ホテルニューオータニ ザ・メイン

日本建築防災協会理事長賞・耐震改修優秀建築賞
建築物名称
ホテルニューオータニ ザ・メイン
耐震改修工事竣工年月
2007 年 9 月
耐震改修関係者
株式会社ニュー・オータニ
株式会社日建設計
大成建設株式会社
新日鉄住金エンジニアリング株式会社
推薦理由
このホテルニューオータニ ザ・メインは、1964 東京オリンピックに合わせて開業した、超高層ホテル
である。このホテルは 17 階建てであるが、その後の霞ヶ関ビルなどのさらに高い超高層ビルに先だって、
地震応答解析によって安全性を確かめるという当時の最先端技術である耐震設計法を用いた最初の建物で
ある。手続き的にも、60m 以上の超高層建築物として、建設大臣認定の第 1 号である。
今回の改修は、外装の改修によるイメージアップと省エネルギー、内装の改修による居住性能の向上、
配水管等の更新による劣化対策等と合わせて、耐震性の向上を目的として企画されたものである。
耐震改修に当たって、新築時の耐震設計を検討したところ、EL CENTRO NS および TAFT EW を最大加速度
350 ガルに基準化した地震動により安全性を検証しており、現時点からみても大過ない耐震性をもってい
ることを確認している。しかし、現在の検証に使われている観測波 3 波、告示波 3 波による検討では、最
大応答層間変形角が 1/100 を越える場合もあるので、これを低減するため、コア部分と三ツ矢の各棟端部
の既存鉄骨ブレースを座屈補剛制振ブレースに置換している。なお、改修工事にあたっては、いわゆるい
ながら改修を可能とするため、接着工法、低騒音・振動工法を採用している。
現代建築の主役ともいうべき超高層ビルの第 1 号としてもともと優れた建物であるものを、現代的な要
求に添うように大改修する一環として行われた耐震改修であり、耐震改修優秀建築賞を受けるに値すると
考え、ここに推薦する。
(文責:坂本委員)
耐震改修前外観
耐震改修後外観
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耐震補強概要
制振ブレース
耐震改修
・外装の全面改修、内装改修、客室空調改修による性能の向上
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