2016年10月26日 J-REIT市場の動向と今後の⾒通し (2016年7⽉〜2016年9⽉) J-REIT市場の振り返り (図1)東証REIT指数とTOPIXの推移 J-REIT市場は、年初の日銀によるマイナス金利政策 導入が好感されたことなどから、6月までは国内株式に 比べて堅調に推移しました(図1参照)。しかしその後、 公募増資や新規上場が活発化し、投資口の供給増加 が重荷となっています。ただし、公募増資等は短期的 には需給悪化となる場合があるものの、中長期的には J-REITの成長につながるものと考えられます。 また、日銀は9月の金融政策決定会合で、金融緩和 強化のための新しい枠組み「長短金利操作付き量的・ 質的金融緩和」を発表しました。現時点では、発表後 のJ-REIT市場に大きな動きは見られていませんが、今 後の金利上昇リスクが低下したことはJ-REITにとって プラスに働くものと期待されます。 (2016年1月4日~2016年9月30日、日次) 2,200 2,000 1,800 1,800 1,600 1,600 1,400 1,400 1,200 1,200 銀行、投資信託は、今年2月から4月のJ-REITの上 昇局面では戻り売りも見られましたが、 5月以降は 5ヵ月連続で流入超と再び買い基調となっています。 2016年4月末から8月末までの間で東証REIT指数は 約5%下落し、その後9月は揉み合いとなりましたが、 5月以降の資金流入額は、銀行(565億円)、投資信 託(834億円)と押し目を拾う動きが見られています (図2参照)。 1,000 16/1 16/2 16/3 16/4 16/5 16/6 16/7 16/8 16/9 (年/月) (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 銀⾏、投資信託が買い越し J-REIT市場は、銀行、投資信託を通じた個人投資 家が、主要な買い手となってきました。東証REIT指数 はアベノミクス前の2012年10月末から2016年9月末ま で約73%上昇、2012年10月~2016年9月での銀行、 投資信託を通じた資金流出入は、それぞれ6,650億 円、7,276億円の流入超となっています。 2,000 東証REIT指数(左軸) TOPIX(東証株価指数)(右軸) (図2)J-REITの主な投資部門別の売買動向と 東証REIT指数の推移 (2016年1月~2016年9月、月次) (億円) 2,000 1,900 1,500 買い 越し 1,000 1,800 500 1,700 0 東証REIT指数(左軸) 1,600 1,500 海外投資家 投資信託 個人投資家 銀行 ※売買動向(棒グラフ)は右軸 1,400 -500 -1,000 売り -1,500 越し 16/1 16/2 16/3 16/4 16/5 16/6 16/7 16/8 16/9 (年/月) ※銀行の定義:銀行法により免許を受けた国内普通銀行ならびに 一般社団法人信託協会に加盟している信託銀行 (出所)東京証券取引所のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジ メント作成 J-REITの魅⼒4つのポイント ⾦融政策 「⻑短⾦利操作付き量的・質的⾦融緩和」で⾦融緩和継続 堅調な業績 〜空室率、平均賃料、1⼝当たり配当⾦〜 2017年も増益基調 良好な不動産ファンダメンタルズ 割安感が続くJ-REIT 〜基準地価上昇、含み益の拡⼤〜 〜海外REITとの⽐較、過去のインフレ期との⽐較〜 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/7 ご参考資料 金融政策 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で金融緩和継続 ⽇銀による新たな⾦融政策の枠組みは、J-REIT市場へプラス材料 日銀は、9月20~21日開催の金融政策決定会合で金融政策の効果について総括的な検証を行い、新たな金 融政策の枠組みとして「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しました(図3参照)。長短金利操 作(イールドカーブ・コントロール)では、10年国債利回りを概ね現状水準(ゼロ%程度)で推移するよう調整する としています。また、物価上昇が安定的に目標の2%を超えるまで、この金融政策を継続するオーバーシュート 型コミットメントにより、将来にわたって金融緩和の効果浸透を図ることとしています。