Trend Report 株式会社フィスコ 2015/4/20 【カナダ中央銀行の金融政策とカナダドル相場の見通し 金利安定が続く見込み】 <カナダ中銀は政策金利の据え置きを決定 現行の緩和策は適切との判断を維持> カナダ中央銀行(BoC)は15日、政策金利を0.75%に据え置くことを決定しました。現行の緩和策を維持すること が適切であると表明しています。市場参加者のほぼ全員が政策金利の据え置きを予想しており、サプライズに はならなかったようです。 ■BoCが金利据え置きを決定した主な理由 ・金融市場の安定が続いていること ・4-6月期以降に経済成長はやや加速する見通しであること ・通貨安の影響でインフレ率がさらに低下する可能性は低いこと <BoC:コアインフレ率は2017年にかけて2%近辺で推移する見通し> BoCは声明で、現行の金融政策と政策金利が適切であると指摘しましたが、低コストで資金調達が行われてい ることから、企業投資の増加や労働市場の改善が期待できるとの見方を示しています。また、米国における需要 増大が予見されていることから、資源以外の輸出増加(製造業などで)も予想されています。 BoCは、コアインフレ率は2017年にかけて2.0%-2.1%で推移すると予測しています。原油安が経済に与える影 響は若干ありますが、生産活動が著しく停滞するおそれはないと判断、インフレ目標の中央値である2%レベル のインフレ率が当面続くと予想しています。 ■BoC声明のポイント ・カナダドル安がデフレ圧力を緩和 ・2015年-2017年の世界経済は平均で3.5%成長の見通し ・2015年4-6月期の米経済は力強い成長に ・2015年の実質成長率(国内)は1.9%、2016年は2.5%、2017年は2.0%の予想 BoCはカナダドル安がデフレ圧力を緩和していると指摘し、米国経済の回復などに伴い、デフレ圧力は次第に 弱まることが予想されています。カナダドル相場に対する懸念は表明されておらず、通貨高を是正するために利 下げを行うことはないとみられています。 <BoCの政策金利見通し:原油価格安定ならば、長期間据え置きも> BoCは、原油価格がさらに下落した場合、経済に与える影響はより強まりますが、実際に原油価格は反転して います。現時点では経済活動やインフレ見通しに大きな影響を与える可能性は低下していることから、政策金利 を引き下げる必要は乏しくなっています。 ・当面の政策金利想定レンジ:0.75%-0.75% <カナダドル相場見通し:輸出増加への期待で堅調推移か> 米国の早期利上げ観測が後退したことでカナダドル売り・米ドル買いの興味は低下しています。また、原油価 格が下げ止まっていることから、カナダの石油輸出額は増加し、これに伴い貿易収支の改善が期待されているこ とから、カナダドルは堅調に推移する見込みです。米ドル・円相場に大きな動きがない場合、カナダドル・円は 100円近辺まで上昇する可能性があります。 ・当面のカナダドル・円想定レンジ:94.00円-100.00円 ※2015年のカナダ中銀の金融政策発表スケジュール 5月27日、7月15日、9月9日、10月21日、12月2日(あと5回の予定) 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【 株式会社フィスコ 2015/4/20 為替相場 4月20日 今週の見通し 118.57 円 120.84 円 取引レンジ 米ドルは下落。米国の景気失速懸念が高まったこと り、ドル売り・円買いが優勢となった。 116.00 円 121.00 円 想定レンジ 米ドルはやや弱含みか。ドル高が進行した場合、米 国内で雇用減少への懸念が高まり、環太平洋経済 連携協定(TPP)の早期締結に影響が及ぶとの見方 が出ている。日米首脳会談が行われる今月28日に かけて、日米政府はドル高・円安の進行をけん制す るとの思惑が浮上しており、ドルの反発は抑制され る可能性がある。 2週間の推移 1年の推移 で、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利 上げ観測は再度後退した。また、安倍政権の経済ブ レーンの浜田内閣官房参与が、購買力平価に言及し て円安抑制とみられる発言をしたことも嫌気されてお 121.00 (円) 125 - 4月24日 先週のドル・円相場 (円) 120 120.00 115 110 119.00 105 118.00 2015/4/3 2015/4/10 2015/4/17 100 2014/4/17 2014/10/17 2015/4/17 債券相場動向(米国10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは低下。複数の経済指標が予想を下回る 債券利回りは下げ渋りか。3月の消費者物価コア指 数が市場予想をやや上回ったことでインフレ鈍化へ の懸念は緩和された。ギリシャの債務問題を嫌気し たリスク回避的な債券買いは継続する可能性はある が、債務不履行は回避されるとの期待は残されてお り、安全逃避の債券買いが拡大する可能性は低いと みられる。 内容だったことから、6月利上げの思惑は再び後退し た。原油先物の反発が意識される場面があったが、 ギリシャ懸念などで17日の米国株が大きく下げたこと で、リスク回避的な債券買いが優勢となった。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・日本の大手機関投資家は今年度に外債投資を 増やす見込み ・原油価格の上昇 ・日米金利差拡大 ・主要国の株安 ・日本の3月貿易収支は黒字転換の予想 ・経済情勢次第で米国の利上げ開始は9月 以降になる可能性 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【 株式会社フィスコ 2015/4/20 為替相場 先週のユーロ相場 取引レンジ ユーロ/円 ユーロ/米ドル 今週の見通し 126.10 円 1.0521 ドル - 想定レンジ ユーロ/円 128.75 円 1.0849 ドル ユーロ/米ドル 4月20日 - 125.50 円 1.0500 ドル - 4月24日 130.50 円 1.1000 ドル ユーロは対円でやや強含みに推移した。ドラギ欧州 中央銀行総裁が量的緩和策の早期終了の可能性を 示唆したこと、予想を上回るユーロ圏2月の鉱工業生 産などが材料視されたようだ。しかし、国際支援団に よるギリシャの構造改革案の承認が無く、債務不履 行への懸念は残されており、ユーロの上げ幅はやや 縮小した。 ユーロは対円でやや弱含みに推移すると予想す る。24日のユーロ圏財務相会合に向けて、国際支 援団がギリシャ政府の構造改革案を承認しなかっ た場合、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が 高まること、28日の日米首脳会談に向けた円安抑 制懸念なども意識されそうだ。 