2015年12月~2016年2月 - 三井住友トラスト・アセットマネジメント

2016年3月24日
アジアREIT市場の動向と今後の⾒通し
(2015年12⽉〜2016年2⽉)
足もとのアジアREIT市場 ~増加する配当金と高水準の配当利回りが継続~
アジアREIT市場は、昨年半ば以降、世界的な株価下落や長期金利の動向、各国の金融政策の動向などに左右さ
れ軟調に推移していましたが、今年に入ってからは世界的に金利低下が進むなか、相対的に高い配当利回りが評
価されたことなどから、底堅く推移しています(図1参照)。また、アジアREITの一口当たり配当金はシンガポール、
香港ともに底堅い伸びを示しています(図2参照)。
(図2)1口当たり配当金の推移
(図1)各国・地域のREIT指数の推移
(2015年2月27日~2016年2月29日、日次)
110
(2012年11月末~2016年2月末、月次)
130
日本
105
102
100
120
米国
95
96
110
90
シンガポール
100
⾹港
95
85
シンガポール
90
香港
80
94
80
12/11
75
15/2
15/4
15/6
15/8
15/10
15/12
16/2 (年/月)
※S&PグローバルREIT指数(現地通貨ベース、配当込み)の各国・地域の
データを2015年2月27日を100として指数化
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを基に三井住友トラスト・
アセットマネジメント作成
13/5
13/11
14/5
14/11
15/5
15/11 (年/月)
※1口当たり配当金は1口当たり実績配当金の直近12ヵ月合計、2012年11月末
を100として指数化
※香港はハンセンREIT指数、シンガポールはFTSE ST REIT指数
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
⾼⽔準が続く配当利回り
2016年2月末現在のアジアREITの配当利回りは、シンガポールで6.6%(2015年11月末6.7%)、香港で4.8%
(同4.6%)と、リスクプレミアム(REIT配当利回りと10年国債利回りの差)とともに依然高い水準を維持しています
(図3参照)。また、PBRもシンガポールが0.92倍、香港が0.74倍と1倍割れとなり、過去の平均と比べても割安な
水準で推移しています(図4参照)。
(図4)香港・シンガポールのREIT市場のPBRの推移
(図3)各国・地域のREITと10年国債利回り比較
(%)
8
(2016年2月末現在)
REIT配当利回り
6.6
1.6
6
4.8
4
0
利回り差
4.3%
1.4
4.0
3.0
2.3
2
(倍)
割高 1.8
10年国債利回り
シンガポール
2010年1⽉末からの平均値1.07倍
2016年
2月末
1.2
1.3
利回り差
3.5%
1.7
利回り差
3.0%
0.8
-2
割安
香港
日本
米国
※REITの配当利回りはS&PグローバルREIT指数の各国・地域の実績配当
利回り
※データは小数点以下第2位を四捨五入しています。
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスおよびBloombergのデータを基に
三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
シンガポ-ル
0.92倍
1.0
利回り差
2.3%
-0.1
シンガポール
(2010年1月末~2016年2月末、月次)
0.6
⾹港
2010年1⽉末からの平均値0.96倍
香港0.74倍
10/1
10/11
11/9
12/7
13/5
14/3
15/1
15/11(年/月)
※PBR(株価純資産倍率):株価(REIT価格)が1株当たり純資産の何倍かを示す指標で、
相対的に値が低いほど割安と判断されます。一般にPBRが1倍であるとき、株価が解散
価値(株主資本)と等しいとされ、それ以下だと割安として扱われます。
※香港とシンガポールのPBRは時価評価を用いて算出される為、NAV(Net Asset Value =
純資産価値)と同様の割安判断指標として掲載しています。
※S&PグローバルREIT指数の香港・シンガポールのデータ
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを基に三井住友トラスト・アセット
マネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
良好な不動産ファンダメンタルズ ~賃料と空室率の動向~
<香港>
商業施設は、主に中国からの旅行客減少による影響から宝飾品など高級品を中心に小売売上高が伸び悩ん
でおり、全体的な賃料はやや頭打ちとなっています。一方、REITが保有する商業施設物件の取扱商品は日用
品の割合が高いことから、各REITの業績は概ね堅調です。オフィスは、金融ビジネスの中心であるセントラル地
区の空室率が過去最低水準にあり、需給逼迫の状況から賃料は高水準の状態が維持されています(図5参照)。
<シンガポール>
商業施設は、日用品を扱う優良ショッピングモールを保有するREITなどを中心に高稼働率を維持し安定的
