Trend Report

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株式会社フィスコ
2015/4/13
【豪準備銀行の金融政策と豪ドル相場の見通し 5月利下げを織り込む展開】
<豪準備銀行は政策金利の据え置きを決定 豪ドル相場の動向を見極めることに>
豪準備銀行(RBA/中央銀行)は7日に開いた理事会で、政策金利を2.25%に据え置くことを決定しました。大方
の市場参加者は政策金利の据え置きを予想していましたが、一部で利下げが予想されていたことから、金利据
え置きの決定を受けて豪ドル買いが強まる場面がありました。
■RBAが金利据え置きを決定した主な理由
・企業向け貸し出しの増加
・長期金利の低下によって株価や商業不動産価格が上昇
・2015年の世界経済は緩やかなペースでの成長が予想されていること
・企業の資金調達コストは低水準にとどまっていること
<RBA:豪ドル相場のさらなる下落が必要との判断変わらず>
RBAの声明では、為替相場、景気、インフレなどについての見解が表明されています。いずれも前回(3月時点)
との比較で特に変わった部分はありませんでした。
■RBA声明のポイント
・インフレ:低水準のエネルギー価格は物価上昇率を一時的に押し下げる
・為替相場:主要商品価格の大幅な下落を考慮すると、豪ドルはさらに下落する必要
・国内景気:内需の伸びは弱く、失業率はこの1年で徐々に上昇
為替相場についてRBAは「商品価格が大幅に下落している状況を考えると、豪ドルはさらに下落する必要があ
る」との見解を維持しています。RBAが算出している商品価格指数(米ドル建て)は2011年7月の143.8から2015年
3月には70.5まで低下しています。(下落率は51%)
これに対して豪ドル相場(対米ドル)は2011年7月末の1.0954ドルから2015年3月末には0.7634ドルまで下落し
ていますが、下落率は30.3%にとどまっています。オーストラリアは資源輸出国であり、資源価格の下落は経済
に悪影響を及ぼす要因となります。現時点で豪ドル相場の下落は十分とは言えず、割高の状態が続いているこ
とになります。
<RBAの政策金利見通し:豪ドルが下げ渋った場合、5月利下げの可能性高い>
豪ドル相場は下落基調にありますが、商品価格指数の大幅な下落を考慮すると、十分に安くなっているとは言
えない状態が続いています。商品価格の下落は国内景気にも悪影響を与える可能性が高いことから、豪ドルが
下げ渋った場合、5月に利下げを行う可能性は高いと予想されます。インフレが抑制されていることも追加利下げ
を可能にするでしょう。
・当面の政策金利想定レンジ:2.00%-2.25%
<豪ドル相場見通し:5月利下げを想定して90円割れの可能性も>
5月に追加利下げを行う可能性があることや商品相場の下落に対する警戒感があることから、豪ドルは軟調推
移が予想されます。米ドル・円相場に大きな動きがなくても対米ドルで豪ドル安が進行した場合、豪ドル・円は90
円を下回る可能性があります。
・当面の豪ドル・円想定レンジ:89.00円-94.00円
※2015年の豪準備銀行定例理事会スケジュール
5月5日、6月2日、7月7日、8月4日、9月1日、10月6日、11月3日、12月1日(あと8回開催)
本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。
円
【
株式会社フィスコ
2015/4/13
為替相場
4月13日
今週の見通し
118.80 円 120.74 円
取引レンジ
米ドルは対円で上昇した。3月の連邦公開市場委員
会(FOMC)議事録で、数人が6月会合で利上げが正
当化されると予想していたこと、米新規失業保険申請
件数の4週移動平均の数字が2000年6月以来の低水
準を記録したこと、米国財務省半期為替報告書で円
安に対する牽制が無かったことも、円売り要因となっ
た。
117.00 円 122.00 円
想定レンジ
米ドルは対円でやや弱含みに推移すると予想する。
28日の日米首脳会談に向けたドル高・円安抑制へ
の警戒感、G-20財務相・中央銀行総裁会議での為
替協議への警戒感などからやや弱含みに推移する
見通し。しかし、年金積立金管理運用独立行政法人
や民間機関投資家による外貨建て資産投資増額期
待などで下値は限定的か。
2週間の推移
1年の推移
121.00
(円)
125
-
4月17日
先週のドル・円相場
(円)
120
120.00
115
110
119.00
105
118.00
2015/3/27
2015/4/3
2015/4/10
100
2014/4/10
2014/10/10
2015/4/10
債券相場動向(米国10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは上昇。複数の地区連銀総裁が6月利上
げの可能性について言及したことが要因。中国、日
本などの主要国の株高も材料視されたようだ。世界
経済の成長鈍化に対する過度の懸念は後退してお
り、リスク回避的な債券買いが縮小したことも利回り
上昇を促したようだ。
債券利回りはもみあいか。17日に発表される3月消
費者物価指数が有力な手がかり材料になりそうだ。
コアインフレ率の市場予想は前年比+1.7%で上昇率
は2月と同水準になる見込み。上昇率が市場予想と
一致した場合、インフレ鈍化への警戒感は低下し、6
月利上げが意識される展開となりそうだ。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は外債投資を
