Trend Report

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株式会社フィスコ
2015/1/26
【米ドルの見通し: 米連邦準備制度理事会の金融政策、6月利上げの思惑後退も】
<米FRBは27-28日のFOMC会合で当面の金融政策を検討へ>
米連邦準備制度理事会(中央銀行/FRB)は今週27日-28日、連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を
開いて金融政策を決定します。前回(12月17日)のFOMC会合で発表された声明には、「金融政策の運
営姿勢を正常にするまで辛抱強くいられる」との文言を追加されました。「正常にする」とは金利を引き
上げる意味と取られています。これにより、市場関係者の間では今年半ば頃に利上げが開始される可
能性が高くなったとの見方が広がり、ドル買いが優勢となりました。
<米国は利上げ、日欧は金融緩和、真逆の方向に向かっている日欧などの金融政策>
・米国: 昨年10月で量的緩和策を終了し、利上げに向かっています。
・欧州: 欧州中央銀行(ECB): 22日、総額1兆ユーロを超える量的緩和策の導入を決定しました。3月
より毎月600億ユーロ規模の債券購入が実施されます。
・日本: 日銀の黒田総裁は「追加緩和の必要が生じれば、新たな手法を選択する」との見解を表明し
ており、日銀は年内に追加緩和を実施する可能性があります。
金融緩和に動いているのはECBや日銀だけではありません。カナダ中央銀行は21日、予想外の利下
げ(1.00%から0.75%に引き下げ)を決定しました。スイス中央銀行は15日に政策金利を-0.75%に引き
下げています。中国人民銀行は22日、1年ぶりとなる公開市場操作による資金供給を行いました。この
ように金融政策の方向性において、米国は欧州や日本と真逆であると言えます。米国経済の影響を最
も受けるカナダの金融政策も米国と大きく異なる展開となっており、市場関係者の間からは、「主要国
の金融政策がここまで異なるのは滅多になく、異例の事態」との声が聞かれており、一部では利上げは
簡単な事ではないとの見方が出ています。
ルー米財務長官は強いドルは「米国にとってプラス」だと言明していますが、利上げとドル高によって
2015年の米経済成長は大幅に鈍化する可能性があります。米株式市場にとって利上げとドル高は望
ましい動きとは言えず、米国株が不安定な動きを続けた場合、世界の金融市場が大きく混乱するリスク
が増大するかもしれません。主要中銀との政策かい離は市場安定化を阻害する可能性があります。
<FRBの金融政策見通し: 年内利上げの見通しは変わらず>
FRBは、欧州経済の停滞や原油安などは経済回復を阻害せず、利上げへの道筋も変わらないとの見
解を改めて表明する見込みです。年内利上げはほぼ間違いないとしても、利上げの開始時期について
市場に予断を与えない可能性があります。
■FRBの金融政策:年内利上げの公算も、開始時期については予断を与えない可能性
<ドル・円相場見通し: 早期利上げの思惑後退でもみあう展開も>
政策金利の大幅な上昇への期待は後退しており、利上げ開始時期が6月以降となる可能性があるこ
とから、金利差拡大を想定したドル買いはやや一服し、ドル・円は118円前後でもみあいを続ける可能
性があります。
■ドル・円相場の当面の想定レンジ:116.00円-120.00円
※2015年のFOMC会合スケジュール
1月27日-28日、3月17日-18日、4月25日-29日、6月16日-17日、7月28日-29日、
9月16日-17日、10月27日-28日、12月15日-16日(全8回)
本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。
円
【
株式会社フィスコ
2015/1/26
為替相場
1月26日
今週の見通し
116.93 円 118.87 円
取引レンジ
米ドルは対円でやや強含みに推移した。欧州中央銀
行定例理事会で量的緩和策が導入されたことで、リ
スク回避地合いが後退したこと、ルー米財務長官が
「強いドルは米国にプラス」と発言したことで強含みに
推移した。しかし、日本銀行金融政策決定会合で期
待された付利引き下げが見送られたことで上値は限
定的だった。
115.00 円 120.00 円
想定レンジ
米ドルは対円でやや弱含みに推移すると予想する。
ギリシャ議会選挙で緊縮財政に反対する急進左派
連合が政権を獲得した場合、ギリシャ金融危機再燃
の警戒感が高まり、リスク回避の円買い圧力が強ま
る見通し。過半数を獲得できず連立政権も樹立出来
なかった場合は、再選挙となり、ギリシャ政局混迷懸
念が高まることになる。
2週間の推移
1年の推移
122.00
(円)
125
-
1月30日
先週のドル・円相場
(円)
120
120.00
115
110
118.00
105
116.00
2015/1/9
2015/1/16
2015/1/23
100
2014/1/23
2014/7/23
2015/1/23
債券相場動向(米国10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは低下。欧州中央銀行(ECB)が総額1兆
長期債利回りはもみあいか。23日のNYダウが大きく
下げたことや原油安が続いていることから、インフレ
鈍化への思惑は消えていない。ただし、30日発表の
10-12月期国内総生産(GDP)が予想を上回った場
合、利上げ先送りの思惑は後退し、債券利回りはや
や強含みとなる可能性がある。
ユーロを超える大規模な量的緩和策を発表したこと
で市場のインフレ期待はやや高まった。しかしなが
