株式会社大日ハンソー(大阪南支部)

【会情報】
【会員企業ご訪問:Vol131】
株式会社大日ハンソー(大阪南支部)
今回は大阪市平野区にある株式会社大日ハンソー(大阪南支部)の
平見 剛 代表取締役を訪ねました。
社名
株式会社大日ハンソー
所在地
大阪市平野区平野北 1-10-35
資本金
2,000 万円
創業
昭和 34 年 4 月
会社設立 昭和 36 年 2 月
成形機
射出成形機 70t~220t 5 台
その他
旋盤 2 台、フライス盤 1 台、ボール盤 3
台、超音波溶着機 1 台、3D プリンタ 1 台、
3D 測定器 1 台、配管鍔出し加工機 1 台
平見
剛
代表取締役
従業員数 14 名
沿革
祖父が戦後、戦争で焼失してしまった米穀店を興すなかで生活の変化を感じプラスチッ
クには将来性があると考え、大阪市平野区に於いて大日プラスチック工業所を創設しプラ
スチック製品の製造販売を始めました。当時は、射出成形機 2 台を導入し、米穀店の経験
から枡やボウル等の製造販売を始め、『よろず屋』的なスタンスで営業をしておりましたが、
客先からの扱いは荒く、悔しい思いをしていました。愛知県のケミカルメーカーに勤めてい
た父が会社に呼び戻され、メーカーにならないとこのままの状況が続くと実感したこともあ
り、米穀店で使用するコンベヤ内に使われている部品を樹脂に変えると良いのではと考
え、形状・素材を研究しました。金属から樹脂への変換には利点があり、金属の場合摩耗
で減った箇所はナイフエッジになり交換作業時に怪我をすることがありましたが樹脂にする
と怪我は発生しなかったことから、口コミや創業者の人脈で使用いただけるお客様が増え
樹脂化は大成功でした。販売先が少しづ
つ増えていくなか、希望されるものが搬
送系に集中していたこともありメーカーと
しての役割をさらに強化するべきと考え、
昭和 45 年に得意分野としていたコンベア
用パーツの専門メーカーとし社名も株式
会社大日搬送機具製作所に改称しまし
た。さらに、生産性の向上を期して昭和
51 年に本社・工場を現在地に移転し、平
成 12 年に、パーツのみではなく広く対応
し得る会社へステップアップしていくため
に現在の社名・株式会社大日ハンソーと
株式会社大日ハンソー
本社・工場
なりました。社名については、創業当時や
改称をした際にも「大日」という言葉を含
んでいますが、これには大日如来様が皆
に日を照らす存在であることから、わが社
も事業を通じて生産工程でなくてはならい
ないモノづくりに徹し万物の根源となり皆
様に日を照らすようなパートナーとしての
存在になりたいという意味を込めていま
す。
現在は、本社・本社工場(射出成形・設
搬送用 20 インチバケット
計・経理)以外に、第 2 工場(アッセンブリ
ー、3D プリンター・試作、評価試験、実験スペース)、第 3 工場(金属の打ち抜き、配管・パ
イプの加工)の 3 拠点にて稼動しています。
製品について・当社の強み
製品の中心となっているコンベア用部材は、耐久性に優れるナイロン樹脂を使用してい
ます。従来は金属製であった部品を樹脂化することで 1/2~1/7 に軽量化したことにより、
取付け作業が軽減される他、駆動モーターの負担を減少し、装置全体を小型化できるなど
のメリットがあります。また、先述の通り、金属製の場合、破損したり、磨耗した部品が尖っ
た刃物のようになってケガをすることがありましたが、樹脂化によりこのような問題が起こり
にくくなりました。ナイロン樹脂を使用した成形品は、耐薬品性も高く、食品、医薬品、飲料
用の輸送ラインに使用が可能です。製品としては垂直荷揚げ用のバケットタイプとスクリュ
ータイプがあり、自社で製造販売する部材については、射出成形機 5 台(70~220ton)と旋
盤等の加工機を用い、各種サイズ、形状を揃えております。その他、切削加工による軸無
しスクリュー羽根や押出成形によるポリカーボネート透明パイプ、金属加工品としてフラン
ジ付薄肉パイプ・エビ管など、搬送用設備に係るあらゆる部品から装置を協力工場とのネ
ットワークにより品揃えしています。これらの製品が使用される分野は、金属加工、食品、
