No.2015-002 2015年4月6日 http://www.jri.co.jp ≪関西経済シリーズ No.1≫ 近畿短観(2015年3月調査)でみる関西経済 (1)日銀大阪支店「短観」(近畿地区)3月調査は、業況判断DI(全産業・全規模)が+6と小幅 ながら2四半期ぶりに悪化に転じた(図表1)。とりわけ、製造業が3ポイント悪化し、円安・ 原油安のメリットが景況感の持ち直しを支えるとの構図が確認できなかったことで、景気の足 取りの重さが改めて浮き彫りとなった。もっとも、好材料として、非製造業の改善(1ポイン ト)があげられる。なかでも小売が4ポイント、対個人サービスが2ポイント改善しており、 個人消費の回復を裏付けた。 (2)2015年度の売上高計画、経常利益計画(全産業)をみると、売上高は前年度比0.2%増、経常 利益は同0.7%増にとどまり、過去数年の当初計画値と比べても控えめな伸びにとどまってい る(図表2)。製造業・大企業の需給判断DIをみると、国内は3ポイント、海外は6ポイント の悪化となっており、実需の脆弱性が残る(図表3)。2015年度の設備投資計画も前年度比 5.9%減からのスタートとなり、設備投資拡大の勢いには弱さがみられる(図表4)。 (3)総じてみれば、3月近畿短観は、企業が先行きに慎重な見方をしていることを示唆する内容。 鉱工業生産が緩やかながらも増加基調にあるなど、実体経済は回復を続けているものの、企業 マインドの弱さが足枷となり、今後とも景気回復ペースは緩やかなものにとどまるとみられる。 (図表1)関西の業況判断DIの推移 (DI) 2014年 12月 製造業 素材業種 加工業種 電気機械 非製造業 不動産 建設 運輸・郵便 対事業所サービス 小売 対個人サービス 物品賃貸 卸売 情報通信 宿泊・飲食サービス 全 産 業 7 0 14 20 6 8 7 2 0 ▲5 18 18 0 22 7 7 2015年 3月 4 ▲1 9 12 7 16 13 8 5 ▲1 20 16 ▲6 13 ▲6 6 前回調査から の変化幅 <▲ 3> <▲ 1> <▲ 5> <▲ 8> <1> <8> <6> <6> <5> <4> <2> <▲ 2> <▲ 6> <▲ 9> <▲ 13> <▲ 1> (図表2)関西企業の売上高と経常利益計画の修正状況 (全産業・全規模、前年度比) (%) 6 5 4 3 2 1 0 ▲1 (%) 60 50 40 30 20 10 0 ▲ 10 ▲ 20 ▲ 30 2011年度 2013年度 6 月 調 査 9 月 調 査 1 2 月 調 査 (資料)日本銀行大阪支店「短観」 (図表3)関西企業の需給判断DI (製造業・大企業) 先行き ▲ 10 (%) 15 2012年度 2014年度 2015年度計画 (2015年3月調査) 経常利益 3 月 調 査 (資料)日本銀行大阪支店「短観」 (注)▲はマイナスを示す。 (%ポイント) 0 売上高 2015年度計画 (2015年3月調査) ( 翌 年見 3込 月 調み 査 ) (図表4)関西企業の設備投資計画修正状況 (全産業・全規模、前年度比) 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 10 ▲ 20 5 ▲ 30 ( 翌 年 6実 月績 調 査 ) 0 ▲ 40 ▲ 50 海外 ▲5 ▲ 60 国内 ▲ 10 ▲ 70 2009 2010 2011 2012 (資料)日本銀行大阪支店「短観」 (注)DIは「需要超過」-「供給超過」) 2013 2014 2015 (年/期) 2015年度計画 (2015年3月調査) 3 6 9 1 月 月 月 2 月 調 調 調 調 査 査 査 査 (資料)日本銀行大阪支店「短観」 ( 翌 年見 3込 月 調み 査 ) ( 翌 年 6実 月績 調 査 ) 【ご照会先】調査部 副主任研究員 西浦瑞穂([email protected] , 06-6479-5750) ≪関西経済シリーズ≫は、研究員が日頃の調査・研究活動をもとに、関西経済の現状と先行きをみるうえでのキーポイントを解説するものです。 1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 17 16 15 14
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