2015年6月度 第 76 回 認知症(2) レビー小体型 認知症 と治療薬について 1 認知症の種類 3大認知症 1.アルツハイマー型 認知症 2.脳血管型 認知症 3.レビー小体型 認知症 その他 4.前頭側頭型 認知症 5.正常圧水頭症 6.慢性硬膜下血腫 7.甲状腺機能低下症 2 アルツハイマー型 認知症 ・新しいことが記憶できない、思い出せない 時間や場所がわからない。 (認知機能障害) ・無関心、物盗られ妄想、徘徊、等々 (BPSD) レビー小体型 認知症 ・実際にはいない人が見える (幻視) ・眠っている時に突然怒鳴ったり、奇声をあげる (睡眠時の異常言動)(レム睡眠行動障害) ・手足が震える、小刻みに歩く (パーキンソン症状) ・時間帯によって、正常な時と、ボーっとして理解・判断 できない状態が入れ替わりに起こる (認知機能の変動) 3 認知症の原因 1.アルツハイマー型 認知症 ;アミロイドβという蛋白が 脳に蓄積して神経細胞が減少 2.レビー小体型 認知症 ;レビー小体という蛋白の塊りが 脳に蓄積して神経細胞が減少 3.脳血管性 認知症 ; 脳梗塞・脳出血の後遺症 4 レビー小体とは 1914年にドイツのF.H.Lewyが、パーキンソン病患者 の死後解剖により中脳に異常な構造物(蛋白の塊り) が溜まっていることを発見。 この蛋白の塊りを レビー小体(Lewy Body)と命名。 アルツハイマー型認知症とパーキンソン病を併せ 持つような認知症患者の脳では、このレビー小体が 大脳皮質(認知機能を司る)にも広く見られること を1978年に日本の小坂憲司医師が発見。 その後、レビー小体型認知症 と命名された。 「レビー小体病」は レビー小体が原因となる病気 → パーキンソン病 と レビー小体型認知症 の総称 5 レビー小体型認知症の3つの特徴 1.リアルな幻視が見える。 (最大の特徴) 「部屋で3人の子供が走り回っている」 「お坊さんが来られた」など、非常にリアルな 幻視を見る。幻視により不安感が強くなる。 2.日によって症状に変動がある。 正常に思える時と様子がおかしい時(無気力、 興奮、錯乱)が繰り返し見られる。 3.パーキンソン症状が見られる。 引きずるような足取り、凍ったような姿勢、 手足の震え、猫背、嚥下困難、など。 6 4.夜間せん妄・レム睡眠行動障害 夜中に興奮して訳の分からないことを叫ぶ その他の症状 ・自律神経障害を伴う (便秘や尿失禁、起立性低血圧による失神) ・転倒と嚥下障害の危険性が高い (パーキンソン病による) ・薬物に過敏に反応する(薬物過敏性) 7 レビー小体型 認知症の 発病と進行 最初は「幻視、妄想」から始まる やがて「アルツハイマーのような認知障害」 と、「パーキンソン病のような運動障害」 の両方が症状として現れる 寝たきりになる(アルツハイマーの10倍の速さ) 8 レビー小体型認知症の薬物治療 ・アルツハイマー治療薬 アリセプト ・非定形抗精神病薬 ・パーキンソン病治療薬 レビー小体型認知症は 薬物過敏性であるため少量から。 薬で逆に悪化する場合もある。 薬物治療が難しい。 9 レビー小体型 認知症の特徴 1.男性に多い。 2.初期の段階で、物忘れよりは「幻視」が見られる。 3.認識妄想; 自分はまだ働いている。 自分は若くて子供も小さい。 自宅にいるのに自分の家ではない。 家族の顔がわからない。 4.パーキンソン病のような症状が出る。 5.頭がはっきりしている時と、そうでない時を 繰り返しながら進行。 6.うつ症状が出たり、レム睡眠行動障害も見られる。 10 「レビー小体型認知症」のまとめ 1.アルツハイマー型に次ぐ第2の認知症 2.原因は、レビー小体という蛋白の塊りが 脳に蓄積し、神経細胞が減少 3.症状の3大特徴は ① リアルな幻視 ② 日によって症状 (無気力、興奮、錯乱) が変動 ③ 認知障害とパーキンソン症状 4.うつ病、パーキンソン病、アルツハイマーと 間違えられることが多い(正しい診断が難しい) 5.薬物過敏性であり、薬物治療が難しい 11
© Copyright 2024 ExpyDoc