耐震改修優秀建築賞建築物名称北九州市立戸畑図書館耐震改修工事竣工年月 2014 年 2 月耐震改修関係者株式会社青木茂建築工房有限会社金箱構造設計事務所鴻池・九鉄特定建設工事共同企業体北九州市推薦理由昭和８年竣工の元市役所の庁舎を現代の図書館に用途替えするに際し実施された耐震補強である。創建時の優雅な外観を保存することを前提にさまざまな検討の結果、中廊下の柱、梁桁に絡み補強する案が採用された。これによって図書館としての機能に支障をきたさない躯体ができている。具体的には４本の鉄骨の柱の上部４辺をトラス構造の梁桁でつないだフレームを既存の鉄筋コンクリートの柱・梁桁の内側にワンスパンおきに挿入して耐震性を確保している。トラスを構成するウェブプレートに大小の丸い穴を明けたり、トラスの下弦材をアーチの形状にしたりして補強材の意匠に気が配られている。鉄の量とグレイの色彩がやや重さを感じるが、中廊下の左右の空間が明るく、天井を取り払って躯体を白く塗り、天井フトコロ内の設備があらわになっていたりしていることとバランスしていて納得できる。２階のスラブを大きくくり抜いて吹き抜けを設け、屋根スラブを抜いてトップライトを設けていることは室内の明るさや楽しさに効果が大きいが、躯体の軽量化に寄与し、耐震補強の軽減化にも寄与している。意匠と構造、照明デザインなどの協働が旨く行われた好例である。（文責：三井所委員）昭和 8 年竣工当時の外観耐震改修前外観耐震改修後外観１耐震改修概要１．減築３．耐震補強２．軽量化／補修／中性化対策４．新規外装（写真撮影：上田宏）２階ラウンジアーチフレーム補強２