第 5 回 プ ロ グ ラ ム 作 成 の 基 礎 知 識

全日本男子バレーボールチームのフィジカルコーチを務める、飛翔会グループ株式
会社メディウイングの大石博暁トレーナーが、様々なトレーニングについて解説し
ます。第 5 回は、プログラム作成の基礎知識についてご紹介します。
【図1】超回復とトレーニング効果
トレーニングの目的に応じて、負荷
設定も変わってきます。目安としては、
るためには、 〜 回反復可能な重量
ニーズに応じて、弱点克服や競技特性
に応じた動作
ニングを行うときは、容易に反復でき
初心者がフォーム習得のためにトレー
さらにエクササイズを関節の数で分
類すると、スクワットのように股関節
る重さで 〜 回。筋の持久力を高め
エクササイズと、椅子に座った状態で
で 回を、 秒以内の休息をとりなが
ら2〜3セット。筋肥大が目的の場合
30
第5回 プログラム作成の基礎知識
や膝関節など複数の関節を使う多関節
足を伸ばすレッグエクステンションの
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ように、1つの関節しか使わない単関
トレーニング効果は、プログラムの
内容によって大きく変わってきます。
10
30
インターバルの時間、動作スピード、
12
のと合わせてバランスよくトレーニン
協調性が生まれないため、多関節のも
大のスピードで行う、というような設
〜8回反復可能な重量で3〜5回、最
セット以上。筋力向上のためには、3
定を立てることができます。
グを行いましょう。
の関節に大きな力のかかる単関節エク
途中で次のトレーニングを始めると、
始めれば筋力は向上しますが、回復の
の超回復の時期に次のトレーニングを
ただ、トレーニングは数をこなせば
いいわけではありません。
【図1】を見
エクササイズの配列ですが、先に行っ
た種目の方が高いトレーニング効果が
ササイズよりも、多関節エクササイズ
オーバーワークで逆に低下してしまう
期待できるため、補助エクササイズよ
を先に行いましょう。エクササイズは
つに分けられます。
れる基本動作
大筋群を鍛えた後、小筋群を鍛えるの
こともあります。大きな筋肉になれば
ても分かるように、筋肉が発達するの
体
力
レ
ベ
ル
2、補助エクササイズ…主要エクササ
なるほど疲労の回復は遅くなります(た
は疲労から回復するときなのです。こ
高
イズで鍛えた大筋群が効率よく動くた
が基本です。小さな筋肉は疲労が早い
りも、主要エクササイズと専門性エク
低
めの補助的な動きに関わる動作
ため、先に鍛えてしまうと大きな筋肉
ササイズを先に行います。また、1つ
動力となる大筋群(脚部、腹部、背部、
体
力
レ
ベ
ル
a:適切な設定
高
胸部)を強化することを目的に実施さ
低
疲 労
体
力
レ
ベ
ル
3、専門的エクササイズ…個人特有の
(肉、魚介類、卵、乳製品、大豆製品)
だし、腹筋を除く)から、同じ部位を
の摂取は欠かせません。トレーニング
鍛える場合は、1〜3日程度の時間を
腹筋や背筋という姿勢支持筋に関わ
るエクササイズは、一番最後に行いま
の直後に牛乳を飲むのは効果的です。
まで刺激が届かなくなるのです。力は
しょう。体幹の支持に関わる筋肉を先
しかし、タンパク質は消化吸収効率が
体の中心から末端に向かって伝わるこ
に鍛えると、疲労から姿勢を保持でき
あまりよくないため、こまめに補給し
おくようにしましょう。
なくなってしまいます。その状態でス
ともあり、大筋群から鍛えた方が刺激
クワットなどを行うと怪我につながる
てください。
の伝わりもよくなります。
ため危険です。
休息と同様に大切なのが、栄養補給
です。筋肉の回復を助けるタンパク質
1、主要エクササイズ…身体運動の原
まずエクササイズの分類ですが、ト
レーニングの目的に応じて、以下の3
b:オーバートレーニング
トレーニング頻度、期分けなどを考慮
回 復
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より高い効果を得るためにも、プログ
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は、8〜 回反復可能な重量で限界ま
低下
で、 秒〜 秒の休息をとりながら3
低
節エクササイズに分けられます。単関
時間
節エクササイズばかりでは体の動作に
時間
ラムを作成するときは、エクササイズ
初期へ戻る
に入れるようにしましょう。
24~72時間
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向上
時間
超回復
の分類、配列、負荷、回数、セット数、
…トレーニング
高
大石 博暁
(おおいし ・ ひろあき)
1970 年 広 島 市 出 身。
1992 年東海大学卒。ト
レーナーとして数々の
チームを指導し、現在
は全日本男子バレー
ボールチームのフィジ
カルコーチを務める。
競技者としても円盤投
げで国体優勝、ボブス
レーでは 2 度のオリン
ピック出場を誇る。