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シンポジウム 15
Aß 除去メカニズム Update
Degradation/Clearance System of Pathogenic Molecules - Update
オーガナイザー:岩田修永 長崎大学ゲノム創薬学研究室
樋口真人 放射線医学総合研究所 脳分子動態チーム
概要: Aß の産生が β および γ セクレターゼによる連続的な切断に依存するのに対
して、脳内 Aß 除去システムは多様である。生理的状態や病理的状態に応じて細胞内
や細胞外で様々なオルガネラや酵素によって分解除去されていると考えられる。細
胞間隙に分泌された Aß の生理的分解にはシナプス前膜に局在するネプリライシン
が主要な働きを担うことは本邦で明らかにされた先駆的研究であり、本邦は Aß 分解
系の解析を国際的にリードしてきた。Aß が活性化ミクログリアやアストロサイトの
貪食・飲作用によって分解されることは古くからよく知られているが、最近の研究
によってアストロサイトから分泌されたプロテアーゼによっても Aß が分解される
ことも明らかになった。このように脳組織では自身で分解・除去する以外にも、Aβ
を末梢血中へ積極的に排出して、脳内 Aß レベルを低く維持するようなシステムもあ
る。本シンポジウムでは、脳内 Aß の分解・消去・排出等の除去システムを俯瞰し、
アルツハイマー病治療への応用を議論することを企画した。各シンポジストからは、
Aβ 分解酵素の活性増強を目指した創薬や新しい機能、新規分解酵素の登場、Aß 排
出機構のメカニズムについての最近の知見を紹介して頂く予定である。