一般的にJ-REIT投資にお いて最も心配されるリスクとして、物価上昇を伴わない金利上昇が挙げられますが、日銀が長期金利が上がら ないようコントロールし、また金融緩和姿勢を長期間続ける姿勢を示したことは、J-REIT投資に安心感を与える ものと考えられます。 (図3)日銀による新たな金融政策(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)の枠組み J-REITにとっての プラス要因 (1) 長短金利操作 (イールドカーブ・コントロール) ●短期金利 ●長期金利 従来どおり、日銀当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利を適用 10年国債利回りが概ね現状(ゼロ%程度)で推移するよう長期国債を 買い入れ ●国債購入額 概ね現状の買い入れペースを目処(保有残高増加額:年間約80兆円) 買い入れ国債の平均残存期間の定め(7~12年程度)は廃止 ●操作を円滑化する手段として、日銀が指定する利回りでの国債買い入れ(指値オペ) を新設、固定金利の資金供給の期間を従来の1年から最長10年まで延長 借り入れ金利低下による 業績へのプラス要因 J-REITと国債との利回り 差拡大によるJ-REITの魅 力向上期待 (2)資産買入方針 年間900億円の買い入れ 継続によるJ-REIT価格の 下支え効果 ●長期国債以外の資産については、現状どおり (3)オーバーシュート型コミットメント 不動産購入誘発の可能 性による不動産価格上昇 期待 ●日銀は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するため に、必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続。 (出所)日銀の発表資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (図4)日銀のJ-REITの 保有残高実績および見通し ⽇銀の買い⼊れは2017年も継続する⾒通し 日銀は、量的・質的金融緩和のもと、J-REITの買 い入れを実施しており、市場の下支え役となってい ます(図4参照)。個別銘柄で保有比率が5%を超え る銘柄があるものの、昨年12月に拡大した買入限度 額の10%に対してはまだ余裕がある状況です。 今回の金融政策決定会合において日銀は、今後 の追加金融緩和策として「資産買い入れの拡大」も 明示していることから、J-REITの買入枠のさらなる拡 大の可能性もありそうです。 (2012年末~2016年末、年次) (億円) 4,000 3,000 2016年10⽉6⽇時点 2016年分残枠 推定約209億円 約3,600億円 2,696億円 1,778億円 2,000 1,108億円 1,401億円 年間 +900億円 ペース 1,000 0 資産買入等の 量的・質的 金融緩和 基金 (~2013.4.4) (2013.4.4~) 2012年末 (実績) 2013年末 (実績) 量的・質的 金融緩和の拡大 (2014.10.31~) 2014年末 (実績) 2015年末 (実績) 補完措置の 導入 (2015.12.18~) 2016年末 (⾒通し) (出所)日銀の発表資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/7 ご参考資料 堅調な業績 ~空室率、平均賃料、1口当たり配当金~ 2017年も増益基調 オフィス空室率が低位で推移する中、賃料⽔準は上昇基調 東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率(三鬼商事発表)は、2015年7月以降、5%を下 回る水準で推移しています。不動産賃貸市場では一般に空室率が5%を下回ると価格交渉で貸し手側が優位に なるとされ、足もとの賃料水準は着実に上昇しています(図5参照)。 底堅いオフィス需要を背景に、安定した需給バランスの継続が見込まれます。 (図5)東京都心5区のオフィス空室率と賃料の推移 (2002年1月~2016年9月、月次) (円/坪) 25,000 (%) 10 賃料(左軸) 空室率(右軸) 23,000 8 21,000 6 19,000 4 17,000 2 (2016年9⽉現在) 15,000 02/1 04/1 06/1 08/1 10/1 12/1 14/1 16/1 空室率 3.7% 賃料 18,336円 0 (年/月) (出所)三鬼商事のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (図6)1口当たり配当金の推移 J-REITの増益基調は今後も続く⾒込み (2011年6月~2016年9月、月次) (円) 70 堅調なオフィス需要や借入コストの低下により、 J-REITの業績は増益(増配)基調で推移していま す。 