PDF版 - 飛翔会グループ

全日本男子バレーボールチームのフィジカルコーチを務める、飛翔会グループ株式
会社メディウイングの大石博暁トレーナーが、様々なトレーニングについて解説し
ます。まず第 1 回は、大石トレーナーの仕事についてご紹介します。
第1回 トレーナーの仕事とは?
ムなど、数多くのチームや選手を指導
その成果は、早速表れてきました。
トレーニングを始めた4月と 月では、
全日本男子のバレーボールチームの
直跳びで平均7・9センチほど数字が伸
バレーボール選手が一番重要視する垂
してきました。そして昨年4月からは、
フィジカルコーチも務めています。
びたのです。最も数値が伸びた選手で
手も含めて少しでも多くの人たちに伝
ものを若い競技者や中高生、一般の選
の変化を実感したのです。そういった
ることによって、競技パフォーマンス
正しい動きや負荷のかけ方を身につけ
レーニングに出会ったことがあります。
私がトレーナーを志した背景には、
自分自身が競技者として本格的なト
導を行っています。
スの向上と、傷害予防の2本立てで指
体力面の強化です。主にパフォーマン
トレーナーの仕事は、実に多岐に渡
ります。中でも私が担当しているのは、
スパイクを打つことはできません。他
スパイクを打とうと思っても、力強い
が狭かったり、肘が上がらない選手が
例えばバレーボールでは、肩の可動域
動くようにすることもとても重要です。
技術を向上させることも大切ですが、
トレーニングによって体をしっかりと
技力を高めることになりました。
が連携し、一貫したトレーニングで競
昨年から全日本と各Vリーグのチーム
ンピック出場を逃していたこともあり、
です。しかし男子は3大会連続でオリ
て徹底した強化を図っていなかったの
行っていました。そのため全日本とし
年の強化はより重要になります。残さ
を目指しています。そのためにも、今
けでなく、やるからにはメダルの獲得
現在の全日本チームの目標は、やは
り北京オリンピックです。出場するだ
上していくはずです。
す。私が想像していた以上に選手達の
も前向きにトレーニングに励んでいま
が伴ってきたこともあり、今ではとて
選手権で 年ぶりに優勝するなど結果
も戸惑いがあったようですが、アジア
トレーニングを始めた当初は選手達に
ルを超えるジャンプを記録しました。
センチ、東レの柴田恭平は1メート
以前の全日本のバレーボール選手は、
基本的に所属チームでトレーニングを
えることができれば、と思ったのがきっ
全日本男子バレーボールチームでの指導風景
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能力は高く、今後もさらに競技力は向
本独特の緻密なバレーボールをするこ
かといって強度の弱いメニューでは効
をさせてしまっては本末転倒ですし、
れた時間は限られていますが、これか
とによって、世界の強豪と互角以上の
て選手の競技力を高めていくことがや
らも常に上を目指してトレーニングを
戦いができる、と私は考えています。
りがいでもあり、この仕事の喜びでも
国の選手達がそこをパワーで押し切っ
全日本チームでも、個々の選手が自
分の体をくまなく使えるようにするこ
あると思っています。トレーニングは
たとしても、日本人が同じようにパワー
とから指導を始めました。7月や8月
地道な努力を積み重ねることでしか向
続けるつもりです。
の合宿では陸上競技場で走り込みをさ
上できませんが、少しでも選手達によ
勝負で勝るのは難しいでしょう。しか
せたり、急な坂を全力で駆け上がって
りよいアドバイスができれば、と思っ
これまでもトレーナーとして、三菱
重工硬式野球部や中国電力ラグビー部、
タイムを計るなど、選手にとっても初
し選手自身の体の力を全て発揮し、日
めてといえるくらいのハードなトレー
ています。
果はありません。その限界点を見極め
ニングを重ねたのです。
全日本男子ジュニアバレーボールチー
かけです。
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選手はもちろん、私にとっても毎回
が真剣勝負です。トレーニングで怪我
大石 博暁
(おおいし ・ ひろあき)
1970 年 広 島 市 出 身。
1992 年東海大学卒。ト
レーナーとして数々の
チームを指導し、現在
は全日本男子バレー
ボールチームのフィジ
カルコーチを務める。
競技者としても円盤投
げで国体優勝、ボブス
レーでは 2 度のオリン
ピック出場を誇る。