鶴惣工業株式会社 - 社団法人・西日本プラスチック製品工業協会

【会情報】
【会員企業ご訪問:Vol.110】
鶴惣工業株式会社(摂津支部)
今回は、山口県萩市にある鶴惣工業株式会社の取締役統括工場長 青原常人様、工場
長 堀泰司様を第174回西日本プラスチック摂津支部会で訪ねました。
代表取締役社長 堀
義夫
様
本社所在地
大阪府四条畷市米﨑町 3-6
電話/FAX
072-876-1131/072-879-5292
資本金
4160 万円
創業
昭和 35 年 4 月
事業内容
自動車部品・電気部品・スポーツ
用品等幅広い分野のプラスチッ
ク製品の製造を取り扱っていま
す
社名の由来と会社概要
当社は海が薫る歴史のロマンが語られる静かな町、萩市に主要工場を構え事業展開
しており、竪型成形機を使用した、インサート成形・アウトサート成形を最も得意と
するメーカーです。
社名の由来は、創業者の母の名が都留(ツル)であり、また当社の現在の主力工場
でもある、惣郷工場の地域名を合わせ鶴惣工業と名づけました。
当社は自動車、電気、住宅、スポーツ用具などあらゆる分野の製品の加工、製造を
しております。本社工場、萩工場、惣郷工場、福賀工場を有し、一貫して国内生産を
とっているためスピーディーな対
応が出来ます。
効率化された量産工場(萩工場)
萩工場は射出成形機を 33 台持ち、
主力工場としての役割を担ってい
ます。すべての成形機に取出機を装
備し、素早い量産体制への移行を可
萩工場
能としています。また、当社は
元々機械に強く、自動化機器など
も自社で組み立てることもあり
ます。
当工場内では、原則的に 4 名グ
ループの 3 交代制で稼働してい
ます。取出機を装備した 33 台も
の成形機を、金型の段取り替えを
含め、わずか 4 人の作業員で稼働
させようとすると、作業員が成形
機を巡回する順番や作業工程、成
金型のメンテナンスの様子
形サイクルタイムの設定などを
余程効率よく緻密に設定することが不可欠
であり、このようなノウハウも当社の強み
です。
また、当工場には、金型の維持補修のた
めの必要な技能者と設備、器具を備えてお
り、3 工場の金型メンテナンスを一手に引き
受けています。
付加価値を生み出す(惣郷工場)
竪型成形機での成形作業の様子
惣郷工場はインサート成形による
付加価値を重点においた工場であり、
当社の中で最も歴史のある工場です。
成形機 30 台は竪型であり、萩工場と
は異なり、人手と手間がかかる、イ
ンサート成形が主力の工場です。そ
のため、作業者の能力によって、製
惣郷工場
品の供給量が変化するため生産効率
が、人材の育成に非常に大きな影響を受けます。
ロータリーテーブル付き成形機は、片方の金型が閉じて成形している間にもう片方
の金型にインサート部品をセットし、そして、一定時間が経過すればテーブルが回転
し、2 つの金型の役割が入れ替わるというに設定されているので、人間が作業するイ
ンサート部品のセットがもたつけば、製品の成形がストップしてしまうこととなりま
す。そのため、最初は作業員の成熟度に合わせてサイクルのスピード調整を行い、一
定の成熟度に達すると所定の成形サイクルタイムに合わせるようにしています。
当社の技術力と課題
点
山口県の萩市を中心に主生産工場をおいており、山口市内から離れているため、人
材の確保が難しい点が問題です。その少ない人材が、工場付近に他社の企業が参入す
ると、人材が流出してしまう恐れがあるため、人材確保が今後においても課題である
と言えます。これらを解消するために、毎年ベトナムから実習生を受け入れるなどし
て対応しております。また、流通網も都市部と異なりあまり整備されておらず、大雨
などの天災により被害を受けた場合なども復旧に時間がかかるなどの問題点があり、
現在も工場周辺で復旧中のところもあります。
現状の当社の課題として、車関係の部品の成形など、受注型の形態では受注数も価
格設定も顧客次第で上下が激しいので、独自技術の開発、自社商品の開発などを通じ
て、価格主導権を握っていけるような努力をしていきたいと考えています。その成果
として、「TSキャスター」と名付けた、低環境負荷で高機能性の樹脂製キャスター
などがあります。
また、当社は資格取得にも力を入れており、プラスチック成形技能士を 1 級 2 級と
もに約 20 名を擁し、確かな技術力でお客様の注文に応えられるようにしております。
~会社を拝見して~
今回、会社を訪問させていただき、自動化設備を導入される一方、竪型成形機によ
るインサート成形も行い、従業員の方の作業スピードの速さやインサート部品のセッ
トをする際の正確さなど、摂津支部の会員の方も驚かされるほどの技術力の高さを感
じました。また、地方であることによる、人材不足を解消するために海外からの人材
確保を積極的にしておられ、さらに自社製品を開発して安定した事業経営を行おうと
するなど、問題点をしっかりと把握しておられ、今後の経営課題や戦略の目標を明確
にされている点に魅力を感じました。
第174回西日本プラスチック摂津支部会による訪問の様子
◎ありがとうございました
取材:事務局
山本、平野
※本記事記載の情報については、2014年11月28日現在のものとなります。
掲載希望の方は事務局(06-6214-8300)までご連絡ください