J-REITが手がける不動産賃貸ビジネスは、通 常、数年単位で契約を結ぶため、一般企業に比 べて売上の変動が小さくなる傾向があります。ま た保有物件の大半が国内に所在するため、海外 経済の影響を受けづらいという特性があります。 このため、2017年も賃貸料収入の増加や、物件 取得による利益の増加などJ-REITの業績は増益 (増配)基調が続くものと思われます(図6参照)。 2017年末予測 65 2016年末予測 60 55 50 45 11/6 12/6 13/6 14/6 15/6 16/6 17/6 (年/月) ※1口当たり配当金は東証REIT指数の1口当たり実績配当金の直近 12ヵ月合計、2016年末以降はBloomberg予測 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント 作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/7 ご参考資料 良好な不動産ファンダメンタルズ ~基準地価上昇、含み益の拡大~ 都市部・商業地を中⼼に上昇トレンド継続 (図7)基準地価(住宅地、商業地)の変動率(前年比)の推移 (平成26年~平成28年) 国土交通省は9月20日、2016年7月1日時点の都 道府県地価調査(基準地価)を発表しました。 変動率 ⾒⽅ J-REITの主要投資対象地域である大都市周辺 の商業地の地価上昇トレンドは継続しており、今 後も堅調な不動産需要を背景とした賃貸料収入 の増加、地価、不動産価格の上昇による保有不 動産の含み益拡大が見込まれることは、J-REIT 市場にプラスに働くと考えられます。 ▲0.9%〜▲0.1% 2.5%〜4.9% 住宅地 三大都市圏(東京、大阪、名古屋)の前年比変 動率は、住宅地が3年連続で上昇、商業地が4年 連続の上昇となりました(図7、図8参照)。特に商 業地は外国人観光客の増加などによる店舗、ホ テル需要の高まりや主要都市中心部での堅調な オフィス需要を背景に上昇基調を強めています。 また札幌、仙台、広島、福岡の地方四市は、住 宅地・商業地ともに三大都市圏を上回る上昇を示 しており前年比+6.7%となりました。地価上昇の全 国への広がりが確認できます(図7参照)。 〜▲1.0% 全国 商業地 26年調査 27年調査 ▲1.2% ▲1.0% ▲0.8% 0.5% 0.4% 0.4% 1.7% 2.3% 2.7% 2.5% 3.7% 三⼤都市圏 28年調査 26年調査 東京圏 0.5% 0.5% 1.9% ⼤阪圏 0.1% 0.0% 0.0% 1.5% 2.3% この地価上昇の動きは、J-REITの保有資産の 含み益を増加させています。三井住友トラスト基 礎研究所が2016年9月に発表した2016年7月期の 含み益は過去最高の1兆7,158億円となりました (図9参照)。 0.0% 2.9% 0.9% 0.7% 0.5% 1.5% 2.2% 2.5% ▲1.5% ▲1.2% ▲2.2% ▲1.6% ▲1.1% 地⽅四市* 1.3% 1.7% 2.5% 2.6% 3.8% 6.7% ▲1.9% ▲1.6% ▲1.4% ▲2.5% ▲1.9% ▲1.5% *地方四市:札幌、仙台、広島、福岡 (図8)三大都市圏の基準地価平均変動率(前年比)の推移 (%) (2005年~2016年、年次) 15 三大都市圏平均 住宅地 三大都市圏平均 商業地 10 2.9 5 0 J-REIT含み益が過去最⾼の 約1.7兆円に 28年調査 ▲1.8% 名古屋圏 その他 27年調査 ▲1.1% ▲0.5% 0.6% 地⽅圏 5%〜 0.4 -5 -10 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (出所)国土交通省のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (図9)J-REIT保有不動産の含み損益(率)の推移 (2002年8月期~2016年7月期、月次) (兆円) 2.0 含み損益(左軸) 含み損益率(右軸) (%) 25 人口が増加し利便性が高く、不動産の需要が旺 盛な東京の物件を中心に不動産鑑定評価額が 上昇を続けており、賃料の上昇やホテル宿泊料 の上昇といった不動産市場の改善が続いている ことも、背景の一つとなっています。 