、共同研究者の協力のもとに行ってきました。これに付随し、フレーバーデ ータベースの作成、新規匂い物質の設計、匂い受容機構の化学的特徴も検討しています。今後 は、1)フレーバー化合物のデータベースの改良と完成、2)香りの抗菌性やヒトへの効果・機 能性の検討、3)微生物が生成する新しい香りの研究、4)香りを用いた市民への化学教育も テーマにしたいと考えています。 3.このような授業をしています。 今年度赴任してきたばかりですが、実験規模を縮小したマイクロスケールケミストリー実験、 分子模型の活用、分子モデリングソフトウェアの利用など、これまでの経験をいかせるような 体制を作りたいと思っています。また、食品香料コースがあるため、香料やハーブ、アロマテ ラピーに関連した内容も充実させたいと考えています。所属学科の特色としては、外部講師の 協力も得て、教員が持ち回りで発酵食品の仕込みや加工を行う発酵食品製造・加工実習があり ます。 4.学生に学んでほしいこと。 若い時に学んだ内容や実験の手法などは本人の興味や選択に影響を与えるので、できるだけ 広い分野に関心を持ちチャレンジ精神を持って取り組み、後になってから後悔しないほど一生 懸命に勉強してみてほしいです(難しいですが)。おそらく人生が変わるでしょう。 食品や香粧品の香りの成分は、原子数が少ないシンプルな有機化合物がほとんどなので、ぜひ コンピュータを用いた分子のモデリングなどにも挑戦してほしいです。 -地域連携研究コンソーシアム大分 2016-
© Copyright 2024 ExpyDoc