政策金利を据え置き。インフレ低下も追加利下げには慎重(2015/3/18作成)

*グローバル投資環境
インドネシア中銀の金融政策会合~
No.931*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
政策金利を据え置き。インフレ低
下も追加利下げには慎重
2015年3月18日作成
インドネシア中銀は17日に金融政策会合を開催し、政策金利
を7.50%で据え置いた。中銀は、政府が昨年11月に実施した燃
料に対する補助金削減によるインフレを最小限にとどめるため
に、同月18日に開いた臨時の政策会合で1年ぶりに25ベーシス
の利上げを実施した後、2会合連続で政策金利を据え置いてい
たが、今年に入って政府が補助金のさらなる削減を行い、実質
的には市場価格に連動する形になったにもかかわらず、原油安
によって燃料価格は逆に値下がり、CPI上昇率も昨年12月の
8.36%に低下に転じたため、2月17日に開いた前回会合では25
ベーシスの利下げを実施していた。
中銀は政策会合後に公表した声明文で、「決定は2015年及び
2016年のインフレ目標である4±1%を達成するとともに、経常
赤字を中長期的にはGDPの2.5%~3%というより健全な方向に
向かわせるための努力に沿ったものである」と説明している。
また、中銀は「通貨ルピア安定への取組みを強める。金融及び
マクロ調整のためのポリシーミックスの強化と、インフレと経
常赤字をコントロールし、構造改革を加速させるための政府と
のコーディネーションを強める」と述べている。
声明文では景気について、「インフレ抑制による個人消費に
支えられ第1四半期の成長は前四半期を上回るだろう。政府支
出も計画通りに伸びるとみられる一方、輸出は商品価格の低下
によって抑制された状態が続くほか、投資の伸びも第1四半期
は限定的だが、それ以降は政府による資本支出の増加によって
拡大する」としており、2015年通年の成長率は昨年の5.02%を
上回る5.4~5.8%のレンジに達するという従来の見方を維持し
た。一方、先に述べた通り、昨年12月でピークアウトしたイン
フレは2月には6.29%まで低下したが、「世界の原油価格やそ
の他の統制品目の価格調整など、インフレに影響を与えるさま
ざまな要因に注意を払う」という慎重なスタンスを示している。
インドネシアの通貨ルピアはここにきてリーマンショック後の対米ドルでのボトムを割り込ん
で、1998年以来の安値をつけている。通貨安の要因の一つに高水準の経常赤字が指摘されること
が多いが、貿易収支は昨年12月以降3ヶ月で黒字を記録している(なお、貿易収支の内訳をみる
と、石油・ガス関連の輸出・輸入ともに大きく減少しているものの、輸入の落ち込みがより大き
く、同関連収支が黒字化していることは、同国が原油安の恩恵を受けていることを示していよ
う)。貿易収支の改善を背景に、中銀は第1四半期の経常赤字は昨年の第4四半期から減少すると
の見方を示している。
また、中銀が先に述べた通り前回会合で25ベーシスの利下げを実施した後、政府筋がさらなる
利下げを求めたこともルピアに対する売り圧力を高めたとみられるが、現在のインフレ率に基づ
くと、多少の追加利下げを実施したとしても、プラスの実質金利が維持できることを考えると、
最近のルピアの下落はやや行き過ぎのように思われるが、今回の金利据え置きによって中銀が性
急な利下げを回避し、市場の動きをみながら慎重な政策運営を行う意思が示されたことで、ルピ
アに対する売り圧力が若干和らぐ可能性があろう。
(文責:勇崎 聡)
(インドネシア中銀及びBloombergデータより髙木証券作成)
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