No.2016-001 2016年4月5日 http://www.jri.co.jp ≪関西経済シリーズ No.1≫ 近畿短観(2016年3月調査)でみる関西経済 (1)日銀大阪支店「短観」(近畿地区)3月調査は、業況判断DI(全産業・全規模)が3と、前回 調査比5ポイント悪化(図表1)。業種別には、電気機械、輸送用機械など輸出関連産業を中 心に業況悪化が顕著(図表2)。企業マインド委縮の背景には、新興国経済の減速に伴う輸出の 低迷の影響が濃厚。このほか、消費者マインドを反映する宿泊・飲食サービス、中小企業の設 備投資に左右される物品賃貸などのDIも前回対比大きく減退。 (2)2016年度の売上高および経常利益計画(全産業)はそれぞれ前年度比0.5%減、同3.3%減の減 収減益見込みと、変調の兆し(図表3)。業種別にみると、製造業は2年連続の減益、非製造 業は前年度の大幅増(前年度比50.5%増)から一転マイナスに転じる見込み(同6.1%減)。想 定為替レートは2016年度118.03円/ドルと足元よりも円安。円高定着となれば電気機械や輸送用 機械などの輸出企業の収益はさらに下押しされる懸念も。 (3)一方、2016年度の設備投資計画(ソフトウェアを含み土地投資額を除く)は前年度比2.9%増と 堅調(図表4)。例年対比でみても3月調査時点の数字としては悪くない。設備投資が底堅い 要因として、IT投資の必要性や人手不足への対応などがあげられる。もっとも、減益見通しの なか今後積み増しの動きが勢いづくことは期待し難い。輸出、消費、設備投資に力強さがない なかで、政府の経済対策は目先の弥縫策ではなく、長期的成長をもたらす骨太のものにしてい くことが肝要。 (図表2)業種別業況判断DI前回調査比変化幅 (図表1)業況判断DI 15 (%ポイント) 10 (DI) 10 0 5 ▲5 0 ▲ 10 全国 全産業 ▲ 10 関西 全産業 ▲ 15 2013 2014 2015 2016 (年/期) (資料)日本銀行大阪支店「短観」 (注)調査対象企業の見直しのため、2014年12月以前と2015年3月 以降は不連続。 ▲ 25 (図表3) 日銀短観 売上・収益計画(前年度比) (%) 2015年度(見込み) 2016年度(計画) 前回比 修正率 全産業 製造業 非製造業 全産業 製造業 非製造業 (%) 15 卸 売 不 動 産 対 事 業 所 サ ー ビ ス 小 売 情 報 通 信 (図表4)設備投資計画修正状況(前年度比) (全産業・全規模) 2011年度 10 ▲ 0.3 <▲ 0.8> ▲ 0.5 0.0 <▲ 1.2> 0.0 ▲ 0.6 <▲ 0.5> ▲ 1.0 13.9 <4.9> ▲ 3.3 ▲ 2.4 <▲ 2.2> ▲ 1.4 50.5 <17.2> ▲ 6.1 (資料)日本銀行大阪支店「短観」(2016年3月調査) 化 業は 学 務ん 用用 機・ 生 械産 用 ・ 宿 物 対 運 建 泊 品 個 輸 設 飲 賃 人 郵 食 貸 サ 便 ー サ ビ ー ス ビ ス (資料)日本銀行大阪支店「短観」(2016年3月調査) 輸 送 用 機 械 電 気 機 械 ・ 2012 ▲ 20 ・ 関西 製造業 ▲ 20 経 常 利 益 全国 ▲ 15 ▲5 売 上 高 関西 5 2012年度 5 2013年度 0 2014年度 ▲5 2015年度 ▲ 10 見 実 込 績 み ( 翌 ( 翌 年 年 6 月 3 月 調 調 査 査 ) (資料)日本銀行大阪支店「短観」 ) (注)設備投資額はソフトウェアを含み土地投資額を除く。 3 月 調 査 6 月 調 査 9 月 調 査 1 2 月 調 査 2016年度 【ご照会先】調査部 副主任研究員 西浦瑞穂([email protected] , 06-6479-5750) ≪関西経済シリーズ≫は、研究員が日頃の調査・研究活動をもとに、関西経済の現状と先行きをみるうえでのキーポイントを解説するものです。 1 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 17 16 15 14
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