Trend Report 株式会社フィスコ 2015/8/17 【トルコリラの見通し: 明日の政策金利発表、リラ安継続で金利据え置きへ】 <トルコ中央銀行は主要政策金利を7.50%に据え置く見込み> トルコ中央銀行は8月18日午後8時(予定)に政策金利を発表します。市場関係者は主要政策金利(1 週間物レポレート)の据え置き(7.50%で変更なし)を予想しています。 ■金利据え置きの主な理由 物価: 食料品やエネルギー価格は低下傾向にあるものの、インフレが鈍化するとは言い切れないこと 通貨: 通貨リラの下落によってインフレ率の低下を阻んでおり、金利引き下げを急ぐ必要はないこと 内需: 順調な貸出の伸びからも、内需は想定の範囲内で推移しており、金利引き下げがただちに必要な 状況ではないこと 《前回7月23日のレビュー》 ・政策金利(1週間物レポレート):7.50% (0.00% 市場予想:7.50%) トルコ中央銀行の金融政策委員会は7月23日、主要政策金利である1週間物レポレートを7.50%に据 え置くことを決定しました。金利据え置きは予想通りであり、トルコリラは主に45円台前半で推移し、45 円22銭近辺で取引を終了しました。 <トルコ中央銀行声明:中国人民元切り下げについて言及するか注目> トルコ中央銀行の金融政策委員会が今回公表する声明では、インフレ見通しや世界経済についての 見解が注目されています。また、中国人民元相場について言及するかどうかも注目されています。人 民元安が進行した場合、トルコリラを含めた多くの新興国通貨も連れて下落する可能性があるため、人 民元切り下げの影響について何らかの見解が表明される可能性があります。 <トルコ中央銀行の政策金利見通し:リラ安継続ならば、次回以降も金利据え置きへ> 食料品価格と原油価格は下落傾向にありますが、リラ安継続の影響でインフレ率は下げ止まってい ます。通貨安が続いた場合、利下げは難しくなることから、トルコリラ相場に大きな動きがない場合、政 策金利は今回だけでなく、9月以降も据え置きとなる可能性があります。 ・当面の政策金利想定レンジ:7.50%-7.50% <トルコリラ相場見通し:人民元切り下げや米利上げ期待で伸び悩みか> 中国人民銀行(中央銀行)は8月11日に、人民元の対米ドル基準値(中心レート)を切り下げた(人民 元安・米ドル高に調整した)ことから、トルコリラを含めた新興国通貨は総じて下落しました。人民元安 が進行した場合、トルコリラ安・米ドル高となる可能性は高いとみられています。また、米国の9月利上 げを想定して米ドル高・トルコリラ安が進行する可能性があることから、トルコリラ・円は伸び悩む可能 性が高いと予想されます。 ・当面のトルコリラ・円想定レンジ:43.00円-45.00円 ※2015年のトルコ中央銀行金融政策委員会の会合スケジュール 8月18日、9月22日、10月21日、11月24日、12月22日(あと5回開催) 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【 株式会社フィスコ 2015/8/17 為替相場 先週のドル・円相場 取引レンジ 今週の見通し 123.79 円 - 125.28 円 横ばい。人民元の対ドル基準値引き下げがきっかけ 想定レンジ 8月17日 - 122.00 円 - 8月21日 127.00 円 ポジション調整の円買いが進む場面もあった。 底堅い展開か。米9月利上げを見極める展開となり そうだ。消費者物価指数(19日)などの米主要経済 指標が材料視されそうだ。連邦公開市場委員会 (FOMC)議事録公表(19日)も注目される。経済指標 から9月利上げを裏付けられれば、ドルの上値を追う 展開か。年初来高値125円86銭を上抜ける可能性も ある。 2週間の推移 1年の推移 (円) 130.00 (円) となり、ドル買い・円売りが優勢となった。人民元切り 下げは日本経済に悪影響を及ぼすとの思惑が浮上 したことがドル買い・円売りにつながった。ただ、人民 元切り下げは円安修正を狙ったとの見方が広がり、 126.00 125.00 120.00 124.00 110.00 123.00 2015/7/31 2015/8/7 2015/8/14 100.00 2014/8/14 2015/2/14 2015/8/14 債券相場動向(米国10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは上昇。