耐震改修優秀建築賞建築物名称愛農学園農業高等学校本館耐震改修工事竣工年月 2010 年 10 月耐震改修関係者有限会社野沢正光建築工房小原建設株式会社有限会社山辺構造設計事務所学校法人愛農学園愛農学園農業高等学校推薦理由愛農高校は紀伊半島のほぼ中央の自然に恵まれた環境にあり、聖書による人格教育、全寮制による共同生活、有機農業を中心とした農業教育を行っている。当初の計画は、鉄筋コンクリート造３階建校舎を解体し、新しく木造平屋の校舎に建て替える予定であったが、設計者の提案により、校舎の３階部分を解体し、２階建として既存の工法で無理なく耐震改修が行えるようにし、また、3 階部分の面積分を隣接して木造平屋で建築して図書館などに利用するなど、学校としての教育環境も充実させたもので、耐震改修部分と新築部分の両者が一体となり、意匠も調和がとれたものとなっている。耐震改修された鉄筋コンクリート造校舎の構造安全性が向上したことは勿論のこと、内装に木材が使われて暖かみがあり、内陸性気候の厳しい条件の中、屋根部屋に太陽電池で駆動する太陽熱集熱換気システムを設置して、夏は新設された屋根、庇、外断熱材で負荷を低減して換気で暑さを避け、冬は外断熱された室内の暖房に使い、自然エネルギーで年間を通じて快適性を追求している。これらの取り組みは、安全性、意匠性ばかりでなく、廃棄物を出さない、自然エネルギーを利用するなど地球環境にも優しい耐震改修となっているので、耐震改修優秀建築賞に値すると考え、ここに推薦する。（文責：村上委員）耐震改修前外観（３階建て）耐震改修後外観（２階建て）１補強概念図新設耐震壁設置状況耐震スリット状況３階解体状況耐震改修後 1 階平面図耐震改修前後の断面図太陽熱集熱換気システム２