ら、23日のNYダウが大きく下げたことや米ドル高継続
の思惑が広がったことで債券利回りは反落した。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は2015年度に
外債投資を増やす可能性
・原油相場の反発
・日銀による追加緩和の可能性
・主要国の株安
・原油安で日本の貿易赤字縮小の可能性
・米早期利上げ観測の後退
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円
【
株式会社フィスコ
2015/1/26
為替相場
先週のユーロ相場 取引レンジ
ユーロ/円
ユーロ/米ドル
今週の見通し
130.92 円
1.1115 ドル -
想定レンジ
ユーロ/円
137.64 円
1.1679 ドル
ユーロ/米ドル
1月26日
-
129.00 円
1.0800 ドル -
1月30日
134.00 円
1.1300 ドル
ユーロは対円で下落した。欧州中央銀行定例理事会
で量的緩和策が導入されたこと、ギリシャ議会総選挙
で緊縮財政に反対する急進左派連合が政権を獲得
する可能性が高まったことで、リスク回避の円買い圧
力が強まった。日本銀行金融政策決定会合で期待さ
れた付利引き下げが見送られたことも円買い要因と
なった。
ユーロは対円でやや弱含みに推移すると予想す
る。ギリシャ議会総選挙で緊縮財政に反対する急
進左派連合が政権を獲得する可能性が高まってい
ることで、弱含みに推移する見通し。原油価格が下
落基調にあること、ウクライナ情勢の緊迫化など地
政学的リスクへの懸念が高まっていることも売り要
因となる。
2週間の推移
1年の推移
144.00
(円)
155
142.00
(円)
150
140.00
138.00
145
136.00
140
134.00
135
132.00
130
130.00
2015/1/9
2015/1/16
2015/1/23
2014/1/23
2014/7/23
2015/1/23
債券相場動向(ドイツ10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは大幅に低下。ユーロ圏の物価下落を受
債券利回りはもみあいか。欧州中央銀行による大
規模な量的緩和策によって、長期債などの利回り
水準は過去最低水準で推移する見込み。ただし、
ユーロ安の進行によってインフレ鈍化への懸念は
多少緩和されている。利回り水準の過度の低下を
嫌って債券投資はやや減少する可能性がある。
けて欧州中央銀行(ECB)は22日、予想を上回る規模
の量的緩和策を発表した。ドイツ国債の買い入れに
よって需給関係のひっ迫が警戒されたことで債券利
回りは週末前に一段と低下した。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日本の大手機関投資家は2015年度に
外債投資を増やす可能性
・主要国の株高
・欧州系大手銀行の資本増強
・ユーロ圏のインフレ率低下、失業率の高止まり
・ECBは総額1兆ユーロを超える量的緩和策を導入
・スイス中央銀行は1ユーロ=1.20フランの上限撤廃
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円
【
株式会社フィスコ
2015/1/26
為替相場
93.06 円 97.40 円
取引レンジ
豪ドルは対円で下落した。12月のTDセキュリティー
ズインフレ率が低下したこと、中国の景況感悪化懸
念が高まったこと、鉄鉱石価格の下落を受けて
オーストラリアの景況感悪化懸念が高まったことで
弱含みに推移した。日本銀行金融政策決定会合で
付利引き下げが見送られたことで円買い圧力が強
まった。
1月26日
- 1月30日
90.00 円 95.00 円
想定レンジ
豪ドルは対円でやや弱含みに推移すると予想す
る。商品市況の低迷を受けて10-12月期のインフレ
率が低下することが予想されていることで、弱含み
に推移する見通し。スティーブンス豪準備銀行(中
央銀行)総裁が豪ドル安誘導を表明していること、
豪準備銀行による利下げ観測が高まっていること
も豪ドル売り要因となる。
2週間の推移
1年の推移
先週の豪ドル相場 98.00
今週の見通し
(円)
103
(円)
97.00
98
96.00
95.00
93
94.00
93.00
88
92.00
2015/1/9
2015/1/16
2015/1/23
2014/1/23
2014/7/23
2015/1/23
債券市場動向(オーストラリア10年債)
先週の概況
今週の見通し
債券利回りは上昇。豪ドル相場の下落や株安が意
識されたようだ。欧州中央銀行が発表した量的緩
和策は予想を上回る規模となったが、国内外の株
価上昇につながったことでリスク回避的な債券買い
は縮小した。豪ドル相場の下落によってインフレ鈍
化の思惑が多少後退したことも、利回り上昇につな
がったようだ。
債券利回りは横ばいか。28日発表の10-12月期消
費者物価指数を見極める展開となる。参考となる
12月のTDセキュリティーズインフレ指数は低下。エ
ネルギー価格の大幅な低下によって、インフレ率が
2%を大きく下回った場合、利下げ観測が浮上し、
債券利回りはやや低下する可能性がある。
今週の買い要因・売り要因
◆ 買い要因
◆ 売り要因
・日銀による追加緩和の可能性
・中国経済の持続的成長
・商品相場の上昇
・商品相場の下落
・主要国の株安
・インフレ鈍化で豪準備銀行による利下げの可能性
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株式会社フィスコ
【
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