中国人民元相場の切り下げに よって各国の金融市場が混乱し、9月利上げに対す る懐疑的な見方が広がった。しかしながら、7月小売 売上高が期待に沿う結果となったことや人民元安が 一服したことで9月利上げ期待は再び高まり、長期債 利回りは反転、上昇した。 債券利回りはもみあいか。9月利上げの確度を見極 める展開となる。人民元相場の安定は9月利上げを 後押しする材料となるが、19日発表の7月消費者物 価コア指数が予想を下回った場合、9月利上げに対 する市場の期待はやや後退し、債券利回りの上昇 は抑えられる可能性がある。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・米9月利上げの可能性 ・日本の4-6月期国内総生産(GDP)はマイナス成長 ・日米の株高 ・米9月利上げ観測の後退 ・2015年の日本の貿易赤字は大幅縮小の公算 ・人民元相場の下落 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【 株式会社フィスコ 2015/8/17 為替相場 先週のユーロ相場 取引レンジ ユーロ/円 ユーロ/米ドル 今週の見通し 136.12 円 1.0925 ドル - 想定レンジ ユーロ/円 138.86 円 1.1214 ドル ユーロ/米ドル 8月17日 - 136.00 円 1.1000 ドル - 8月21日 140.00 円 1.1300 ドル 上昇。人民元切り下げを受けて安全逃避的なユーロ 買い・米ドル売りが活発となり、この影響でユーロは 対円でも堅調に推移。ギリシャに対する金融支援策 が正式決定されたことも評価された。また、日本の46月期国内総生産(GDP)はマイナス成長になるとの 思惑で短期筋などのユーロ買い・円売りが観測され た。 もみあいか。人民元相場の切り下げが市場で消化 2週間の推移 1年の推移 され、逃避先としてユーロに向かった資金は資源通 貨や新興国通貨へ徐々に戻る見通し。人民元相場 の安定はドル買い・ユーロ売りを促し、この影響で 対円でのユーロ高は抑制される可能性がある。 (円) (円) 139.00 145.00 137.00 135.00 135.00 133.00 2015/7/31 2015/8/7 2015/8/14 125.00 2014/8/14 2015/2/14 2015/8/14 債券相場動向(ドイツ10年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは低下。中国人民元相場の切り下げに よってユーロ高・米ドル安の相場展開となったことや 原油安の継続などが意識された。人民元の切り下げ は十分ではなく、さらなる切り下げで金融市場が再び 混乱するリスクは除去されていないとの見方があるこ とも、債券利回りの上昇を抑制した。 債券利回りはもみあいか。ギリシャに対する追加金 融支援策が正式決定されたことで、同国の債務問 題に対する懸念は多少緩和された。ただし、4-6月 期のユーロ圏域内総生産(GDP)は予想を下回る 伸びにとどまっており、ユーロ相場が底堅い動きを 続けた場合、債券利回りは上げ渋る可能性があ る。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・人民元安でユーロ選好の可能性 ・ユーロ圏のインフレ率上昇 ・ユーロ圏諸国の債務問題に対する懸念緩和 ・欧州諸国の債務問題の根本的な解決は難しいとの見方 ・米国とユーロ圏との金利差拡大観測 ・欧州中央銀行による量的緩和策は長期化の可能性 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 円 【 株式会社フィスコ 2015/8/17 為替相場 43.68 円 45.33 円 取引レンジ 下落。連立政権発足に向け、与党公正発展党 (AKP)が野党と協議を始めたとの報道を受け期待 感から買いが膨らんだが、人民元の基準値引き下 げの影響で売りに転じた。また、与野党の協議が決 裂し、近く総選挙を実施する見通しとなったことを受 けリラ売りが強まった。対ドルでは連日最安値を更 新した。 8月17日 - 8月21日 41.00 円 45.00 円 想定レンジ 軟調か。連立協議が決裂したことで政治情勢に不 透明感が強まり、トルコの金融市場では通貨安、株 安、債券安が進む見通し。5月トルコ失業率(17日) やトルコ中央銀行政策金利発表(18日)が注目さ れ、失業率が悪化した場合にはトルコリラの一段安 が予想される。