2016年1月28日 オーストラリアREIT市場の動向と今後の見通し (2015年10月~2015年12月) 足もとのオーストラリアREIT市場 ~2015年は相対的に堅調に推移~ リーマンショック以降、オーストラリアREITは上昇傾向にありますが、ゼロ金利や量的金融緩和などの大胆な金融 政策を実行した日米欧のREITと比較すると価格に出遅れ感があります(左グラフ)。2015年は、オーストラリア経済 が緩やかな景気回復を継続したことから、日米のREITに比べ、オーストラリアREITは堅調に推移しました。8~9月は、 中国経済に対する懸念や米国の早期利上げ観測から下落する場面もありましたが、その後、米国の利上げ観測の 後退や中国の追加金融緩和実施、オーストラリアの利下げ観測などを背景に上昇に転じ、12月に米国の利上げが 決定されると、今後の利上げペースが緩やかになるとの見方からオーストラリアREITは上昇しました(右グラフ)。 各国・地域のREIT指数の推移 (2008年12月末~2015年12月末、月次) 350 (2014年12月31日~2015年12月31日、日次) 130 欧州 300 120 米国 250 110 200 日本 欧州 150 米国 オーストラリア 100 50 08/12 オーストラリア 100 90 ※2008年12月末を100として指数化 09/12 10/12 11/12 12/12 13/12 14/12 15/12 ※S&P REIT指数(現地通貨ベース、配当込み)の各国・ 地域のデータ (年/月) 日本 ※2014年12月31日を100として指数化 80 14/12 15/2 15/4 15/6 15/8 15/10 15/12 (年/月) (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 オーストラリア経済の状況 ~個人消費など内需を中心とした成長へ~ 中国の景気減速の影響は限定的 オーストラリアREITの値動きに関係するオーストラリア経 済の状況について確認します。 オーストラリアは資源国のイメージが強く、中国の景気 減速懸念を背景に昨年来下落基調となっている商品市場 の影響を受けやすいと思われがちです。 しかし、オーストラリア経済に占める資源(鉱業)の割合 はGDPの1割以下で、GDPの7割以上はサービス業を中心 とした内需産業となっています。 内需は、人口増加を背景とした個人消費の拡大から堅 調に推移しています。足もとの設備投資額においても、既 に非資源セクターへの投資が資源セクターへの投資を上 回っており、今後も中国の景気減速の影響は限定的と考 えられます。 設備投資額のセクター別構成比の推移 (2000年1-3月期~2015年7-9月期、四半期) (%) GDPの産業別構成比 100 (2015年6月末現在) 第1次産業 2.4% 75 第3次 産業 73.4% 50 うち、鉱業 9.3% 第2次産業 24.1% 非資源セクター 25 資源セクター 0 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年) ※構成比率は端数処理の関係で合計値が100%とならない場合があります。 (出所)オーストラリア統計局のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/4 上昇傾向にある商業施設のテナント賃料 オーストラリアREITは、ショッピングセンターなどの商 業施設に特化したREITが中心となっており、REIT全体 の用途構成比率で商業施設は約5割となっています (3ページ右下の円グラフをご参照)。 また、オーストラリアREITの一般的なテナント契約は、 消費者物価指数に連動するよう、毎年賃料の見直しが 行なわれます。 オーストラリア経済は、消費者物価指数の安定した推 移と小売売上高の拡大を背景に今後も緩やかな改善 が見込まれており、オーストラリアREITは賃料収入の 増加や配当成長が期待されます。 ※小売売上高、消費者物価指数は2002年6月を100として指数化 ※消費者物価指数は2015年9月までの四半期データを使用 ※テナント年間賃料は、センター・グループ、GPTグループ、ビシニティ・センターズ (旧ノビオン、旧フェデレーション・センターズ)の各年度の賃料の平均値 (出所)マーティン・カリー・オーストラリア、Bloombergのデータを基に三井住友 トラスト・アセットマネジメント作成 魅力的な配当利回りとNAV倍率 オーストラリアの小売売上高、消費者物価指数 および商業施設のテナント賃料の推移 (2002年6月~2015年11月、月次) (豪ドル) 200 2,000 1平方メートル当たりのテナント年間賃料(右軸) 小売売上高(左軸) 消費者物価指数(左軸) 150 1,500 1,000 100 500 50 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年) ~バリュエーションは引き続き良好~ 配当利回りは⾼⽔準を維持、NAV倍率は良好な⽔準 NAV倍率とは NAVとは、保有不動産の時価ベースの純資産で「Net Asset Value = 純資産価値」の略です。NAV倍率は一口当たりのNAVの何倍までREITが 買われているかをみる指標です。数値が1倍未満であると、投資口が保有不動産の時価より割安に評価されているということを意味します。 