増やす見込み
・米国の早期利上げ観測が再浮上
・主要国の株高継続で投資家のリスク志向高まる
・日銀による追加緩和は難しいとの見方
・日本の貿易赤字は縮小傾向
・経済情勢次第で米国の利上げ開始は9月
以降になる可能性
本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。
円
【
株式会社フィスコ
2015/4/13
為替相場
先週のユーロ相場 取引レンジ
ユーロ/円
ユーロ/米ドル
今週の見通し
127.21 円
1.0568 ドル -
想定レンジ
ユーロ/円
131.30 円
1.1036 ドル
ユーロ/米ドル
4月13日
-
124.00 円
1.0300 ドル -
4月17日
129.00 円
1.0800 ドル
ユーロは対円で下落した。ユーロ圏の小売売上高や
サービス業PMI改定値の低迷を受けて金利の先安感
が高まったこと、中曽日本銀行副総裁が日本銀行の
追加緩和に否定的な見解を示したことで下落した。国
際支援団によるギリシャ政府の構造改革案の承認が
長引いていることも売り要因となった。
ユーロは対円でやや弱含みに推移すると予想す
る。国際支援団がギリシャ政府の構造改革案を承
認しなかった場合、ギリシャのデフォルト(債務不履
行)懸念が高まること、ユーロ圏のインフレ率確報
値が下方修正される可能性などから弱含みに推移
する見通し。欧州中央銀行定例理事会の追加緩和
の可能性にも要警戒か。
2週間の推移
1年の推移
132.00
(円)
(円)
145
130.00
135
128.00
126.00
2015/3/27
2015/4/3
2015/4/10
125
2014/4/10
2014/10/10
2015/4/10
債券相場動向(ドイツ10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは低下。ギリシャの債務問題への懸念は
残されており、安全資産であるドイツ国債の需要が増
えたことが要因。欧州中央銀行(ECB)による国債購
入は、債券市場の需給改善につながっていることも影
響している。ただし、欧州、中国の株高を意識して債
券利回りの下げ幅はやや縮小した。
債券利回りはもみあいか。ギリシャ債務協議はや
や難航しており、債務不履行のリスクは除去されて
いない。安全逃避的な債券買いがただちに縮小す
る状況ではないとみられる。ただし、一部の投資家
は利回り水準の過度の低下を警戒しており、長期
債利回りが一段と低下する可能性は低いとみられ
る。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は外債投資を
増やす見込み
・欧州諸国の株高
・ギリシャ債務協議の進展
・ギリシャ債務問題の根本的な解決は
困難との見方
・欧州中央銀行(ECB)の量的緩和策は長期化する可能性
・日銀による追加緩和は難しいとの見方
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円
【
株式会社フィスコ
2015/4/13
為替相場
先週の豪ドル相場 今週の見通し
90.54 円 93.06 円
取引レンジ
反発。豪準備銀行(中央銀行)は7日、政策金利の
据え置きを決定したが、利下げを予想していた投資
家による豪ドル買いが活発となった。豪準備銀行は
5月に利下げを行うとの見方は消えていないが、
ユーロ、日本円に対する豪ドル買いが増えたことで
対円レートは一時93円台まで上昇する場面があっ
た。
2週間の推移
想定レンジ
4月13日
90.00 円
-
4月17日
94.00 円
上値の重い展開か。16日に発表される3月失業率
が有力な売買材料となりそうだ。2月と同水準の
6.3%になる見込みだが、予想通りであれば、5月利
下げの思惑が広がりそうだ。貿易赤字がしばらく継
続する可能性が高いことも、豪ドル相場の反発を抑
える一因となる。
1年の推移
(円)
103
(円)
94.00
98
92.00
93
90.00
88
2015/3/27
2015/4/3
2015/4/10
2014/4/10
2014/10/10
2015/4/10
債券市場動向(オーストラリア10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは上昇。豪準備銀行(中央銀行)は7
日、政策金利の据え置きを発表した。金利据え置き
は大方の予想通りだったが、国内外の株価が上昇
したことが意識されたようだ。株高によってリスク回
避的な債券買いは縮小し、債券利回りの上昇につ
ながった。
債券利回りはもみあいか。16日発表の3月失業率
を見極める展開となる。6.3%で2月と同水準と予想
されているが、市場予想を上回った場合は労働市
場の改善期待は後退し、債券利回りは低下する可
能性が高い。ただし、失業率低下の場合、5月利下
げの思惑は後退し、債券利回りはやや上昇する見
込み。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は外債投資を
増やす見込み
・主要国の株高
・商品価格の上昇で貿易赤字縮小の可能性
・豪準備銀行は通貨安容認の方針維持
・豪準備銀行は5月に追加利下げの可能性
・商品価格の下落で貿易赤字拡大の可能性
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株式会社フィスコ
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