治安の悪化も押し下げ要因となろ う。 2週間の推移 1年の推移 先週のトルコリラ相場 46 今週の見通し (円) (円) 55 45 50 44 45 43 40 2015/7/31 2015/8/7 2015/8/14 2014/8/14 2015/2/14 2015/8/14 債券市場動向(トルコリラ5年債) 先週の概況 今週の見通し 債券利回りは上昇。国内2大政党の連立交渉が決 裂し、早期総選挙の実施が確実となったことを嫌気 して通貨リラが大きく下げたことが要因。トルコ株式 市場でも株安が進んでおり、同国の金融市場から 資金流出が増えるとの思惑が広がった。通貨安を 意識して長期債などの利回りは上昇した。 債券利回りは下げ渋りか。国内政局不安を嫌気し て通貨安が続く可能性がある。何らかの理由で米9 月利上げ観測が後退した場合、トルコ国債の利回 り上昇は抑制される可能性があるが、米利上げ期 待が持続した場合、通貨リラはやや下落し、トルコ 国債の利回り水準は強含む可能性がある。 今週の買い要因・売り要因 ◆ 買い要因 ◆ 売り要因 ・トルコ中銀の政策金利は7.50%で当面 据え置きの公算 ・総選挙で与党勝利の可能性 ・ユーロ圏経済回復で輸出増加の期待 ・年内総選挙実施で国内政局不安 ・米利上げ開始、人民元安進行で資金流出の可能性 ・今年と来年の経済成長率は政府予想を大幅に 下回る可能性 本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。 株式会社フィスコ 【 ディスクレーマー(免責条項) 本レポートは、本取引所が㈱フィスコから提供を受けて、公表しているものであり、本レポートの 内容に関する一切の権利は、㈱フィスコに帰属いたします。本取引所は、本レポートの正確性、 完全性、適時性等を保証するものではありません。また、本取引所は、本レポートを用いて行う 一切の行為及び本レポートに基づいて被った損害について、何ら責任を負うものではありませ ん。 株式会社東京金融取引所 株式会社フィスコ(以下[フィスコ]という)は株価情報および指数情報の利用について東京証券取引所・大阪取引 所・日本経済新聞社の承諾のもと提供しています。“JASDAQ INDEX” の指数値及び商標は、株式会社東京証券取引所 の知的財産であり一切の権利は同社に帰属します。 掲載される情報はフィスコが信頼できると判断した情報源をもとにフィスコが作成・表示したものですが、その内容 及び情報の正確性、完全性、適時性について、フィスコは保証を行っておらず、また、いかなる責任を持つものでは ありません。 本資料に記載された内容は、資料作成時点において作成されたものであり、予告なく変更する場合があります。 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はフィスコに帰属し、事前にフィスコへの書面による承諾を得ること なく本資料およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送 信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。 フィスコが提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものでは ありません。 本資料に掲載される株式、投資信託、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢な どの影響により、その価値を増大または減少する事もあり、価値を失う場合があります。 本資料は、本資料により投資された資金がその価値を維持または増大する事を保証するものではなく、本資料に基づ いて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、フィスコは、理由のいかんを問わず、責任を負 いません。 フィスコおよび関連会社とその取締役、役員、従業員は、本資料に掲載されている金融商品について保有している場 合があります。 投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いい たします。 以上の点をご了承の上、ご利用ください。 株式会社フィスコ
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