な賃料推移となっております(図6参照)。一方オフィスは、2016年後半以降に新規物件供給が見込まれるな
か、賃料がピークアウトしていますが、成長するアセアンの統括拠点として底堅いオフィス需要が見込まれる
ことから、賃料の大幅下落リスクは限定的と見られます。
(図5)香港賃料の推移
(図6)シンガポール賃料の推移
(2000年10-12月期~2015年10-12月期、四半期)
300
250
(2000年10-12月期~2015年10-12月期、四半期)
250
オフィス
商業施設
200
200
オフィス
商業施設
150
150
100
100
50
50
0
00/12 02/12 04/12 06/12 08/12 10/12 12/12 14/12
(年/月)
※オフィスは上環地区~中心地区、商業は公表元の選定基準に基づくエリア、
2000年10-12月期を100として指数化
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
シンガポールの空室率はオフィスは低下、
商業施設は概ね横ばい
<オフィス>
2015年第4四半期のオフィス空室率は、新規契約面
積が新規物件供給量を上回ったことから、3四半期連
続で低下しました(図7参照)。なお、2016年後半にはオ
フィスの供給増が見込まれることが先行きの空室率上
昇の懸念材料となっています。
0
00/12 02/12 04/12 06/12 08/12 10/12 12/12 14/12
(年/月)
※オフィス・商業は中央地区の全エリア、2000年10-12月期を100として指数化
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
(図7)シンガポールのオフィスおよび
商業施設の空室率の推移
(%)
15
(2011年1-3月期~2015年10-12月期、四半期)
オフィス
商業施設
12
9
6
<商業施設>
2015年第4四半期の商業施設の空室率は前期から
小幅な上昇となりました。中国やインドネシアなど海外
からの旅行客減少により、小売売上高は軟調に推移し
ていますが、アジアREITが保有する商業施設について
は立地条件などにおける優位性から空室率は概ね安
定的に推移しています。
3
0
11/3 11/9 12/3 12/9 13/3 13/9 14/3 14/9 15/3 15/9 (年/月)
※オフィス・商業は中央地区の全エリア
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。
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ご参考資料
アジアREITの今後の見通し ~米国の利上げによる影響は限定的~
⾼利回り選好の動きから、アジアREIT市場
の時価総額は底堅く推移
S&PグローバルREIT指数におけるアジアREIT市場
(日本、韓国除く)の時価総額は、昨年以降、減少傾
向が続いていましたが、今年に入ってからは底堅く推
移しています(図8参照)。主な要因の1つは、世界的
な金利低下の進行です。米国では昨年12月に約9年
半ぶりの利上げが実施されたものの、米国経済指標
の軟化や世界的な先行きの景気不透明感の高まりを
受けて、米国の利上げペースは緩やかになるとの見
方が強まっています。また、日本やユーロ圏・中国な
ど多くの国・地域では緩和的な金融政策を推進してい
ることもあり、世界的に金利低下が進むなか、アジア
REITの利回りの高さがあらためて評価されています。
中国株式市場の変動性が⾼まるなか、
アジアREIT市場は相対的に安定
昨年半ば以降、中国株式市場が世界の金融市場に
与える影響が大きくなっています。ただ、中国株式市
場とアジアREIT市場の推移をみると、中国株式市場
は昨年6月にピークを付けてから急落し価格変動の
激しい展開が続いている一方、シンガポールと香港
のREITは価格変動幅が限定的であり、足もとまでの
下落率は小幅にとどまっています(図9参照)。
世界的な景気減速懸念が続くなか、アジアREITは
決算発表で概ね底堅い業績となっており、REIT価格
の安定性につながっているものと思われます。
(図10)各国REIT投資法人別増配・現状維持・減配企業社数
現状維持
0
2
(2008年10月末~2016年2月末、月次)
台湾
香港
500
400
300
200
100
0
08/10 09/8 10/6 11/4 12/2 12/12 13/10 14/8 15/6 (年/月)
※タイの時価総額は2012年9月末から算出開始、2009年9月~2010年8月のマレー
シアの時価総額はS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスよりデータ発表がないため
掲載しておりません。
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを基に三井住友トラスト・アセット
マネジメント作成
(図9)中国株式と主要REIT価格および騰落率の推移
(2014年8月1日~2016年2月29日、日次)
260
香港REIT
シンガポールREIT
上海総合指数
香港ハンセン指数
240
220
200
180
160
140
120
