Trend Report

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株式会社フィスコ
2015/2/9
【豪準備銀行の金融政策と豪ドル相場の見通し 通貨安志向で追加利下げの可能性】
<豪準備銀行は0.25%の利下げ実施、商品価格下落でRBAの通貨安志向は当面変わらず>
豪準備銀行(RBA/中央銀行)は3日、政策金利を0.25%引き下げることを決定しました。新たな政策金
利は2.25%で過去最低の水準であり、政策金利の引き下げは2013年8月以来となります。
■RBAが利下げを決定した主な理由
・主力輸出品である鉄鉱石や石炭の輸出価格が下落し、景気悪化の可能性があること
・需要減少と供給増加により、商品価格はさらなる下落が予想されること
・原油価格の大幅な下落により、消費者物価の上昇率は鈍化する可能性があること
・均衡のとれた成長のためには、通貨安が必要であること
・「今回の決定は商品の需要増大を支援し、持続的な成長や目標に沿ったインフレ率を促すだろう」と
の見解
RBAが通貨安の必要性を主張しているのは、商品価格の下落が続いているからです。世界経済の成
長鈍化によって需要減少が想定されていることから、RBAの通貨安志向が一変する可能性は極めて低
いと見るべきでしょう。豪ドル相場の望ましい水準について言及していません。
RBAが毎月算出している商品価格指数は、今年1月時点で前年比-19.1%の大幅な下落(107.8から
87.3)を記録しました。豪ドル相場の相対的な価値を示す貿易加重指数(指数の上昇は通貨高、下落
は通貨安を意味する)は、2014年1月末の67.7から2015年1月末には63.9に低下しましたが、下落率は
5.6%にとどまっています。商品価格指数の下落率とは大きな差があり、この点について考えた場合、
豪ドル安は不十分であると言えるでしょう。
<RBAの政策金利見通し:豪ドル相場次第で3月も利下げ実施の可能性>
RBAが通貨安志向を強めていることから、豪ドル相場に大きな動きがない場合、3月も利下げを行う
可能性があります。原油などの商品価格の下落は、中長期的なインフレ見通しに影響を与える可能性
があることも追加利下げを促す一因となります。
・当面の政策金利想定レンジ:2.00%-2.25%
<豪ドル相場見通し:追加利下げ観測で1豪ドル=85円程度まで下落も>
商品価格の下落に比べて豪ドル相場の下落は限定的であることから、RBAは豪ドル相場のさらなる下
落を容認しています。3月に追加利下げを行う可能性があることから、豪ドル安・米ドル高が一段と進行
した場合、豪ドル・円は一時的に85円程度まで下落する可能性があります。ただし、円安・米ドル高が
再び進行した場合、豪ドル・円が95円を上回る可能性は残されていると思われます。
・当面の豪ドル・円想定レンジ:86.00円-96.00円
※2015年の豪準備銀行定例理事会スケジュール
3月4日、4月1日、5月6日、6月3日、7月1日、8月5日、9月2日、10月7日、11月4日、12月2日(あと10回
開催)
本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。
円
【
株式会社フィスコ
2015/2/9
為替相場
2月9日
今週の見通し
116.66 円 119.22 円
取引レンジ
米ドルは対円で上昇した。米国1月の雇用統計は、失
での利上げ開始観測が高まった。
116.00 円 121.00 円
想定レンジ
米ドルは対円でやや弱含みに推移すると予想する。
ギリシャ反緊縮政権と国際支援団、トロイカ(欧州連
合・国際通貨基金・欧州中央銀行)との債務交渉が
難航する懸念が高まっていることで、弱含みに推移
する見通し。11日の臨時ユーロ圏財務相会合、1213日の欧州連合(EU)首脳会議での協議に要注目
か。
2週間の推移
1年の推移
業率は5.7%(12月5.6%)へ上昇したものの、非農業
部門雇用者数が前月比+25.7万人(12月+32.9万人)の
増加、平均時給は前月比+0.5%、労働参加率は
62.9%へ上昇したことで、6月の連邦公開市場委員会
120.00
(円)
125
-
2月13日
先週のドル・円相場
(円)
120
119.00
115
118.00
110
117.00
105
116.00
2015/1/23
2015/1/30
2015/2/6
100
2014/2/6
2014/8/6
2015/2/6
債券相場動向(米国10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは大幅上昇。6日に発表された1月雇用統
計が予想以上に改善し、6月利上げの思惑が広がっ
たことが要因。平均賃金の伸びが予想を大きく上回っ
たことも材料視された。経済拡大への期待が広がり、
安全資産としての債券需要は後退し、長期債などの
利回り上昇につながった。
長期債利回りは横ばいか。労働市場の改善で6月利
上げの思惑が広がっている。しかし、6日のNYダウ
が下落したことやドル高進行によって、長期金利の
上昇はやや抑制される可能性がある。米国株が軟
調に推移した場合、長期債利回りは2%近辺で上昇
一服となる可能性がある。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は2015年度に
外債投資を増やす可能性
・原油相場の反発
・6月利上げ観測で米長期金利の上昇
・主要国の株安
・原油安で日本の貿易赤字縮小の可能性