2週間の推移 1年の推移 132.00 (円) (円) 145 130.00 135 128.00 126.00 2015/4/3 2015/4/10 2015/4/17 125 2014/4/17 2014/10/17 2015/4/17 債券相場動向(ドイツ10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは大幅に低下した。ギリシャの債務不履 行に対する懸念は残されており、安全資産であるドイ ツ国債の需要は一段と増加した。米国の早期利上げ 観測が後退したことも意識された。欧州中央銀行によ る国債購入はドイツ国債の需給改善につながってお り、長期債利回りは1989年以降における最低水準で 推移した。 債券利回りは上昇か。ギリシャ債務協議は難航し ており、債務不履行のリスクは消えていない。しか しながら、ドイツ長期債利回りは債務不履行の可能 性を織り込んだ水準になっているとの見方があるこ とや利回り水準の過度の低下に対する警戒感は高 まっており、利回り水準は反転、上昇の可能性があ る。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・日本の大手機関投資家は今年度に外債投資を 増やす見込み ・ユーロ圏のデフレ懸念緩和 ・ギリシャ債務協議の進展 ・ギリシャ債務問題の根本的な解決は 困難との見方 ・米国とユーロ圏の金利差拡大の思惑 ・日銀による追加緩和は難しいとの見方 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【 株式会社フィスコ 2015/4/20 為替相場 先週の豪ドル相場 取引レンジ 今週の見通し 90.47 円 - 93.04 円 想定レンジ 4月20日 90.00 円 - 4月24日 95.00 円 豪ドル・円はやや強含み。16日発表の3月雇用統計 が予想以上に強い内容だったことから、5月利下げ の思惑は後退し、リスク選好的な豪ドル買いが広 がった。米国の早期利上げ観測が後退し、投機筋 などの米ドル買い・豪ドル売りが大幅に縮小したこ とも豪ドルの対円レートを下支えした。 豪ドル・円は下げ渋りか。3月の雇用統計は予想以 上に強い内容だったことから、5月利下げの思惑は 後退した。また、米早期利上げ観測の後退を意識 した米ドル売り・豪ドル買いは継続している。株安 は無視できないが、豪ドルは対円で底堅い動きを 続ける見込み。 2週間の推移 1年の推移 (円) (円) 103.00 94.00 98.00 92.00 93.00 90.00 88.00 2015/4/3 2015/4/10 2015/4/17 2014/4/17 2014/10/17 2015/4/17 債券市場動向(オーストラリア10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは弱含み。16日に発表された3月雇用 債券利回りはもみあいか。3月雇用統計内容の改 善で5月利下げの思惑は後退したが、対米ドルで豪 ドルが上昇を続けた場合、インフレ鈍化の思惑が 再浮上する。通貨高は経済を圧迫するとの懸念は 残されており、豪ドルが強い動きを見せた場合、債 券利回りの上昇は抑制される可能性が高い。 統計は予想以上に強い内容だった。5月利下げ観 測は後退し、債券利回りは強含みとなる場面が あったが、豪ドル相場の反発や株安を意識して、債 券利回りは前週末の水準を下回る展開となった。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・日本の大手機関投資家は今年度に外債投資を 増やす見込み ・主要国の株高 ・3月失業率は6.1%に低下 ・豪準備銀行は通貨安容認の方針維持 ・中国経済の成長鈍化 ・米国と豪州の金利差縮小の思惑 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 株式会社フィスコ 【 ディスクレーマー(免責条項) 本レポートは、本取引所が㈱フィスコから提供を受けて、公表しているものであり、本レポートの 内容に関する一切の権利は、㈱フィスコに帰属いたします。本取引所は、本レポートの正確性、 完全性、適時性等を保証するものではありません。また、本取引所は、本レポートを用いて行う 一切の行為及び本レポートに基づいて被った損害について、何ら責任を負うものではありませ ん。 株式会社東京金融取引所 株式会社フィスコ(以下[フィスコ]という)は株価情報および指数情報の利用について東京証券取引所・大阪証券取 引所・日本経済新聞社の承諾のもと提供しています。“JASDAQ INDEX” の指数値及び商標は、株式会社東京証券取引 所の知的財産であり一切の権利は同社に帰属します。 掲載される情報はフィスコが信頼できると判断した情報源をもとにフィスコが作成・表示したものですが、その内容 及び情報の正確性、完全性、適時性について、フィスコは保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでは ありません。 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はフィスコに帰属し、事前にフィスコへの書面による承諾を得ること なく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送 信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。 フィスコが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものでは ありません。 本資料に掲載される株式、投資信託、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢な どの影響により、その価値を増大または減少する事もあり、価値を失う場合があります。 本資料は、本資料により投資された資金がその価値を維持または増大する事を保証するものではなく、本資料に基づ いて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、フィスコは、理由のいかんを問わず、責任を負 いません。 フィスコおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場 合があります。 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いい たします。 以上の点をご了承の上、ご利用ください。 株式会社フィスコ
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