2014年11月4日号 リート市場レポート 日銀追加金融緩和決定とJ-REIT市場 日銀 追加緩和を決定 ◆日銀は10月31日、金融政策決定会合を開き追加の金融緩和を決定しました。 ~主な決定内容~ 【図表1】 (注)下記緩和策は政策が変更されるまで継続されます。 ①マネタリーベース(資金供給量)が、現行の年間60~70兆円から年間約80兆円に相当するペースで増加 するよう金融市場調節を行う。 ②長期国債の買入れは、現行の年間約50兆円から年間約80兆円に相当するペースで増やす。 ③買入れる国債の残存期間を現行の7年程度から7~10年に延長する(最大3年程度延長)。 ④上場投信(ETF)の買入れは、年間約1兆円から年間約3兆円に相当するペースで増やす(約3倍)。 ⑤J-REITの買入れは、年間約300億円から年間約900億円に相当するペースで増やす(約3倍)。 J-REIT市場等の反応 ◆追加金融緩和決定を受けて、10月31日の市場では、金利低下、円安、株高、J-REIT高となりました。 ~J-REIT市場の動向~ 【図表2】 • J-REITの買入れ額目処については、仮に追加緩和が決定されても約300億円に据え置かれるとの予想が多かった ように思われ、買入れ額増額の決定は市場に驚きを与えたようです。 • 10月31日の東証REIT指数の終値は1,716.55ポイントと2013年3月27日(1,700.91ポイント)以来の1,700ポイント 超えとなり、2008年1月10日(1,733.85ポイント)の水準まで回復しました。 • 10月31日時点のJ-REIT市場の配当利回りは3.31%、時価総額は9.34兆円(史上最高)です。 【図表1】日本銀行のバランスシートの見通し マネタリーベース (兆円) 13年末 14年末 今後の年間 (実績) (見通し) 増加ペース 202 275 +約80兆円 142 200 +約80兆円 【図表2】東証REIT指数と同配当利回り推移 (2013年1月4日~2014年10月31日 日次) (バランスシート項目の内訳) 長期国債 CP等 2.2 2.2 社債等 3.2 3.2 残高維持 ETF 2.5 3.8 +約3兆円 J-REIT その他とも資産計 銀行券 当座預金 その他とも負債・純資産計 残高維持 0.14 0.18 +約900億円 224 297 - 90 93 - 107 177 - 224 297 - 出所:日銀データを基にニッセイアセットマネジメント作成 出所:ブルームバーグデータ等を基にニッセイアセットマネジメント作成 (年/月) 今後の見通し J-REIT市場は年初から以下のような材料を背景に上昇基調を続けてきました。今回の日銀の追加緩和策決定は、 J-REIT市場にとって新たな支援材料になりそうです。 急上昇を受け、当面は値動きが荒くなる可能性もあり、一時的に反動安となる局面もありそうです。しかし、次第に落 ち着きを取り戻し、J-REIT市場は年末に向け緩やかな上昇基調に回帰するものと考えます。 当面の東証REIT指数の上値目処として1,770ポイント程度を想定していますが、10年国債金利が現状程度の水準 に留まる、米国株式市場が堅調に推移する等いくつかの条件が揃えば1,800ポイントを超える展開も想定されます。 <J-REIT市場を支える主な材料> ①不動産市況の回復(地価の上昇、首都圏等のオフォス賃料上昇等)及びその鮮明化期待 ②J-REITの業績回復期待(今後配当額が増加するとの期待) ③金利の低位安定(国債金利に比べたJ-REITの配当利回りの高さ) ④GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)等公的年金資金の流入期待(中長期資金の流入による市場の 安定期待等) 当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものでは ありません。 当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。 当資料の グラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、 実質的な投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。<審査確認番号H26-TB91>
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