1.6 20 1.2 15 0.8 10 0.4 5 一方、同含み損益率は12.4%と、過去最高で あった2008年2月期の15.7%を下回っています。 不動産価格は引き続き上昇トレンドにあることか ら、J-REITの含み益のさらなる増加が期待できま す。 0.0 0 -0.4 -5 02/8 04/6 06/4 08/2 09/12 11/10 13/8 15/6 (年/月) ※過去6ヵ月間に決算発表した銘柄の含み損益の合計値の推移を示しています。 ※含み損益=不動産鑑定評価額-不動産帳簿価額、含み損益率=含み損益÷ 不動産帳簿価額 (出所)三井住友トラスト基礎研究所のデータを基に三井住友トラスト・アセット マネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 4/7 ご参考資料 割安感が続くJ-REIT ~海外REITとの比較、過去のインフレ期との比較~ 海外REITとの⽐較 J-REITの価格水準の割安・割高評価を行う際の 尺度の1つに「国債との利回り差=リスクプレミア ム」があります。 これはJ-REITの配当利回りから10年国債の利 回りを差引いたもので、J-REITは国債に比べて価 格変動リスクが大きい分、高い利回り、すなわちリ スクプレミアムが求められるという考え方に基づく 指標です。 このリスクプレミアムが大きければ割安、小さけ れば割高と判断されますが、この方法で海外REIT との比較を行うと主要5ヵ国ではJ-REITは相対的 に割安であると考えられます(図10参照)。 過去のインフレ期との⽐較 (図10)主要国のREITと国債の利回り比較 (2016年9月末現在) (%) 6 REIT配当利回り 5 4 10年国債利回り 4.4 4.2 3.8 3.8 3.3 3 1.9 2 0.7 0.2 1 0 -1 1.6 利回り差 利回り差 利回り差 利回り差 利回り差 3.4% 2.5% 4.0% 3.0% 2.2% フランス 英国 米国 -0.1 日本 オーストラリア ※日本は東証REIT指数、その他はS&PグローバルREIT指数の各国イン デックスの実績配当利回り、小数点以下第2位を四捨五入 (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスおよびBloombergのデータを基に 三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 国債との利回り差(リスクプレミアム)に関して、足も との水準(9月末3.4%)を過去の実績と比較すると、 インフレ傾向であった2005年から2007年の平均1.7%と比べて相対的に割安感があるといえます(図11参照)。 また、デフレ脱却への期待感が膨らんだ2012年12月以降のリスクプレミアムの平均値2.9%と比較しても、現在 の価格水準は割安と考えられます。 なお、日本の10年国債利回りについては日銀がゼロ%程度にコントロールすると表明しており、当面、J-REITの リスクプレミアムが国債利回りの上昇によって縮小するリスクは低くなっています。 (図11)J-REIT配当利回りと10年国債利回りの格差(リスクプレミアム)の推移 (2005年1月末~2016年9月末、月次) (%) 12 J-REIT配当利回り リスクプレミアム 10 8 6 インフレ時 リスクプレミアム 平均 1.7% 10年国債利回り (2016年9⽉末現在) デフレ脱却期待 (アベノミクス)以降 平均 2.9% 4 2 0 リスクプレミアム 3.4% J-REIT 配当利回り 3.3% 10年国債利回り ▲0.1% -2 (年/月) 05/1 06/1 07/1 08/1 09/1 10/1 11/1 12/1 13/1 14/1 15/1 16/1 ※J-REIT配当利回り:東証REIT指数の実績配当利回り ※本ページにおけるインフレ時とは、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、全国、年平均)が対前年比でマイナスを記録しなかった2005年~2007年 の期間を三井住友トラスト・アセットマネジメントが独自に定義するもので、一般的なインフレ時の定義とは異なります。デフレ脱却期待(アベノミクス) 以降は2012年12月末以降。 ※データは小数点以下第2位を四捨五入 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 5/7 ご参考資料 <コラム> マイナス金利政策導入発表から8ヵ月、J-REITはメリット享受 マイナス⾦利政策導⼊後、借⼊コストは さらに低下 J-REITの有利子負債の平均利率は、2015年末時点 で0.94%まで低下していましたが、2016年に入ってマイ ナス金利政策が導入されたことにより、2016年9月末現 在ではさらに0.83%まで低下しました。 またJ-REITは、低金利環境下による不動産取得の活 発化により、2016年9月末の保有不動産総額は2015年 12月末比+9%の15.2兆円に拡大しています(図12参 照)。 このように、マイナス金利政策導入はJ-REITの足もと の損益改善にプラスに働いていることに加え、調達資 金による新たな物件購入により、さらなる成長に寄与し ていると見られます。 (図12)J-REITの有利子負債の平均利率と 保有不動産額の推移 (2010年6月末~2016年9月末、半期) (兆円) 18 1.4 9 2016年1⽉末 マイナス⾦利 政策導⼊発表 1.2 6 平均調達⾦利(右軸)0.8% 1.0 3 平均利率(右軸) 0.83% 0.8 10/6 LTV(有利⼦負債⽐率とは) Loan To Valueの略で、不動産価格に対する借 入金の割合(資産価値に対する負債比率)。不動 産投資信託の投資尺度として利用され、LTVが大 きいほど金利変動に対するリスクが高いことにな ります。負債には有利子負債の残高、投資法人が 発行した債券の発行残高、敷金や保証金が含ま れます。 11/6 12/6 13/6 14/6 15/6 0.6 16/6 (年/月) ※平均利率は東証上場銘柄の加重平均 (出所)三井住友トラスト基礎研究所のデータを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 低金利を背景にJ-REITは借入を増加させているも のの、併せて公募増資等も行っていることから、財務 健全性を測る指標であるLTV(有利子負債比率)水準 に大きな変化はありません。 また、日銀の長短金利操作により、当面は長期金利 上昇のリスクは低下したと考えられますが、J-REITは 将来の金利上昇に備え、借入金の平均残存年数の長 期化を進めるとともに、固定金利比率を2010年6月末 の65.7%から2016年9月末86.4%へ引き上げ、金利上 昇への抵抗力を高めています(図13参照)。 1.6 12 0 財務健全性は維持、将来の⾦利上昇 にも配慮 1.8 保有不動産総額(取得価格)(左軸) 15.2兆円 15 (%) (図13)J-REITの有利子負債の固定金利比率、 LTVおよび平均残存年数の推移 90 (2010年6月末~2016年9月末、半期) (年) 5.0 固定⾦利⽐率(左軸) 86.4% 4.5 80 4.0 70 平均残存年数(右軸) 3.5 4.0年 60 3.0 50 2.5 (%) 100 LTV(左軸) 40 47.0% 2.0 1.5 30 1.0 16/6 (年/月) ※LTVは有利子負債/(有利子負債+出資総額+出資剰余金)×100% で算出、平均残存年数は全銘柄加重平均 (出所)三井住友トラスト基礎研究所のデータを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 20 10/6 11/6 12/6 13/6 14/6 15/6 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 6/7 【 ご留意事項 】 ● 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ● ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判 断ください。 ● 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 ● 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ● 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ● 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を 示唆あるいは保証するものではありません。 ● 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の 勧誘を目的としたものでもありません。 7/7
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