・日銀による追加緩和への思惑後退
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円
【
株式会社フィスコ
2015/2/9
為替相場
先週のユーロ相場 取引レンジ
ユーロ/円
ユーロ/米ドル
今週の見通し
132.00 円
1.1279 ドル -
想定レンジ
ユーロ/円
135.36 円
1.1534 ドル
ユーロ/米ドル
2月9日
-
131.00 円
1.1000 ドル -
2月13日
136.00 円
1.1500 ドル
ユーロは対円で上昇した。スイス国立銀行(中央銀行)
がユーロ買い・スイスフラン売り介入を実施したこと、
欧州中央銀行(ECB)がギリシャ中央銀行に595億ユー
ロの緊急流動性支援(ELA)を供給すると表明したこと
で上昇した。しかし、ギリシャ新政権と国際支援団と
の債務交渉が難航していることで上値は限定的。
ユーロは対円でやや弱含みに推移すると予想す
る。ギリシャ反緊縮政権と2月末に期限を迎える救
済プログラムを監視する国際支援団との債務交渉
が難航するとの懸念が高まっていることで弱含みに
推移する見通し。債務交渉が決裂した場合、ギリ
シャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高ま
ることになる。
2週間の推移
1年の推移
138.00
(円)
155
(円)
150
136.00
145
134.00
140
132.00
135
130
130.00
2015/1/23
2015/1/30
2015/2/6
2014/2/6
2014/8/6
2015/2/6
債券相場動向(ドイツ10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは大幅上昇。ギリシャの債務問題に対す
る懸念は消えていないが、1月の米雇用統計が予想
以上に強い内容だったことから、米長期金利は上昇
し、この影響でドイツ国債利回りは全般的に上昇し
た。ユーロ高・米ドル安の進行が一服したことも意識
されたようだ。
債券利回りは上げ渋りか。米長期金利の上昇が意
識されそうだが、ギリシャ新政権と債権者の債務交
渉は難航する可能性がある。ギリシャが債務不履
行に陥ることは回避されるとの見方が多いが、安全
逃避的な債券買いが大きく後退する状況ではない
とみられる。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は2015年度に
外債投資を増やす可能性
・主要国の株高
・ギリシャはユーロ圏に残留する意向
・ユーロ圏のインフレ率低下
・ECBは総額1兆ユーロを超える量的緩和策を導入
・ギリシャ債務協議は難航する可能性
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円
【
株式会社フィスコ
2015/2/9
為替相場
89.38 円 93.11 円
取引レンジ
豪ドルは対円で上昇した。豪準備銀行(中央銀行)
が政策金利を2.50%から2.25%へ引き下げたもの
の、1月の製造業指数が改善していたこと、12月の
貿易赤字が減少していたことで、上昇した。しかし、
豪準備銀行四半期金融報告で、成長率とインフレ
率見通しが下方修正されたことで上値は限定的
だった。
2月9日
- 2月13日
90.00 円 95.00 円
想定レンジ
豪ドルは対円でやや弱含みに推移すると予想す
る。1月の失業率が6.2%へ上昇すると予想されて
いること、雇用者数が5000人減少すると予想されて
いることで弱含みに推移する見通し。豪準備銀行
(中央銀行)四半期金融報告で、成長率とインフレ
率が下方修正され、失業率が上昇するとの警戒感
が示されたことも売り要因。
2週間の推移
1年の推移
先週の豪ドル相場 98.00
今週の見通し
(円)
103
96.00
(円)
98
94.00
93
92.00
88
90.00
2015/1/23
2015/1/30
2015/2/6
2014/2/6
2014/8/6
2015/2/6
債券市場動向(オーストラリア10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りはやや強含み。豪準備銀行(中央銀
行)は3日、政策金利を2.50%から2.25%に引き下
げることを決定した。利下げは予想外だったことか
ら、債券利回りは一時低下したが、株式相場が強
い動きを見せたことや原油先物の上昇を意識して、
長期債利回りは反転した。
債券利回りはもみあいか。12日発表の1月雇用統
計内容が手がかり材料となる。失業率は横ばいの
公算だが、労働市場のすみやかな改善に対する期
待は高まっていないことから、券利回りは上げ渋る
可能性が高い。インフレ進行への思惑は後退して
いることも債券利回りの上昇を抑制する一因とな
る。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は2015年度に
外債投資を増やす可能性
・中国経済の持続的成長
・商品相場の上昇
・豪準備銀行は通貨安を容認する方針維持
・商品相場の下落
・豪準備銀行は3月も利下げを行う可能性
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株式会社フィスコ
【
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株式会社フィスコ