80
足もとの決算では、前期比で増配となったREITの割
合が香港で約7割、シンガポールで約5割となりました
(図10参照)。REITはテナントと複数年契約をしている
ことが多く、既存物件から安定的な収入を確保できま
す。今後も中国の景気動向や長期金利の動向、各国
の金融政策動向などを注視する必要はありますが、
REITは相対的に景気サイクルの変動によるマイナス
の影響を受けにくい特性があり、安定的な業績推移
が見込まれます。
増配
5
17
(億米ドル)
700
タイ
マレーシア
600
シンガポール
100
増配が減配を上回る結果
国/企業
⾹港
シンガポール
(図8)各国・地域のREIT時価総額の推移
減配
2
14
※香港は2015年7-12月期、シンガポールは2015年10-12月期の当該作成日時点
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
60
14/8 14/10 14/12 15/2 15/4
15/6
15/8 15/10 15/12 16/2(年/月)
<2015年6⽉12⽇〜2016年2⽉29⽇の騰落率>
0%
-10%
-1.3%
-3.0%
-20%
-30%
-40%
REIT下落は
⼩幅にとどまる
-29.9%
-50%
-60%
-48.0%
香港
REIT
シンガポール 香港ハンセン 上海総合
指数
REIT
指数
※香港およびシンガポールREITはS&PグローバルREIT指数(現地通貨
ベース、配当込み)、2014年8月1日を100として指数化
(出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスおよびBloombergのデータを基に
三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、
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ご参考資料
本格的に拡大が見込まれる台湾市場
台湾REIT市場は2003年にREIT制度が制定され、2005年に第一号REIT「フーボンNo.1REIT」が上場しました。
現在は5銘柄が上場(S&Pダウジョーンズ・インデックスベースでは2銘柄採用、時価総額は約959億円(2016年2
月末現在))しておりますが、これまでは主に生命保険会社が一部保有資産をREITに売却する形で上場する
ケースが見られてきました。台湾の不動産市場では、生命保険会社が最大の投資家として重要な役割を担って
おり、不動産保有額は日本の生命保険会社に匹敵する規模となるなど日本には見られない特徴があります。
REITの保有物件については、金融機関等が入居する台北市内のオフィスの優良物件が多く、また、三越など
の商業施設やシェラトンホテルなど日本でも馴染みのある企業が入居しており、資産のクオリティは他の国・地
域のアジアREIT市場と同様に水準が高いといえます。台湾では、これまで長期にわたる不動産市況の上昇もあ
り、不動産投資はインカムゲインよりもキャピタルゲインが目的という考え方が主流です。ただし、今後はすでに
上昇した不動産市場について、保有資産をどう効果的に運用していくかという点にも投資家は重きを置いていく
可能性が見込まれます。この点、台湾でも利回り商品としてのREITへの注目が高まり、流動性の向上、投資家
の裾野の拡がりにつながるものと期待されます。
<台湾(台北市内)の主なREIT物件>
キャセイNO.1REIT
フーボンNO.1REIT
<企業概要>キャセイフィナンシャ
ルグループ傘下でホテルや商業施
設、オフィスの大型複合物件を保有。
<企業概要>フーボンフィナンシャルグ
ループ傘下でオフィス(グループ金融各
社入居)、商業施設(台湾大手スーパー
チェーン入居)を保有。
1
4
2
シェラトン台北グランドホテル(ホテル)
1
台北
台北を代表する五つ星ホテル。地
上16階建て。客室数は約690室。台
北市中心地にあり、MRT板南線「善
導寺駅」に至近。
2
3
3
富邦⼈壽⼤樓
(オフィス)
地上15階建てフーボン生命をはじめとするフー
ボンフィナンシャルグループ各社が入居。
シンコンNO.1REIT
台北⻄⾨⼤樓
(商業施設)
MRT西門町駅から徒歩5分。
台北市西門町にあり目の
前は歩行者天国。1階~4
階は商業施設、5階~10階
はホテル。
<企業概要>シンコンフィナンシャルグループ傘下でオ
フィス、商業施設、住居を保有。台南にある物件は三越
が入居。
4
新光國際商業⼤樓
(オフィス)
地上14階建ての南京東
路に面したランドマーク
物件。
※写真出所:三井住友トラスト・アセットマネジメント撮影
※上記はREITのファンドへの組み入れを保証するものではありません。また、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。
(出所)各種資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
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ご参考資料
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