医薬、化学、飲料、リサイクル、環境など多岐にわたっています。搬送用設備の製造に対
応するためには、部材メーカーとしての知識のみならず、装置全体、また前後の工程に繋
がる設備とのつながりも含めた知識と技術が必要となります。近年、大手プラントメーカー
や商社では、装置の仕様について、詳細
な部分の設計まで対応できない場合が多
いため、専門知識を持つ設計担当者によ
り顧客の要望に合わせた対応ができるよう
強化しています。また、協力工場とのネット
ワークは 100 社近くあり、品揃えについて
も顧客のニーズに応えることができます。
8000 社近い顧客との搬送装置に関する経
験と幅広いノウハウをもとに、装置全般を
販売する場合もあります。一品一様の加
工品から装置も製作可能であり、品質・コ
スト・納期で競争力を持つ体制を備えてい
薄肉配管
ます。
今後の経営、技術課題
数年前から、規格化された装置の設計に取り組んでおり、それを早期に仕上げて販売で
きるようにしたいと考えています。要望された部品の製作だけでなく、顧客が不具合に感じて
おられる点を解決し、従来よりもコンパクトかつスタイリッシュで低コストな競争力のある規格
品の装置を開発し、より多くの顧客に対して当社の技術を利用してもらえると考えています。
当社の方針と、全従業員で取り組んでいること
社内全体で、話のできる人を増やして、「賑やかな会社」にしたいと考えています。コミュニ
ケーション力向上の一環として、朝礼時には、毎日輪番制にて各自が従業員の前で新聞の
コラムの様な話題を考えて話すようにしています。これは海外に行った際、日本人は他の
人と打ち解ける力が劣っていると感じたことからです。これからは海外進出も考えているの
で、現地の人との会話、コミュニケーションが出来る人材が必要であると考えています。実
際みんなの前で話をするのは慣れていないと緊張しますし、うまく話ができないことが多い
のですが、普段から経験しておくと自然に話ができるようになります。もう一つ社内全員で
取り組んでいるのは節電です。これまではあまり気にしておらずムダが多かったのですが、
成形機、粉砕機、エアコンなど電源を入れる時間や使用する時間を工夫するだけで電気料
金がかなり変わることがわかりましたので、各担当者が連携をとって、確認や声の掛け合
いを行い、改めて節電・ムダの削減を進めるようにしています。技術面では、国家資格であ
る成形技能士(射出成形)の取得を社員に推奨しています。現在も資格保有者がいます
が、今後さらに増やして成形技術を向上させようと考えています。
社員への教育
社員には普段から社外の研修会などに積極的に参加して、普段の仕事では得られない
ような知識や経験を得るように指導しています。ただし、自発的に動くことと、参加後は、職
場に帰ってから職場のメンバーに報告することにしています。そうすることで、見聞きしたこ
とが、より身につくようになると考えています。
そして「ヘルメットが似合う」従業員になってもらいたいです。報・連・相もそうですが、「ヘルメ
ットが似合う」人は何事にも俊敏に動く事が出来ると思っています。特に他部署との打合せや
業者と現場にて作業をおこなう時に俊敏性がある人は、段取りよく仕事が出来るからです。
協会への要望
社員の採用には苦労していることから、他の企業が採用活動時にどのような工夫をされ
ているのか参考にさせていただきたいので、情報交換できる場があれば是非参加したいと
思います。
※ 会社を拝見して ※
インタビューの後、工場を見学させてもらいましたが、従業員の皆様には明るく元気な挨
拶をしていただき、社長が話しておられた「賑やかな会社」が実現されていることがわかりま
した。また、社長は海外マーケットにも目を向けておられ、今後の事業展開に期待が膨ら
み、是非とも支部会などでお会いした時にお話をうかがいたいと思いました。
◎ありがとうございました 取材:事務局 銕尾・矢野
※本記事記載の情報については、2016 年 8 月 9 日現在のものとなります。
掲載希望の方は事務局(06-6214-8300)までご連絡ください。