株式会社リングスター(大阪中央支部)

【会情報】
【会員企業ご訪問:Vol 118】
株式会社リングスター(大阪中央支部)
今回は、工具箱一筋で長年に亘り事業を展開されている㈱リングスターの取締
役・奈良工場長である唐金 信治郎様を訪ねました。
本社住所
電話
FAX
06-6961-0883
06-6961-2440
資本金
3,200 万円
創業
唐金 信治郎
大阪府大阪市城東区東中浜 3-19-16
大正元年(昭和 36 年株式会社設立)
成形機
11 台
従業員数
40 名
工場長
工場の様子
平成 3 年に操業を開始し、成形事業の中核を担っ
てきた奈良第一工場でしたが、需要の増加に伴い、
平成 25 年 4 月に奈良第二工場を開設しました。開
設にあたっては、生駒市からの補助や平成 24 年度
のものづくり補助金を利用しました。
成形機の大半をマグネットクランプにして、金型
交換の時間を短縮し、生産の効率化に繋げていま
す。
商品ラベルでも目立つように打ち出しています
が、当社は日本製(自社生産)にこだわりを持っ
奈良第二工場外観
ており、製品のパーツは全て自社で内製化してい
ます。それぞれのパーツを揃えておき、成形した
際には組み立てからラベル貼付、箱詰めまで行い、
すぐに出荷できる状態にまで仕上げています。この方法の実現までは試行錯誤の連
続で、やり方に対し批判されたこともしばしばで難しいこともありましたが、結果
的にこれが一番効率の良い方法と自信を持っています。
工場を見渡すと従業員の年齢が若く活気がありますが、これは働きやすい環境にな
るように、採用の際には今いる従業員より大幅に年齢が高くならないようにしてい
るためです。
成形終了後、すぐに組立て、箱詰めまでして製品としています
最近の販売傾向
製品をお買い上げいただく方は、以前はプロが大半を占めていましたが、最近は
プロだけに留まらず個人の方にも当社の製品の良さが広まり、ユーザー層が拡大
しています。その結果、今では個人向けへの販売実績も大きく伸びてきています。
理由としては、インターネットによる通販と、個人向けに従来品と差別化した商
品開発を行ったことがあります。
インターネットの口コミの力は大きく、高評価を頂いている上にプレゼンだけで
は伝わらない、実際の使用場面での感想を書いて頂いているので、無言の営業ツ
ールであると感じています。通販では直取引の依頼がありますが、メーカー本来
の商品流通方法を守っており、長年の付き合いを大事にしています。
また、個人向け商品の開発により、価格ラインが充実してきましたが、原料価格
上昇時にも自社製品の店頭価格は変えていないため、安定価格商品で、製品がし
っかりしているということで販売店からも信頼を寄せて頂いています。販売店と
はPB商品も展開していますが、リングスターのブランド名が見える方が、評判
が良いという声もあります。
自社の強み
ユーザーのニーズに応える商品開発を積極的に
行っています。その結果、特許取得、実用新案登
録、意匠登録等されている商品があります。
そうした商品の例として、ロックのかけ忘れによ
る中身の飛び出しを防ぐ「スーパーロック方式」
や、仕切り溝を 5.5 ミリピッチで設け微細な収納
スペースを作れる「スーパーピッチ」、業界初の
左右どちらからでも蓋が開く「パーツケース」と
いったものがあります。
このような、ちょっとした違いでユーザーのニー
ズを捉える商品開発は、実際に電気工事現場、左
官職人、大工職人の方などを訪ね、現場の声をく
まなく拾うことで可能となっています。
スーパーバスケット
こうして発想を得たものを、社内で取りまとめて商品を開発しています。
抱えている悩み
店頭価格は変えませんが、原材料費が高騰しているの
は悩みです。
また、ひとつひとつの製品が大きいものの、受注型生
産ではないため、ストックが大量となる点が悩みです。
このため、現在は同じ工業団地内に物流センターも確
保しています。
倉庫の様子
これからの展望
これからは安全面、不具合などに対して、より消費者の目が厳しくなってきます
ので、買って良かったと思って頂けるような妥協しない商品づくりを引き続き行
っていきます。「ここで良い」という終わりはなく、品質にこだわり続けてもっと
良い商品を作っていきたいと思います。
※ 会社を拝見して ※
商品開発のアイディアや流通方法に、長年工具箱一筋で取り組んでこられた伝統
を感じました。新しい技術や強い販売力を持った企業が現れても、伝統だけは作
ることができないので、商品開発力と並ぶ大きな強みを持たれていると思います。
伝統の強みが活かされている例として、ユーザーに末永く使ってもらえるよう、
間仕切り板などのみでの販売を可能とした業界初となる「パーツデリバリー」を
始められていることがあります。長年にわたり、工具箱に特化して取り組んでき
たからこそできることかと思います。そして、これには予想以上の反響があり、
非常に喜んで頂いているということで、今後もこの強みを活かしたどのような取
組がなされていくか楽しみです。
また、価格競争は先細りであり、参加しないとおっしゃっていたことも印象的で
した。値下げをしていく先にゴールはないことはもちろん、価格は高くとも、そ
の価格に見合うだけの商品を作っているという会社の自信を感じました。
◎ありがとうございました
取材:事務局 梅田、河合
※本記事記載の情報については平成 27 年 5 月末日現在のもとなります。
掲載ご希望の方は事務局(06-6214-8300)までご連絡ください。