オーストラリアREITの配当利回りは足もと5.1%と、日米欧の各REITと比較して相対的に高い水準にあります。 オーストラリアREITは安定的な賃料収入が期待できることから、今後も相対的に高い配当利回りが予想されます。 オーストラリアREITのNAV倍率は2015年6月末時点で1.29倍と、オーストラリアの好調な不動産市況を反映して 上昇傾向にありますが、リーマンショック前の水準と比較して低位にあり、引き続き良好な水準と言えます。 主要国のREITと国債の利回り差 6 5 (2015年12月末現在) (%) 5.1% REIT配当利回り 3.3% 2.0% 1.51 1.35 1.04 1.03 1.15 1.0 利回り差 利回り差 利回り差 利回り差 利回り差 2.2% 1.6% 3.1% 0.9% 3.2% 米国 日本 英国 フランス ※各国のREITの配当利回りはS&P各国REIT指数を使用 ※利回り差は小数点第2位を四捨五入 (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス、Bloombergのデータを基に三井住友 トラスト・アセットマネジメント作成 0.8 0.84 0.6 05 06 07 08 1.32 1.29 1.21 1.0% 0.3% オーストラリア 割⾼ 1.2 2.3% 1 0 1.68 1.6 1.4 2.8% 2.9% 2 (2005年~2015年、年次) (倍) 1.8 10年国債利回り 4.2% 3.8% 4 3 オーストラリアREITのNAV倍率の推移 0.90 割安 09 10 11 12 13 14 15 (年) ※2015年は2015年6月末のデータ (出所)レッグ・メイソン・アセット・マネジメントのデータを基に三井住友トラスト・アセット マネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/4 都市別 ⼈⼝構成 GDP 実質GDP成長率と推定人口の推移 26 (1990年~2020年、年次) (%) 6 予測値 推定人口(左軸) 5 24 4 22 3 20 2 18 1 28 (百万人) 実質GDP成長率(右軸) 14 12 (2015年3月時点) 1990 1995 2000 2005 2010 メルボルン 18.9% ダーウィン 0.6% ホバート 0.9% アデレード 5.6% -1 2015 シドニー 20.6% その他 35.1% 0 16 都市別人口構成比 -2 2020 (年) パース 8.6% ブリスベン 9.7% ※2015年以降の実質GDP成長率は予測値 ※⼈⼝1,000万⼈以上の国が対象(2014年) Aaa 毎年約20万⼈の移⺠受け⼊れ 国⼟⾯積は、約769万k㎡ (世界6位、⽇本の20倍) 61,066⽶ドルで世界1位 国債格付け 積極的な移⺠政策 広⼤な国⼟ 1⼈当たり名⽬GDP 政府債務残⾼ ※2005年〜2014年の過去10年の平均 住みやすい都市*2 先進国中で36%と低⽔準*1 メルボルンは4年連続の世界1 位 *1:⽶国105%、⽇本246% ※対GDP⽐、2015年 ※Moodyʼsの⾃国通貨建⻑期債(2015年12⽉末) *2:エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が発表する住みやすい都市ランキン グ(2014年)。世界140都市の住みやすさを「安定性」、「医療」、「文化と環境」、「教 育」、「都市基盤」の5項目について評価。メルボルン以外も、アデレードが5位、シド ニーが7位、パースが9位など、オーストラリアの4都市が上位10都市にランクイン。 市場 規模 ⽤途別 構成 世界REIT市場の国別構成比(時価総額ベース) フランス 4.1% その他 11.0% (2015年12月末現在) その他 2.6% (2015年12月末現在) 産業用施設 10.8% 英国 6.1% オースト ラリア 7.0% オーストラリアREIT市場の用途別構成比率 オフィス 10.9% 米国 64.4% 商業施設 48.8% 分散型 26.9% 日本 7.5% ※S&PオーストラリアREIT指数のデータを使用 ※用途別構成比はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの用途分類基準 (出所)IMF(国際通貨基金)「世界経済見通し2015年10月」、国連「World Population Prospects(The 2015 Revision)」、オーストラリア統計局、S&Pダウ・ジョーンズ・インデッ クス、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※S&PグローバルREIT指数の各国インデックスのデータを使用 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/4 ご参考資料 【 ご留意事項 】 ● 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断 ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ● 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 4/4
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